彼女について私が知っている
二、三の事柄
Deux ou trois choses que je sais d'elle
ブローニュ=ビヤンクールの団地
監督ジャン=リュック・ゴダール
脚本ジャン=リュック・ゴダール
原案カトリーヌ・ヴィムネ
『彼女について私が知っている二、三の事柄』(かのじょについてわたしがしっているにさんのことがら、仏語 Deux ou trois choses que je sais d'elle)は、1966年(昭和41年)製作、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・イタリア合作の長篇劇映画である。 本作は、週刊誌『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール
概要
アメリカ人ジョン・ヴォーガス役で出演しているラウール・レヴィは本作のプロデューサーで、撮影後の同年12月31日、フランス・サントロペのホテルで拳銃自殺しており、本作が遺作となった。製作主任としてのちの映画監督のクロード・ミレールが参加しており、のちに助監督から脚本家、映画監督になるジャン=パトリック・ルベルと共に、それぞれ「ブヴァール」役と「ペキュシェ」役で出演しているが、この役名はギュスターヴ・フローベールの未完の遺作『ブヴァールとペキュシェ』からの引用である。
ほとんどの俳優・女優が、本作以前に映画出演作がなく、本作がデビュー作となっている。主演のマリナ・ヴラディの息子役・娘役は、俳優のアントワーヌ・ブルセイエの息子クリストフ・ブルセイエ、娘マリー・ブルセイエ(現在のマリー・サラ)である。
日本では、1970年(昭和45年)10月3日、柴田駿のフランス映画社と大島渚の創造社が共同で主催した「ゴダール・マニフェスト」の一環として、劇場公開された。1971年(昭和46年)11月20日にスタートした「日活ロマンポルノ」の第1作、西村昭五郎監督の『団地妻 昼下りの情事』に深い影響を与えた。日本での本作のDVDは、1998年と2003年にハピネット・ピクチャーズ、2008年にはデジタルリマスター版がギャガ・コミュニケーションズから発売されている。 1966年8月、パリ郊外では、新首都圏拡張整備計画に従い公団住宅(HLM - 標準賃貸住宅)の建設が進んでいる。ジュリエット・ジャンソン(マリナ・ヴラディ)は、そんな公団住宅に夫のロベール(ロジェ・モンソレ)、息子のクリストフ(クリストフ・ブルセイエ)と娘のソランジュ(マリー・ブルセイエ)とともに住んでいる。子どもたちはまだ幼く、ガソリンスタンドに勤める夫はアマチュア無線家で、友人のロジェ(ジャン・ナルボニ)と朝から交信している。 ジュリエットは夫のいない昼間、売春をしている。ジェラール氏の売春宿に子どもを預け、買い物やカフェでの客の物色をする。その日も、若い男をホテルに連れ込み、仕事をし、その後でワンピースを買って、美容院へ向かった。美容院に勤めるマリアンヌ(アニー・デュプレー)に誘われ、アメリカ人(ラウール・レヴィ)の滞在するホテルへと遊びに行く。アメリカ人たちは、彼女たちに大金を振舞うのだ。 夫ロベールは、用事が終わるまで妻をカフェで待っている。近くの席では、女子学生(ブランディーヌ・ジャンソン)と作家(ジャン=ピエール・ラヴェルヌ)が論争している。やがて妻ジュリエットが現れ、夫婦そろって家に帰る。ベッドでのふたりは、口論を繰り返し、それぞれ読書をするのだった。
ストーリー
スタッフ
監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール
原案 : カトリーヌ・ヴィムネ
音楽 : ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
撮影 : ラウール・クタール
録音 : ルネ・ルーヴェル
編集 : フランソワーズ・コラン、シャンタル・ドラットル
スクリプター : シュザンヌ・シフマン