御宿かわせみ
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『御宿かわせみ』(おんやどかわせみ)は、平岩弓枝作の連作時代小説シリーズ。旅籠「かわせみ」を舞台にした人情捕物帖。
概要

『小説サンデー毎日』1973年(昭和48年)2月号から隔月で連載される。第33話掲載後、『小説サンデー毎日』休刊のため一時連載が中断したが、文庫版を刊行していた文藝春秋に出版社を替え『オール讀物』1982年4月号から連載が再開された。2005年11月号掲載作品をもって終了。1973年にTBSの『東芝日曜劇場』で「秋の螢」のタイトルでドラマ化され、以降NHKテレビ朝日などでテレビドラマ化された。1984年には、主演浜木綿子帝国劇場にて舞台化された。

続編として明治を舞台に、子ども世代を中心とした『新・御宿かわせみ』がある。
あらすじ

時は江戸時代末期、ところは江戸大川端。腕利きの町奉行所定廻り同心だった父を亡くした庄司るいは、大川端町(永代橋の西詰めあたり[1])に旅籠「かわせみ」をひらいた[2]。幼なじみでひとつ年下の恋人の神林東吾は、町奉行所与力の弟。東吾の友人で八丁堀の定廻り同心の畝源三郎や、将軍家御典医の倅の医師・天野宗太郎、かわせみの奉公人とともに市井の事件を解決する。

連作の初期から中期には、身分違いを気にするるいと東吾のなかなか進展しない恋愛模様が長く描かれ、いわば永遠の青春の物語を呈する。のちに東吾の出仕、るいとの結婚と子供の誕生と、幕末の時代の流れの中でそれぞれの登場人物の時間が動いていくさまが描かれる。
作品一覧
本編

通し番号は毎日新聞社発行のものからの通算(文藝春秋サイトでは異なる)
御宿かわせみ(1974年5月、毎日新聞社 / 1979年3月、文春文庫 / 2004年3月、文春文庫【新装版】)

「初春の客」「花冷え」「卯の花匂う」「秋の螢」「倉の中」「師走の客」「江戸は雪」「玉屋の紅」


江戸の子守唄(1975年12月、毎日新聞社 / 1979年4月、文春文庫 / 2004年3月、文春文庫【新装版】)

「江戸の子守唄」「お役者松」「迷子石」「幼なじみ」「宵節句」「ほととぎす啼く」「七夕の客」「王子の滝」


水郷から来た女(1977年7月、毎日新聞社 / 1980年10月、文春文庫 / 2004年7月、文春文庫【新装版】)

「秋の七福神」「江戸の初春」「湯の宿」「桐の花散る」「水郷から来た女」「風鈴が切れた」「女がひとり」「夏の夜ばなし」「女主人殺人事件」


山茶花は見た(1977年12月、毎日新聞社 / 1980年11月、文春文庫 / 2004年8月、文春文庫【新装版】)

「山茶花は見た」「女難剣難」「江戸の怪猫」「鴉を飼う女」「鬼女」「ぼてふり安」「人は見かけに」「夕涼み殺人事件」


幽霊殺し(1982年9月、文藝春秋 / 1985年9月、文春文庫 / 2004年9月、文春文庫【新装版】)

「恋ふたたび」「奥女中の死」「川のほとり」「幽霊殺し」「源三郎の恋」「秋色佃島」「三つ橋渡った」


狐の嫁入り(1983年5月、文藝春秋 / 1986年8月、文春文庫 / 2004年10月、文春文庫【新装版】)

「師走の月」「迎春忍川」「梅一輪」「千鳥が啼いた」「狐の嫁入り」「子はかすがい」


酸漿(ほおずき)は殺しの口笛(1986年4月、文藝春秋 / 1988年10月、文春文庫 / 2004年11月、文春文庫【新装版】)

「春色大川端」(1984年2月号)

「酸漿は殺しの口笛」(1984年10月号)

「玉菊燈籠の女」(1984年11月号)

「能役者、清大夫」(1984年12月号・1985年1月号)

「冬の月」(1985年2月号)

「雪の朝」(1985年3月号)


白萩屋敷の月(1986年10月、文藝春秋 / 1989年10月、文春文庫 / 2004年12月、文春文庫【新装版】)

「美男の医者」「恋娘」「絵馬の文字」「水戸の梅」「持参嫁」「幽霊亭の女」「藤屋の火事」「白萩屋敷の月」


一両二分の女(1987年6月、文藝春秋 / 1990年5月、文春文庫 / 2005年1月、文春文庫【新装版】)

「むかし昔の」「黄菊白菊」「猫屋敷の怪」「藍染川」「美人の女中」「白藤検校の娘」「川越から来た女」「一両二分の女」


閻魔まいり(1988年6月、文藝春秋 / 1991年6月、文春文庫 / 2005年2月、文春文庫【新装版】)

「蛍沢の怨霊」「金魚の怪」「露月町・白菊蕎麦」「源三郎祝言」「橋づくし」「星の降る夜」「閻魔まいり」「蜘蛛の糸」


二十六夜待の殺人(1988年9月、文藝春秋 / 1991年9月、文春文庫 / 2005年3月、文春文庫【新装版】)

「神霊師・於とね」「二十六夜待の殺人」「女同士」「牡丹屋敷の人々」「源三郎子守歌」「犬の話」「虫の音」「錦秋中仙道」


夜鴉おきん(1989年5月、文藝春秋 / 1992年5月、文春文庫 / 2005年6月、文春文庫【新装版】)

「酉の市の殺人」「春の摘み草」「岸和田の姫」「筆屋の女房」「夜鴉おきん」「江戸の田植歌」「息子」「源太郎誕生」


鬼の面(1989年11月、文藝春秋 / 1992年10月、文春文庫 / 2005年7月、文春文庫【新装版】)

「夕涼みの女」「大川の河童」「麻布の秋」「忠三郎転生」「雪の夜ばなし」「鬼の面」「春の寺」


神かくし(1990年5月、文藝春秋 / 1993年6月、文春文庫 / 2005年9月、文春文庫【新装版】)

「梅若塚に雨が降る」「みずすまし」「天下祭の夜」「目黒河の蛍」」「六阿弥陀道しるべ」「時雨降る夜」「神かくし」「麻生家の正月」


恋文心中(1990年11月、文藝春秋 / 1993年10月、文春文庫 / 2005年10月、文春文庫【新装版】)

「雪女郎」「浅草天文台の怪」「恋文心中」「わかれ橋」「祝言」「お富士さんの蛇」「八朔の雪」「浮世小路の女」


八丁堀の湯屋(1991年11月、文藝春秋 / 1994年11月、文春文庫 / 2005年11月、文春文庫【新装版】)

「ひゆたらり」「びいどろ正月」「黒船稲荷の狐」「吉野屋の女房」「花御堂の決闘」「煙草屋小町」「八丁堀の湯屋」「春や、まぼろし」


雨月(1992年9月、文藝春秋 / 1995年10月、文春文庫 / 2005年12月、文春文庫【新装版】)

「尾花茶屋の娘」「雨月」「伊勢屋の子守」「白い影法師」「梅の咲く日」「矢大臣殺し」「春の鬼」「百千鳥の琴」


秘曲(1993年7月、文藝春秋 / 1996年11月、文春文庫 / 2006年1月、文春文庫【新装版】)

「念仏踊りの殺人」「松風の唄」「おたぬきさん」「江戸の馬市」「冬の鴉」「目籠ことはじめ」「秘曲」「菜の花月夜」


かくれんぼ(1994年7月、文藝春秋 / 1997年10月、文春文庫 / 2006年2月、文春文庫【新装版】)

「マンドラゴラ奇聞」「花世の冒険」「残月」「かくれんぼ」「薬研堀の猫」「江戸の節分」「福の湯」「一ツ目弁財天の殺人」


お吉の茶碗(1995年4月、文藝春秋 / 1998年4月、文春文庫)

「花嫁の仇討」「お吉の茶碗」「池の端七軒町」「汐浜の殺人」「春桃院門前」「さかい屋万助の犬」「怪盗みずたがらし」「夢殺人」


犬張子の謎(1996年1月、文藝春秋 / 1998年11月、文春文庫)

「独楽と羽子板」「柿の木の下」「犬張子の謎」「鯉魚の仇討」「十軒店人形市」「愛宕まいり」「蓮の花」「富貴蘭の殺人」


清姫おりょう(1996年10月、文藝春秋 / 1999年11月、文春文庫)

「横浜から出て来た男」「蝦蟇の油売り」「穴八幡の虫封じ」「阿蘭陀正月」「月と狸」「春の雪」「清姫おりょう」「猿若町の殺人」


源太郎の初恋(1997年6月、文藝春秋 / 2000年5月、文春文庫)

「虹のおもかげ」「笹舟流し」「迷子の鶴」「月夜の雁」「狸穴坂の医者」「冬の海」「源太郎の初恋」「立春大吉」


春の高瀬舟(1998年3月、文藝春秋 / 2001年3月、文春文庫)

「花の雨」「春の高瀬舟」「日暮里の殺人」「伝通院の僧」「二軒茶屋の女」「名月や」「紅葉散る」「金波楼の姉妹」


宝船まつり(1999年3月、文藝春秋 / 2002年4月、文春文庫)

「冬鳥の恋」「西行法師の短冊」「宝船まつり」「神明ノ原の血闘」「大力お石」「女師匠」「長崎から来た女」「大山まいり」


長助の女房(1999年8月、文藝春秋 / 2002年8月、文春文庫)

「老いの坂道」「江戸の湯舟」「千手観音の謎」「長助の女房」「嫁入り舟」「人魚の宝珠」「玉川の鵜飼」「唐獅子の産着」


横浜慕情(2000年4月、文藝春秋 / 2003年4月、文春文庫)

「三婆」「鬼ごっこ」「烏頭坂今昔」「浦島の妙薬」「横浜慕情」「鬼女の息子」「有松屋の娘」「橋姫づくし」


佐助の牡丹(2001年3月、文藝春秋 / 2004年4月、文春文庫)

「梅屋の兄弟」(2000年2月号)

「江戸の植木市」(2000年3月号)

「佐助の牡丹」(2000年4月号)

「江戸の蚊帳売り」(2000年5月号)

「三日月紋の印籠」(2000年6月号)

「水売り文三」(2000年8月号)

「あちゃという娘」(2000年9月号)

「冬の桜」(2000年10月号)


初春弁才船(2001年11月、文藝春秋 / 2004年10月、文春文庫)

「宮戸川の夕景」(2000年11月号・12月号)

「初春弁才船」(2001年1月号、「新春弁才船」を改題)

「辰巳屋おしゅん」(2001年2月号)

「丑の刻まいり」(2001年3月号)

「桃の花咲く寺」(2001年4月号)

「メキシコ銀貨」(2001年5月号)

「猫一匹」(2001年6月号)


鬼女の花摘み(2002年9月、文藝春秋 / 2005年8月、文春文庫)

「鬼女の花摘み」(2001年7月号)

「浅草寺の絵馬」(2001年8月号)

「吉松殺し」(2001年9月号・10月号)

「白鷺城の月」(2001年12月号)

「新春夢づくし」(2002年1月号)

「招き猫」(2002年2月号)

「蓑虫の唄」(2002年3月号・4月号)


江戸の精霊流し(2003年5月、文藝春秋 / 2006年4月、文春文庫)

「夜鷹そばや五郎八」(2002年5月号)

「野老沢(ところざわ)の肝っ玉おっ母あ」(2002年6月号)

「昼顔の咲く家」(2002年8月号)

「江戸の精霊流し」(2002年9月号)

「亥の子まつり」(2002年10月号)

「北前船から来た男」(2002年11月号)

「猫絵師勝太郎」(2002年12月号)

「梨の花の咲く頃」(2003年1月号)


十三歳の仲人(2004年3月、文藝春秋 / 2007年4月、文春文庫)

「十八年目の春」(2003年2月号)

「浅妻船さわぎ」(2003年3月号)

「成田詣での旅」(2003年4月号)

「お石の縁談」(2003年5月号)

「代々木野の金魚まつり」(2003年6月号)

「芋嵐の吹く頃」(2003年8月号)

「猫芸者おたま」(2003年9月号)

「十三歳の仲人」(2003年10月号)


小判商人(2005年4月、文藝春秋 / 2008年4月、文春文庫)

「稲荷橋の飴屋」(2004年5月号)

「青江屋の若旦那」(2004年6月号)

「明石玉のかんざし」(2004年7月号)

「手妻師千糸大夫」(2004年8月号)

「文三の恋人」(2004年9月号)

「小判商人」(2004年10月号・11月号)

「初卯まいりの日」(2005年1月号)


浮かれ黄蝶(2006年4月、文藝春秋 / 2009年9月、文春文庫)

「浮かれ黄蝶」(2005年2月号)

「捨てられた娘」(2005年3月号・4月号)

「清水屋の人々」(2005年5月号)

「猫と小判」(2005年6月号)

「わいわい天王の事件」(2005年7月号)

「二人伊三郎」(2005年9月号)

「さんさ時雨」(2005年10月号)

「公孫樹の黄ばむ頃」(2005年11月号)


その他

御宿かわせみ 上下巻(1980年8月、文藝春秋) - 毎日新聞社版4冊の収録作品を2冊で再刊

「御宿かわせみ」読本(2001年3月、文藝春秋 / 2003年4月、文春文庫) - 人名録の他、ドラマ出演者のインタビューなども収録

御宿かわせみ傑作選

初春の客(2004年1月、文藝春秋) - 初期10巻から著者自選の9編を収録

祝言(2005年1月、文藝春秋) - 11巻?20巻から著者自選の10編を収録

千手観音の謎(2006年1月、文藝春秋) - 21巻?30巻から著者自選の10編を収録


登場人物
主要人物
神林東吾
南町奉行所吟味方与力・神林通之進の弟。伸びやかな性格の持ち主。美男子。神道無念流の遣い手で練兵館では高弟の一人。八丁堀の道場の師範の一人であり、方月館の師範代も兼任していた。長い間るいとは正式に結婚できなかったが、講武所の教授方と軍艦操練所勤務(後に教官並)に任命されたことによって、祝言を挙げることができた。八丁堀に生まれた者の使命感と好奇心を併せ持ち、親友である畝源三郎の手伝いをしたり、かわせみに飛び込んでくる事件に首をつっこんだりして常に捕り物に関わる。なお、苗字は当初「かんばやし」と表記されていたが、現在は「かみばやし」に統一されている。
るい(旧姓庄司)
大川端にある旅籠かわせみの女主人。東吾の妻。鬼同心と言われた庄司源右衛門の一人娘。父の死後、同心株を返して旅籠を始める。東吾とは幼馴染。子どもの頃から東吾のことが好きだったが、身分違い(東吾は子のない通之進の跡継ぎと目されていた)であることと家付き娘であることから半ばあきらめていた。作品中、美人であることが強調されている。「酉の市の殺人」にて、「来年がるいの生れ年と同じ干支」との記載がある。
畝(うね)源三郎
定廻り同心。東吾の親友。東吾やるいにとっては幼馴染。定廻りにしては野暮ったいと言われるが、誠実な男。東吾には「源さん」と呼ばれる。
かわせみ
千春
東吾とるいの娘。
嘉助(かすけ)
かわせみの老
番頭。元は庄司源右衛門の若党。捕り方だったときの習性が時々出ることがある。るいを助ける忠義者。
お吉
かわせみの女中頭。母の代からの庄司家の奉公人で、いったん嫁いだが夫に死なれて出戻った。忠義者だが、好奇心が強く、おしゃべり。大の幽霊嫌い。その性格がかわせみに騒動をもたらすこともある。「祝言」にて、天保五年には二十歳過ぎだったとの描写がある。
神林家
神林通之進(みちのしん)
南町奉行所吟味方与力。東吾の兄。東吾よりひと回り以上年上で、早くに父を亡くした東吾にとっては父代わりでもある。美男子。やさしい風貌は、幼くして母を亡くした東吾が「母の顔を見たければ兄の顔を見よ」と言われて育ったほど。妻の香苗とはおしどり夫婦。麻太郎を養子にする。
香苗
神林通之進の妻。麻生源右衛門の長女。通之進とは幼馴染で、子どもの頃から許婚であり相思相愛であった。おっとりした性格であるが、人目を忍ぶ仲だった東吾とるいを見守り、また麻太郎を「お腹を痛めて産んだ子としか思えない」と言い切ったこともある。
神林麻太郎(旧姓大村)
清水琴江が大村彦右衛門との結婚後に産んだ子であるが、おそらくは東吾との一夜の契りによる子。琴江が死亡した後、通之進と香苗が何もかも承知の上で養子とする。東吾の若い頃に似ている(ということは通之進にも似ている)ため「通之進の隠し子ではないか」と噂された。
畝家
千絵(旧姓江原)
畝源三郎の妻。札差・江原屋の一人娘のため、(お互い思いを口にできないまま)諦めようとしていたが、源三郎の婚礼当日、花嫁の駆け落ちを取り繕う仮嫁となり、そのまま正式に妻となった。源太郎と千代の二子がいる。
源太郎
源三郎の長男。剣の師である東吾を慕う。麻太郎とは親友で、まるで東吾と源三郎の幼い頃のようとも言われる。
千代
源三郎の長女。千春とは幼馴染。
麻生家
麻生源右衛門
目付西の丸留守居を歴任した旗本。香苗と七重の父。東吾たちの父とは親友で、七重と東吾の結婚を望んでいた。剛直な人物だが、宗太郎に家督をゆずって隠居した後は、孫や麻太郎・源太郎たちの相手をするのが楽しみ。
麻生宗太郎 (旧姓天野)
医師。東吾の親友。偽名を名乗ってかわせみに泊まった際、東吾の依頼で悪人を引っかける芝居に一役買ったのがきっかけで付き合うように。将軍家御典医・天野宗伯の長男。母は典薬頭今大路家の長女。西洋医学を学ぶために長崎に留学。後に、七重と結婚、麻生家に養子に入る。つかみ所のない飄々とした人柄。麻生家の離れを治療所にし、貧乏人からは代金を取らない名医として本所・深川あたりの人々に親しまれている。
七重
宗太郎の妻。源右衛門の次女。東吾のことが好きだったが、るいの存在を知り半ば身を引く。のちに宗太郎と結婚し、花世と小太郎の二子を産む。
花世
宗太郎と七重の長女。おてんばで、思わぬ事件に巻き込まれることも。
小太郎
宗太郎と七重の長男。麻生家待望の嫡男。
お手先
長助
畝源三郎のお手先(いわゆる
岡っ引)。岡っ引には珍しく人柄が良い、誠実で温厚な男である。深川佐賀町のそば屋長寿庵の主人だが、店は妻と息子に任せきり。血の気の多かった若い頃に畝源三郎の父に手札をもらいお手先となった。
仙五郎
飯倉・麻布付近を縄張りにするお手先。本業は桶屋(後に息子に譲って隠居する)。こちらも岡っ引には珍しく人柄が良い。
その他
松浦方斎
剣士。狸穴の方月館の主。
直心陰流の達人。温厚な人柄で、東吾が師範代になってからは道場を任せきりにしている。刀剣などにも造詣が深い。
おとせ
方月館の家事一切を引き受ける女性。ある事件がきっかけでかわせみと関わることに。東吾の紹介で息子の正吉とともに方月館に身を寄せる。
善助
方月館の番頭格。
文吾兵衛
通称「永代の元締」。深川あたりの香具師やばくち場を取り仕切る大親分。そのような立場でありながら人が良く、永代の元締の息がかかったばくち場なら素人が安心して遊べると言われる。花世が引き起こした事件をきっかけに東吾達と知り合う。花世に「ひげもじゃもじゃ」と呼ばれる大男。息子は小文吾。
清水琴江
七重の友人。一度嫁いだが、子どもの頃に乱暴された記憶が元で離縁になる。柳河藩の重臣・大村彦右衛門と再婚が迫り、克服のためには好きな人と契ることと医師に言われ、一計を案じて東吾と一夜の契りを持つ。再婚後、おそらく東吾の子である麻太郎を産むが、夫に先立たれ、柳河藩の姫君のお輿入れのお供として多度津に行くも、お家騒動に巻き込まれ、密書を多度津藩江戸屋敷に届ける途中に斬り殺される。
斎藤弥九郎
剣士。この作品では珍しく実在の人物。練兵館の主。東吾と同じ岡田十松に剣を学んだ東吾の兄弟子だが、十松の死後、改めて東吾と師弟の契りを結ぶ。
テレビドラマ
秋の蛍

1973年8月26日当時のTBS系
東芝日曜劇場放送された。脚本も平岩弓枝。

出演

庄司るい:
若尾文子

神林東吾:仲谷昇

畝源三郎:小林勝彦


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