後期高齢者医療制度
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本の国民医療費(制度区別、2020年度)[1]公費負担医療給付3兆1222億円(007.3%)
後期高齢者医療給付15兆2868億円(035.3%)
医療保険等給付
19兆3653億円
(45.1%)被用者保険
10兆2934億円
(24.0%)協会けんぽ5兆7040億円(013.3%)
健康保険組合3兆5259億円(008.2%)
船員保険184億円(000.0%)
共済組合1兆0450億円(002.4%)
国民健康保険8兆7628億円(020.4%)
その他労災など3091億円(000.7%)
患者等負担5兆1922億円(012.2%)
総額42兆9665億円(100.0%)
日本の人口ピラミッド

後期高齢者医療制度(こうきこうれいしゃいりょうせいど)とは、2008年平成20年)に施行された高齢者の医療の確保に関する法律[2]を根拠法とする日本の医療保険制度である。同法における「前期高齢者」とは65歳から74歳まで、「後期高齢者」とは満75歳以上の高齢者をそれぞれ指す。

老年医学では、1歳未満を含む64歳以下を現役世代、65?74歳を前期高齢者(准高齢者)、75歳以上を後期高齢者と定義しており、さらに85歳以上から超後期高齢者とする。なお75?84歳を「中期高齢者」と呼ぶこともある。

一定の障害者を除く65?74歳の前期高齢者(准高齢者)は、現役世代(0?64歳)と同じく健康保険に加入したまま、保険者間にてリスク構造調整が行われる制度となっている[2]

2008年(平成20年)の制度発足時には1300万人が国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行しており[3]、将来的には更に増加することが見込まれている。 2016年時点の推計では、日本国民1人あたりの生涯医療費は、男性で2,600万円、女性で2,800万円であり、その50%は70歳以上のステージで発生している[4]

高齢者の医療の確保に関する法律について、以下では条数のみ記す。

目的・管掌

本制度は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする(第1条)。

そしてその理念として、国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとし、又、国民は、年齢、心身の状況等に応じ、職域若しくは地域又は家庭において、高齢期における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会を与えられるものとする(第2条)。この目的に基づき、高齢者の疾病、負傷又は死亡に関して必要な給付を行うものとする(第47条)。

厚生労働大臣は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療費適正化を総合的かつ計画的に推進するため、医療費適正化に関する施策についての基本方針(医療費適正化基本方針)を定めるとともに、6年ごとに、6年を1期とする全国医療費適正化計画を定め、これを公表する。都道府県は、この医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期とする医療費適正化を推進するための計画(都道府県医療費適正化計画)を定め、厚生労働大臣に提出するとともに、これを公表するよう努める。これらの年度の終了翌年度には、当該計画の実績に関する評価を行い、公表する。

厚生労働大臣は、特定健康診査及び特定保健指導の適切かつ有効な実施を図るための基本的な指針(特定健康診査等基本指針)を定め、これを公表する。医療保険各法の規定による保険者(全国健康保険協会健康保険組合、市町村等)は、特定健康診査等基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期とする特定健康診査等実施計画を定め、これを公表するとともに(第19条)、当該計画に基づいて40歳以上の加入者に対し特定健康診査等を行う(第20条)。ただし保険者は、加入者が、労働安全衛生法等に基づき行われる特定健康診査に相当する健康診断を受けた場合又は受けることができる場合は、この特定健康診査の全部又は一部を行ったものとされる(第21条)。保険者は特定健康診査を行ったときは、当該特定健康診査に関する記録を保存しなければならず(第22条)、加入者に対し、当該特定健康診査の結果を通知しなければならない(第23条)。後期高齢者医療制度にこのような特定健康診査が設けられているのは、生活習慣病を予防することにより、将来の医療費を抑制する狙いがあるためである。 日本の一人あたり医療費(千円単位)および医師受診回数。年齢別・科目別データ。グレー部分が後期高齢者医療制度。
老人保健法との違い

これまでの「老人保健法」による老人医療制度と大きく異なる点としては、従来は他の健康保険等の被保険者資格を有したまま老人医療を適用していたのに対し、後期高齢者医療制度では適用年齢(75歳以上)になると、現在加入している国保や健保から移行となり、後期高齢者だけの独立した医療制度に組み入れられるという点や、徴収方法が年金からの特別徴収天引き)が基本となっている点、プライマリケアに対して診療報酬が支払われること(包括払い制度)なども挙げられる。

ただし船員保険では75歳到達を資格喪失事由としていないため、船員保険の被保険者が後期高齢者医療の被保険者に該当した場合は、二重に被保険者資格を取得することになる。この場合は基本的な保険給付は後期高齢者医療で行い、船員保険独自の給付分のみを船員保険で給付する。
保険者

都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合(その都道府県の区域内の全市町村が加入する広域連合。以下、特に断らない限り「広域連合」と略す)が置かれ、保険者となる(第48条)。いわゆる「委譲事務」ではないため、政令指定都市も独立した運営ではなく、その市がある都道府県の広域連合に参加する。なお、保険料の徴収事務や申請・届出の受け付け、窓口業務については市町村が処理する事務とされる。

広域連合及び市町村は、後期高齢者医療に関する収入及び支出について特別会計を設けなければならない(第49条)。

広域連合は、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない(第125条)。
被保険者

後期高齢者医療事業状況報告[3]年被保険者数
(千人)うち現役並み
所得者(千人)一人あたり
医療費(円)
2008年(平成20年)13,2101,073785,904
2009年13,6151,033882,118
2010年14,0591,012904,795
2011年14,4831,013918,206
2012年14,9041,016919,529
2013年15,2661,021929,573
2014年15,5451,038932,290

対象となる被保険者は以下のとおり(第50条)。ただし、生活保護法による生活保護を受けている世帯に属する者その他適用除外とすべき特別の理由がある者を除く(第51条)。

広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者

広域連合の区域内に住所を有する65歳?74歳の者であって、政令で定める程度の障害の状態にある旨の認定を広域連合から受けた者
被保険者証の保険者番号は、39から始まる8桁の番号となる。75歳(障害の状態にある場合は65~74歳)に達しても、海外在住により広域連合の区域内に住所が無い場合は、被保険者とならない。

被保険者の人数が最も多いのは東京都の約143万人。最も少ないのが鳥取県の約9万人である(平成28年12月現在)[5]
被保険者資格の取得

75歳到達による資格取得日は、75歳の誕生日当日である(第52条1項)[注釈 1]。この場合、14日以内に所定の届出を広域連合にしなければならない(施行規則第10条)。したがって、1日生まれの人は、当月から保険料が課されることになる。また、2月29日生まれの者の平年における資格取得日は3月1日となる[注釈 2]

障害認定による資格取得日は、広域連合が障害認定した日となる(第52条3項)。認定を受けようとする場合、所定の申請書に障害の状態を明らかにする書類を添えて、広域連合に申請しなければならない(施行規則第8条)
住所地特例

保険者である広域連合の区域外にある、住所地特例対象の施設に住所を移した場合に、引き続き従前の保険者の被保険者となる仕組み(第55条)。

住所地特例の判断は保険者単位となるため、同一都道府県内の他の市区町村の住所地特例の対象施設等に住所を移しても、住所地特例とならない。

国民健康保険法第116条の2の規定により、住所地特例の適用を受けて、従前の住所地の市町村の国民健康保険被保険者とされている者が、75歳到達等により後期高齢者医療に加入した場合には、特例を引き継ぎ、従前の住所地の後期高齢者医療広域連合の被保険者とする(平成27年5月29日保発0527第1号)。

保険給付

国民健康保険と同じく、加入者全員が「被保険者」となる(「被扶養者」という概念はない)ため、被用者保険(健康保険、船員保険、共済組合等)に定める「家族給付」は存在しない。
絶対的必要給付

法律により広域連合に実施が義務付けられる給付である。

療養の給付(第64条)

一部負担金割合は、現役並み所得者は3割、それ以外の者は1割(第67条)。ただし現役並み所得者であっても、基準収入額未満であることを申請(基準収入額適用申請)すると1割になる(施行令第7条、施行規則第32条)。詳細は療養の給付#一部負担金を参照のこと。


入院時食事療養費(第74条)

入院時生活療養費(第75条)

保険外併用療養費(第76条)

療養費(第77条)

訪問看護療養費(第78条)

移送費(第83条)

高額療養費(第84条)

高額介護合算療養費(第85条)

高額療養費・高額介護合算療養費の計算方法は、70歳以上である国民健康保険の被保険者と同じである。また、65~69歳で障害認定により後期高齢者医療制度の被保険者となった者も70歳以上の国民健康保険の被保険者の計算方法を用いる。

以上については、それぞれ当該記事を参照のこと。

特別療養費(第82条)- 被保険者資格証明書による医療受給。国民健康保険と内容は同じである。詳細は国民健康保険#保険料の滞納を参照のこと。

相対的必要給付

広域連合の条例の定めるところにより行うものとされるが、特別の理由があるときにはその全部又は一部を行わないことができる(第86条1項)。

葬祭費

葬祭の給付

任意給付

広域連合の条例の定めるところにより行うことができる(第86条2項)。

傷病手当金

付加給付(第56条3号)

保険料

保険料は、広域連合が被保険者に対し、広域連合の全区域にわたって均一の保険料率であることその他政令で定める基準に従い広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定する。ただし、離島その他の医療の確保が著しく困難である地域であって厚生労働大臣が定める基準に該当するものに住所を有する被保険者の保険料については、政令で定める基準に従い別に広域連合の条例で定めるところにより算定された保険料率によって算定された保険料額によって課することができる(第104条2項)。同じ都道府県で同じ所得であれば原則として同じ保険料になる。賦課額は、応益負担(加入者全員が等しく負担する)である「均等割」と応能負担(所得に応じて負担する)「所得割」の2種類で構成され、その合計額である。

保険料率は、療養の給付等に要する費用の額の予想額、財政安定化基金拠出金及び特別高額医療費共同事業に要する費用に充てるための拠出金の納付に要する費用の予想額、都道府県からの借入金の償還に要する費用の予定額、保健事業に要する費用の予定額、被保険者の所得の分布状況及びその見通し、国庫負担並びに後期高齢者交付金等の額等に照らし、おおむね2年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない(第104条3項)。

広域連合が被保険者に課す保険料の賦課額は、令和2年4月以降、64万円を超えることができない(施行令第18条1項6号)。

保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする(第159条)。
徴収方法

保険料は市町村が徴収し、広域連合に納付する(第107条)。徴収方法は、公的年金額が年額18万円(月1万5千円)以上で、かつ保険料(介護保険料との合算額)が年金額の2分の1を超えない者については、原則として特別徴収(年金からの天引き)となる。ここでいう「公的年金」とは、老齢基礎年金のみならず障害基礎年金障害厚生年金遺族基礎年金遺族厚生年金も含むが、老齢厚生年金は含まない(老齢厚生年金から天引きされることは無い)。この方法は国民健康保険と共通している。

特別徴収されない者については納入の通知が行われ、金融機関の窓口などで支払う(普通徴収)。この場合は被保険者本人のみならず、世帯主配偶者連帯して納付する義務を負う。また市町村の条例で定めるところにより、特別徴収から口座振替へ変更できる[注釈 3]
保険料の軽減措置

市町村は、所得の低い者に対し、保険料の均等割額が世帯の所得水準にあわせて軽減・徴収猶予することができる(第111条)。軽減割合は以下のとおりである。

軽減割合被保険者及び世帯主の総所得金額
9割軽減33万円 以下かつ被保険者全員が年金収入80万円以下で他の所得がない
7割軽減33万円 以下
5割軽減33万円+(24.5万円×世帯主を除く被保険者数) 以下
2割軽減33万円+(35万円×被保険者数) 以下

※ここでいう所得とは、収入額から必要経費(公的年金等控除額や給与所得控除額など)を差し引いた、確定申告での所得金額である。また、65歳以上の公的年金の場合は、さらに15万円減額した金額が軽減判定の際の所得となる。

また、政府・与党決定(2008年(平成20年)6月12日)により、2008年(平成20年)度のみの特別対策として以下のような軽減割合の拡大措置がとられた。なお、8.5割軽減については、2009年度も継続されることとなった[7]


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