影狩り
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、さいとう・たかをの劇画について説明しています。同劇画の映画化作品については「#映画」を、『ドラえもん』の1エピソード「かげがり」については「ドラえもんのひみつ道具 (かあ-かそ)」をご覧ください。

影狩り
ジャンル青年漫画、時代劇
漫画:影狩り
作者さいとう・たかを
出版社小学館
掲載誌週刊ポスト
発表期間1969年 - 1973年
漫画:新・影狩り
原作・原案などさいとう・たかを(原作)
作画岡村賢二
出版社リイド社
掲載誌コミック乱ツインズ
レーベルSPコミックス
発表号2011年9月号 - 2014年9月号
巻数全2巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『影狩り』(かげがり)は、さいとう・たかを劇画である。『週刊ポスト』(小学館)で連載された。
あらすじ

徳川時代、封建制度のひずみはその財政破綻となって現れた。無策に悩む幕府は、最も卑劣な手段でその窮地から逃れようとした。それは諸大名の取潰しによる領地没収である。そのため、数多くの隠密忍者が諸大名の些細な落ち度を暴こうとして、各地で暗躍した。世人は、この隠密や忍者を“影”と称して恐れおののいていた。影の跳梁に対する大名の自衛手段はひとつ、それは密かに潜入してくる“影”を殲滅し、その口を封じることである。

ここに、3人の浪人が世に現れた。1人を室戸十兵衛と言い、残る2人を日光、月光と呼ぶ三人衆である。彼らは大名に雇われて、その“影”と対決する“狩人”である。

やつらが血の臭いに乗ってやって来た!!
登場人物
影狩り三人衆
室戸十兵衛
3人のリーダー格で、影との戦いの際には十兵衛が上忍と相対し、その間に日光・月光の2人が下忍たちを蹴散らすのが定番である。また、油断した日光を救う役割も多い。
神道無念流の皆伝を受けている。かつて越後一条の森家の幼君・輝若の側仕えをしていたが、“影”の暗躍と国家老・大渕左衛門の内通により幼君は切腹、主家は断絶した。浪人となった十兵衛は同じように“影”の暗躍によって危機に陥る藩を救い、それによって理不尽な外様藩取潰し政策を取る幕府に一矢報いんとする“影狩り”を行うようになった。その後は大場瀬左衛門と名を変え“影”を操る大目付となった大渕左衛門との戦いを続けるが、ある時大場が大目付就任と引き替えに十兵衛の切腹を回避させていたことを知り、大場と直接の対話に及ぶ。その席で大場の真意を聞き、互いの道を歩むことを誓い合った。主家を失った無念のため、男性機能が不能となってしまっている。それによって事件に巻き込まれたり、くのいちの襲撃に対して難を逃れてもいる。将棋が趣味で、月光や一色残無斉と楽しんでいる場面があるが、日光は将棋のルールを知らないらしく、将棋が始まると女を求めて行ってしまう。話の最後は、影狩りの任務を果たした三人衆が馬上から藩を眺め、十兵衛が「行くか……」と呟き、藩を後にするのが定番となっている。
日光
本名、乾武之進。三河の出身。もと、鳴瀬藩でお膳番、鬼役(毒味役)を務めていたが、藩主・加納が“影”に暗殺され、藩は改易となった。女好きで、旅先では必ず女郎屋を探すことから始めている。くのいちに近づかれることもしばしばあり、情を抱いてしまうことも数多い。しかし、常に相手が寝首をかこうとする気配を察して切り抜けており、大雑把な性格であるが意外にも隙がない。決して美形ではないが性技は卓越しているようで、床上手である。そのため肌を合わせた女から好意を持たれることも多い。影狩りで得た金を各地に預けていたり、それを元手に商売を始めたりもする、影狩り三人衆では最も生活感のある人物。しかし、商売はことごとく失敗し、いかさま博打で無一文にされ、結局は影狩り業に戻ってくる。かつて毒味役であった経験からか、食べ物の臭いを嗅ぎ分ける特技があり、諸藩に赴いた際に出される食事の毒味は彼が行っている。一町四方(約100m平方)の音を聞き分ける、指先が敏感で、肌を撫でただけで梵字の痕の形を読み取る、敵を霧中に誘い込み、いかめしい騎馬武者姿で気を引いて逆方向から伏兵が斬り込む「陰形化身の術」を得意とするなど多くの特技を持つ。
月光
本名、日下弦之介。伯耆流抜刀術の達人。顔の右側に大きな火傷の痕がある。(顔の火傷の痕は、殺された妻子を救おうと、火を放たれた自宅に飛び込んだ時のもの。)もと今津藩藩士で、家老の汚職を巡る内紛に巻き込まれて妻子を失い、藩を抜けることになる。挙母藩に仕えていた友人・大杉のもとで食客となるが、大杉は病死する。その時期に日光、次いで十兵衛と出会い、影狩りに身を投じる。陽気な性格の日光に対して月光と名乗るなど、寡黙で落ち着いた性格。この性格は十兵衛とも共通しており、十兵衛とは将棋の相手としても良い勝負である。
宿敵
将軍
少なくとも2人、ないし3人の将軍が登場している。それぞれ何代将軍なのかは明示されない。

「棕櫚緒忍衆」「傀儡術山彦」に登場する、若いシルエットの将軍。

「影死すべし」の、精根尽き果てた将軍。前者が老いたか、それとも別人か。

「十兵衛は影だ!!」に登場する、大目付・青江に騙されている将軍。前記の将軍とは明らかに別人。

大目付
大場瀬左衛門
もと、森家の国家老・大渕左衛門。影と裏取引をして幼君・輝若を謀略に陥れ、主家断絶に追いやった。その後は大場瀬左衛門と名を変え、“影”を暗躍させ諸藩取潰しにかかる大目付に就任。数多くの藩を取り潰していった作中最大の敵役である。だが、後日意外な事実が発覚する。大場は当初“影”に協力することで輝若の助命を望んだが、それがかなわぬと知った時、輝若の切腹と大目付就任を承諾する代わりに側役であった室戸十兵衛の助命を嘆願した。つまり十兵衛は大場に命を救われていたのである。事に興味を持った十兵衛は大場と会見、両者の意思を確認した。「時の勢いには抗しきれぬ」が持論であり、いずれは自分自身も用済みの者として始末されることを察知していた。そして予測通り“影”の手が迫ると、せめてもの抵抗として自刃する。「大場死すと聞けば、必ず自決せるものと知るべし」との遺書を十兵衛に宛てて遺していた。
青江下坂
大場の後任の大目付。前任者以上の謀略家である。影狩りの存在のために外様大名が自藩の生き残りにのみ執心し、本気で幕府に対して反旗を翻す気概を失っていることに注目する。室戸十兵衛は幕府の命を受けて影狩りをしている“影”だ、という噂を流して影狩り三人衆を仲違いさせて壊滅に追い込み、速水喬四郎を操り「幕府に操られる影狩り」を実現しようと画策する。その陰謀のためには将軍までも騙していた。十兵衛の剛速の剣は影狩りの首領として群れをなす“影”を斬るのに適しており、月光の剣は一対一の戦いにこそ真価を発揮し、十兵衛をも斬れると評価した。しかし実際の戦いでは上忍と一対一の戦いをするのは十兵衛で、大勢の“影”を相手にするのは月光と日光である。
隠密支配
石根刀自斎
棚倉藩などの取潰しに成功していたが、影狩りとの戦いで受けた被害の責任を取って自害する。後任の堂本無格は彼を「温情派の人」と評した。
堂本無格
切腹した石根刀自斎の後任。峻烈な性格。世襲制によって忍びの気概を忘れる者たちを憂え、忍びの技をもって生業となすことを誇りとする。伊賀忍者の精鋭を集めた「棕櫚緒忍衆」を結成させるが、棕櫚緒衆もまた影狩り三人衆に敗れ去った。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:25 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef