彩度
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典型的な色空間。色相明度、彩度からなる。中心軸(無彩色)からの距離が彩度。色空間の横断面。中心からの距離が彩度。

彩度(さいど、: colorfulness, chroma, saturation)は、色の三属性の1つで、色の鮮やかさの尺度である。

彩度は基本的に、色空間の中央軸(無彩色軸)からの距離である。無彩色灰色)で0となり、無彩色軸から離れるにしたがい増し、純色で最大となる。また、彩度は色空間における距離なので、色空間に依存する。たとえば、色空間によっては、純色以外でも彩度が最大になることがある。

英語での名称は、HLS色空間HSV (HSB) 色空間PCCSではsaturation(Sと略す)、マンセル表色系ではchroma だが、日本語では区別せず彩度という。ただしsaturationについては飽和度という訳語が使われることもある。また、純色量と訳されることもあるNCSのchromaticness、オストワルト表色系のpurityも彩度と同種の概念である。
彩度変化の例

色相・明度を一定とした場合の、彩度の連続的な変化。HLS色空間、NCS、オストワルト表色系などでのもの。HSV色空間、PCCS、マンセル表色系などではこれとは多少異なる。





表色系の彩度
NCS・オストワルト表色系

NCSやオストワルト表色系では、色相以外の属性(ニュアンス)を白、黒、純色の混合率で表す。純色の割合が彩度となる。純色量など別の用語を使うこともある。

NSCではパーセンテージ、オストワルト表色系では8段階に分けて表す。ただし、3色の混合率を表すには2色の率を表すだけでよく、オストワルト表色系では白色量と黒色量を使うため、彩度が明示されることはない。

これらの表色系の色空間は双円錐算盤の珠)型をしており、彩度が高くなると、明度は50%から大きく離れることができなくなる。
マンセル表色系・PCCS

マンセル表色系やPCCSの色空間はNCSやオストワルト表色系に似ているが、人間の知覚を重視しているため、歪んだ形をしている。

そのため、彩度が最大のときの明度は必ずしも50%ではなく、色相によって異なる。例えば黄色では明度が高いとき、紫色では明度が低いとき、彩度を高くできる。

マンセル表色系では彩度の最大値も異なる。最大彩度はマンセル表色系で10から14、PCCSで9である。
HLS・HSV色空間の彩度HLS色空間(左)とHSV色空間(右)での彩度 (Saturation)。

HLSやHSV (HSB) の彩度は、0?1または0%?100%で表す。

HLSやHSVの色空間は、NCSなどと異なり、円筒形をしている。そのため、純色以外に彩度が最大となるニュアンスがある。HLSでは清色(純色と白または黒との混合)、HSVでは暗清色(純色と黒との混合)で、彩度が最大になる。

HSVの彩度は、全体の明るさに対する純色の割合を示し、saturationの字義どおりの意味に近い。暗清色でも彩度が最大になるのは、このためである。また、明度が低く黒に近い場合、彩度が大きく変わっても、純色の絶対量はあまりかわらず知覚的には色があまり変わらない。HLSでは同様のことが、明度が高く白に近い場合にも起こる。
RGBからの算出

RGB色空間の R , G , B ∈ [ 0 , 1 ] {\displaystyle R,G,B\in [0,1]} から、まず最大と最小 M = max ( R , G , B ) {\displaystyle M=\max(R,G,B)\,} m = min ( R , G , B ) {\displaystyle m=\min(R,G,B)\,}

を求める。

HLS・HSV色空間の彩度はこの2つの値のみから S H L S = { 0 if  M = m = 0 ∨ M = m = 1 ( M − m ) / ( 1 − 。 M + m − 1 。 )  otherwise  {\displaystyle S_{\mathrm {HLS} }={\begin{cases}0&{\mbox{if }}M=m=0\lor M=m=1\\(M-m)/(1-|M+m-1|)&{\mbox{ otherwise }}\end{cases}}} S H S V = { 0 if  M = m = 0 ( M − m ) / M  otherwise  {\displaystyle S_{\mathrm {HSV} }={\begin{cases}0&{\mbox{if }}M=m=0\\(M-m)/M&{\mbox{ otherwise }}\end{cases}}}

で得られる。

いずれの式でも、M = m つまり R = G = B のとき彩度が0、m = 0 つまり R, G, B いずれかが0のとき彩度が1となることがわかる。

ただし、HLSでは白または黒、HSVでは黒の場合、そのままでは彩度が不定となってしまうので、例外処理をして、それらの場合の彩度を0と定めている。
関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキメディア・コモンズには、彩度に関連するカテゴリがあります。

色の三属性

色相

明度


マンセル・カラー・システム










色彩
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基礎的概念

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色の三属性

色相 · 彩度 · 明度
色名

基礎的な色

 ·  ·  ·  ·  · シアン/藍 · マゼンタ/紅 ·
代表的な二次色

紫色 · 碧色 · 橙色 · 褐色 · 灰色

分野

印刷

網点 · CMYK · 特色(スポットカラー)
コンピューター

色深度 · ウェブカラー · X11の色名称

研究者

ドルトン · ヤング · プルキニェ · グラスマン · E.W.V.ブリュッケ(英語版) · ヘルムホルツ · ヘリング · ベゾルト(英語版) · マッハ · オストヴァルト · ゴールドシュタイン(英語版) · グラニト · マクアダム


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