彩陶
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青花龍文象耳大瓶 元 1351年ロンドン、デイヴィッド財団蔵唐三彩水注 上海博物館青磁輪花鉢 南宋官窯 東京国立博物館五彩魚藻文壺 明(宣徳) ギメ美術館琺瑯彩花鳥図皿 清(康熙) ギメ美術館

中国の陶磁器(ちゅうごくのとうじき)では、新石器時代から清代に至る中国の陶磁工芸の流れと技法を概観する。

中国陶磁の歴史は新石器時代の紅陶や彩文土器から始まり、さまざまな技術革新を重ね、三彩・白磁青磁青花・五彩などの華麗な器を作り出し、世界の陶磁界をリードしてきた。英語のチャイナ(China)という単語は、普通名詞としては「磁器」を意味するが、このことに象徴されるように、中国は世界に先駆けてガラス質の白いやきものである磁器を生み出した。中国磁器は中国の宮廷で用いられたのみならず、主要な貿易品の一つとして、アジア諸国、イスラム圏ヨーロッパなどにも大量に輸出された。こうした中国磁器は、日本では茶の湯の道具に取り入れられ、イスラム圏やヨーロッパでは貴族コレクションに収まるなど、世界の陶磁器の発展に多大な影響を及ぼしてきた。
基本用語(土器の例)彩陶壺 馬家窯文化半山類型(陶器の例)褐釉鳳首瓶 遼(磁器の例)白磁緑彩竜文盤 清
土器・陶器・磁器

中国では、やきものは陶器磁器(現代中国語では「瓷器」)とに二大別され、「土器」という分類呼称を用いないのが一般的である。中国では無釉(釉薬、うわぐすりを掛けない)のやきものは焼成温度の高低にかかわらず「陶器」と呼ばれ、釉の掛かったものでも、低火度焼成のもの(漢時代緑釉陶など)は「陶器」に分類される。新石器時代の、日本語で「彩文土器」と呼ばれるやきものは、中国語では「彩陶」と呼ばれ、陶器に分類されている[1][2][3]。日本語の「磁器」とは、胎土ケイ酸を多く含有し、施釉して高温で焼成し、ガラス化が進んだやきもののことで、陶器と異なって吸水性がなく、叩くと金属製の音を発する。ただし、「磁器」と「陶器」の境界には曖昧な部分があり、「磁器」の定義は中国、日本、欧米で若干ずつ異なっている。中国では、胎土のガラス化の程度にかかわらず、高火度焼成された施釉のやきものを一般に「瓷器」と称している。英語のポースレン(porcelain)は白いやきもののことであり、中国・朝鮮・日本では磁器とみなされている青磁は、英語ではストーンウェア(stoneware)とみなされている[4]。以下、本項ではやきものの種別に関する用語は基本的に日本語の参考文献における表記を用い、「瓷器」については日本語として一般的な「磁器」の表記を用いる。
釉と焼成法

煎茶器や古代の彩陶など、例外も一部にあるが、中国のやきものの多くは、表面に釉(釉薬、うわぐすり)というケイ酸塩ガラスの被膜がほどこされている。中国陶磁の基礎釉には、植物灰を原料とする高火度焼成釉(摂氏約1,200度以上で焼成)の灰釉(かいゆう)と、溶媒としてを含む低火度焼成釉(約800度前後で焼成)の鉛釉(えんゆう)がある。これらは、原料に含まれる金属成分の違いや焼成方法の違いにより、さまざまな色合いに変化する。陶磁器の焼成法には酸素の供給度合によって、酸化炎焼成と還元炎焼成があり、後者は窯内に十分に酸素を供給せずに焼成するものである。酸欠状態で焼成することによって、胎土や釉中の酸素が奪われ、たとえば酸化第二鉄酸化第一鉄に変化(還元)する。青磁とは、釉の成分の灰に含まれるわずかな分が酸化第二鉄から酸化第一鉄に変化することによって発色するもので、これを酸化気味に焼成すると黄色系に発色する。釉中に鉄分を多く含むと黒釉となり、呈色剤としてを用いると釉、コバルトを用いると瑠璃釉となる。白磁とは、白色の釉をかけたものではなく、白い素地に鉄分含有の少ない透明釉を掛けて焼成したものである。鉛釉は、基礎釉は透明であるが、これに呈色剤として酸化銅を用いると緑釉となり、他に酸化鉄呈色の褐釉、コバルト呈色の藍釉がある。三彩とは、鉛釉陶器の一種で、1つの器に緑釉、褐釉、藍釉の3色の釉を掛け分けたものである(いずれか2色のみの場合も「三彩」と呼ぶ)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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