御母衣ダム
[Wikipedia|▼Menu]

御母衣ダム

所在地岐阜県大野郡白川村大字牧
位置.mw-parser-output .locmap .od{position:absolute}.mw-parser-output .locmap .id{position:absolute;line-height:0}.mw-parser-output .locmap .l0{font-size:0;position:absolute}.mw-parser-output .locmap .pv{line-height:110%;position:absolute;text-align:center}.mw-parser-output .locmap .pl{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:right}.mw-parser-output .locmap .pr{line-height:110%;position:absolute;top:-0.75em;text-align:left}.mw-parser-output .locmap .pv>div{display:inline;padding:1px}.mw-parser-output .locmap .pl>div{display:inline;padding:1px;float:right}.mw-parser-output .locmap .pr>div{display:inline;padding:1px;float:left}.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯36度08分17.7秒 東経136度54分38.9秒 / 北緯36.138250度 東経136.910806度 / 36.138250; 136.910806
河川庄川水系庄川
ダム湖御母衣湖
ダム諸元
ダム型式傾斜土質遮水壁型ロックフィルダム
堤高131.0 m
堤頂長405.0 m
堤体積7,950,000
流域面積442.8 km²
湛水面積880.0 ha
総貯水容量370,000,000 m³
有効貯水容量330,000,000 m³
利用目的発電
事業主体電源開発
電気事業者電源開発
発電所名
(認可出力)御母衣発電所 (215,000kW)
施工業者間組
着手年/竣工年1957年/1961年
出典 ⇒『ダム便覧』御母衣ダム
備考建設省河川局長通達第一類ダム
テンプレートを表示

御母衣ダム(みぼろダム)[1]は、岐阜県大野郡白川村一級河川庄川本流上流部に建設されたダムである。

電源開発(J-POWER)が管理する発電専用ダムで、高さ131メートルと日本屈指の規模のロックフィルダムである。只見川奥只見ダム田子倉ダムと共に「OTM」の頭文字で呼ばれ、同社を代表する水力発電所の一つである。ダム湖は御母衣湖(みぼろこ)。水没予定地から移植された荘川桜のエピソードでも知られる。
沿革御母衣ダム湖周辺の空中写真。(1977年撮影の9枚より合成作成)。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成
計画の発足

庄川は太平洋日本海分水嶺に当たる烏帽子岳付近を水源とし、白山連峰と飛騨高地の山間を概ね北に向けて流れ、富山湾に注ぐ北陸地方における大河川の一つである。流域の大部分は山岳地帯で占められ、シベリアから吹く季節風によって冬季は豪雪地帯となる。また夏も台風の通り道になりやすく、全般的に多雨気候である。降り注いだ雨は険しいV字谷を形成する峡谷を急流となって流れ、日本海に注ぐ。急流で水量の多い庄川は水力発電を行うには理想的な川であり、大正時代から黒部川常願寺川など近隣を流れる河川と共に水力発電所の建設が進められていた。

1926年(大正15年)に白山水力電気が平瀬発電所の運転を開始したことに始まる庄川の電力開発は、浅野財閥総帥であった浅野総一郎の庄川水力電気により1930年昭和5年)に小牧ダムが完成、当時日本屈指の出力7万2,000キロワットの小牧発電所が運転を開始した。同年昭和電力小牧ダム上流に祖山ダム・祖山発電所を完成させ、以後庄川は下流から上流に向かってダム式発電所の建設が進められていった。民間で進められた事業は戦時体制の進展に伴い誕生した日本発送電によって庄川水系の電力施設は接収、1942年(昭和17年)には小原ダム・小原発電所が完成する。その日本発送電が1951年(昭和26年)に電気事業再編成令によって分割民営化されると、庄川水系の電力施設は旧庄川水力電気・昭和電力の流れをくむ関西電力が継承し、成出椿原鳩谷の各ダム・発電所が建設された。しかしこれらのダムと発電所は余りある庄川の水量を十全に活用できるほどの貯水池を持たず、電力需要の多くなる冬季に発電能力を発揮しきれなかった。このため庄川の最上流部に巨大なダムを建設し、それによって形成される大容量貯水池によって下流の水量を安定化させ、下流に建設された発電所の出力を増強する必要があった。

すでにこうした問題は戦時中より指摘されており、終戦後日本発送電は庄川での新規開発地点を検索。その結果先述の理想をかなえ得る地点として1947年(昭和22年)現在のダム地点を調査対象に選定した。1950年(昭和25年)には「荘白川貯水池計画」としてダム計画の骨子が固まり、日本発送電分割・民営化後は関西電力が計画を引き継いだ。
ロックフィルダムの採用

当初は高さ120メートル、総貯水容量約3億2,000万立方メートル重力式コンクリートダムとして計画されていたが、その後計画は大きな壁にぶつかる。その原因は地質の脆弱(ぜいじゃく)さにあった。この一帯は断層が多くまた崩落の激しい地質で、1585年天正13年)には大地震によってダム地点直下にあった帰雲城ががけ崩れで埋没し城主内ヶ島氏理一族が滅亡するという歴史もあった。事業の重要性と困難性に鑑み、発足したばかりの関西電力では工事の遂行が困難であると見た政府は1952年(昭和27年)に発足した特殊法人・電源開発に事業を移管させる方針とした。これは電源開発促進法第12条第2項に定められた電源開発が行うべき開発理由である「河川等に係る大規模又は実施の困難な電源開発」に御母衣地点が該当するためであり、同年の第3回電源開発調整審議会で正式に電源開発が事業主体となることが決定。以後関西電力に地質調査を代行させながら事業を進めた。

地質調査の進捗に伴い、地質の劣悪さがさらに判明していった。建設地点を何箇所か変更しても結果は同じであり、重力式では事業費が高騰することが予想された。電源開発は地質が弱くても建設が可能なロックフィルダムによる建設の検討を開始する。当時、建設省(現・国土交通省)が岩手県石淵ダム(胆沢川)を、また岐阜県が小渕ダム久々利川)をロックフィルダムとして完成させていたが何れも中小規模であり、高さ100メートルを超えるロックフィルダムの建設は日本では実施されていなかった。電源開発はアメリカ合衆国より技師や地質学の専門家を度々招聘して助言を受け、さらに各電力会社の土木部長や土木学の専門家を現地視察に招いて意見を求めた。この頃は朝鮮戦争に伴う特需景気工業地帯の生産力が飛躍的に向上し日本経済は活性化に向かっており、一層の経済発展にはさらなる電力の供給が不可欠であった。また民間の電力需要も急上昇していたが当時の日本は戦時中の物資不足や空襲による施設破壊により発電施設が絶対的に不足していたため電力の需要と供給が著しく不均衡な状態に陥っており、慢性的な電力不足による度々の停電に悩まされていた。従って安定した電力供給は日本経済の発展と治安維持の両面で喫緊の課題となり、早急な電力開発は国策にもなっていた。

早急な新規電力開発、および電気料金に影響を及ぼさない費用対効果の観点より出た結論はロックフィルダムの採用であり、1954年(昭和29年)に御母衣ダム計画は日本初の大規模ロックフィルダム計画としてスタートした。
補償

ダムの建設される地域は白川村と大野郡荘川村[2]にまたがる。かつて「下下の国」と呼ばれコメの収穫がほとんど見込まれなかった飛騨国において、この地域は貴重な穀倉地帯であり、かつ木材運搬などで豊かな土地柄であった。ダム建設に伴い174世帯・230が水没し約1,200人が移転を余儀無くされることから、水没予定地の住民は猛然とダム建設計画に反対した。

反対運動は1952年に国会で電源開発促進法が審議されていた段階から始まった。それは同法により誕生する電源開発がダム計画の事業主体になることが推測されたことによる。背景にはこの土地が冬季の豪雪より身を守るために培われた地域風土があった。すなわち過酷な気候を克服するため住民は家長を中心とする大家族主義によって生活基盤を成し、家長のリーダーシップによって厳しい生活を乗り切っていた。保守的な考えを持つ家長の権限は絶対で、父祖伝来の土地を失うことに彼らは強烈に抵抗した。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:46 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef