当て逃げ
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1966年公開の映画については「ひき逃げ (映画)」を、2019年公開の映画については「轢き逃げ 最高の最悪な日」をご覧ください。
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

ひき逃げ/轢き逃げ(ひきにげ)は、人身事故を起こした自動車などに乗っている運転者らが必要な措置を講じることなく事故現場から逃走する犯罪行為。物損事故の場合は「当て逃げ」(あてにげ)と呼ばれる。 

俗称であり正式な法律用語ではないが、日常会話や報道では上記犯罪行為を示す言葉として使われている。英語ではHit and runであり主体が人や物にぶつけて(hit)逃走(run)する意味である(野球のヒットエンドランは二つの主体が同時に行う行為であり、本項の比喩ではない。)。
道路交通法の規定

第72条第1項前段では「交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員 (中略) は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。」と規定されている。

「ひき逃げ(轢き逃げ)」と呼ばれるが、人を轢いた場合に限らず、車同士の衝突事故で相手が負傷した場合など人身事故になっているとき(救護義務が生じるとき)に事故現場から逃走した場合も「あて逃げ」ではなく「ひき逃げ」となる[1][2]

また「?逃げ」となっているが、法律の条文上は「逃げる」事は構成要件には含まれない。すなわち、事故の当事者が運転を直ちに停止しないか、または救護義務、危険防止措置義務を怠ることで、犯罪が成立する。

犯罪の主体は「車両等の運転者その他の乗務員」であり、「車両等」は自動車だけでなく原動機付自転車自転車を含む軽車両トロリーバス路面電車も対象であり、これらの運転者または乗務員(双方合わせて条文で「運転者等」)が主体になる。主体にならないのは歩行者(道路交通法第2条第3項により歩行者とみなされる車を含む)だけである。ここで「乗務員」とは、バス・路面電車の車掌や添乗員など車両の運行に補助的に携わっている者であり、単に同乗している者は含まれない。

道路交通法第72条は、交通事故に関係した車両等の運転者等について次のような義務を課している。
直ちに運転を停止する義務(事故発生直後に現場を去らないなど)

負傷者の救護義務(負傷者を安全な場所に移動し、可能な限り迅速に治療を受けさせることなど)

道路上の危険防止の措置義務(二次事故の発生を予防する義務)

警察官に、発生日時、死傷者・物の損壊の状況や事故後の措置、積載物を報告する義務

報告を受けた警察官が必要と認めて発した場合に(通常は必ず発する)警察官が到着するまで現場に留まる命令に従う義務

これらのうち最も罰則が重いのが、人身事故に関係した車両等の運転者等が、直ちに運転を停止せず、または救護義務および危険防止措置義務を果たさない、人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務違反である。これが「ひき逃げ」と言われる犯罪である。

ただし、事故と同時に人が明らかに即死していたような場合には、負傷者には該当しないため、負傷者の救護義務違反には問えなくなる。ただし、危険防止措置義務の懈怠により二次事故が発生し、それにより即死死体が損壊したような場合、人身事故に係る危険防止措置義務違反が成立する。

物損事故については、それに関係した車両等の運転者等が、直ちに運転を停止せず、または危険防止措置義務を果たさない、物損事故に係る危険防止措置義務違反が「あて逃げ」と言われる犯罪に当たる。

第72条の救護義務・危険防止措置義務は、第一義的には、事故当事者車両等の運転者等にだけ課せられる。事故当事者車両などに単に同乗していた者や、単に現場に居合わせた者、警察官や救急隊員には、同条による義務は課せられない(ただし警察官・救急隊員には別途、職務上の義務は課せられる場合がある)。

事故当事者車両などの運転者等が、負傷その他の理由で救護義務・危険防止措置を尽くせない場合には、救急車や救急隊員による救護の支援、あるいは警察官により代理で現場の危険防止措置が執られる場合があるが、そうでない場合に当事者の運転者などが措置義務を尽くさない場合は、同条違反の罪に当たる。
罰則
ひき逃げ

自動車、原動機付自転車、トロリーバスまたは路面電車の運転者が、人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務に違反した場合には、道路交通法第117条第1項により、5年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される。なお、同条第2項により、人身事故が「人の死傷が当該運転者の運転に起因する」ものである場合に、救護義務・危険防止措置義務に違反した場合は、罰則は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金となる。なお、運転者以外の「その他の乗務員」(前述参照)が犯した場合には、同法第117条の5第1項により1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。

「運転に起因する」要件とは、運転者が過失運転致死傷または危険運転致死傷に問われうる場合であり、死傷者が赤信号を無視したり追突、逆走した場合など、運転者の無過失が明らかな場合を除き、通常は第117条第2項の罪が適用となる。

自転車を含む軽車両の運転者等が人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務に違反した場合には、同法第第117条の5第1項により、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。

なお、第72条の義務には運転者の過失の有無や事故に対する責任の軽重・有無(後述)は要件にないため、事故の全ての当事者である運転者等に対し義務が課せられる事になる。一方の当事者の無過失が明らかな事を理由として運転者等が負傷者を救護しないことや、交通事故を届け出ないなどは許されず、道路交通法第72条の罪の成立を妨げない。また事故で死傷しなかった運転者等は当然として、負傷した運転者等であってもその容易にできうる範囲においては第72条の各義務を尽くす必要がある。
罪数論

負傷者救護義務違反の罪と、過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪併合罪の関係にある。また、救護義務違反の罪と保護責任者遺棄罪とは、法条競合の関係にある。単純に救護せず放置した場合は、自動車運転過失致死傷罪等と救護義務違反の罪の併合罪となる。しかしいったん事故現場で負傷者を自分の車両に乗せたが発覚を恐れて別の場所に遺棄したような場合は、救護義務違反と保護責任者遺棄(致死傷)罪は観念的競合の関係となり、両者を比較して最も重い罪により処断される。よって過失運転致死傷等と、両者いずれか重い罪との併合罪となる。これは、自動車の運転により生命への危険を及ぼした点と、新たな遺棄により生命への危険を及ぼした点とをそれぞれ別個に評価するためである。ひき逃げを行い、それにより被害者が死亡する認識を持ちながら救護せず放置したような場合には、不真正不作為犯として殺人罪刑法199条)又は殺人未遂罪(刑法203条)となることもある[注釈 1]
行政処分

2013年9月20日には、自動車を用いてひったくりを2度行い被害者を負傷させた者に対して、兵庫県公安委員会が「ひき逃げ」と見做し、運転免許証欠格期間10年の免許取消処分を科している[3]。ひったくりの際に同乗していた運転免許を持たない者2人にも、救護義務違反唆しにより、欠格期間3年が科されている。また3人とも、強盗致死傷罪でも有罪判決を受けている。

行政処分の点数については、人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務違反について、基礎点数として35点が科される。よって、事故の大小・負傷の軽重にかかわらず、必ず運転免許証は取り消されることになる(2002年5月31日までは、付加点数として10点であった)。
飲酒運転に関連した厳罰化の動向について

2001年の危険運転致死傷罪の導入など飲酒運転による事故への罰則が強化されているに対し、ひき逃げの罰則が比較的軽いままであるため、事故後に一度逃走して酔いを覚ました後に出頭する、あるいは再度飲酒して事故前の飲酒の立証を防ぐといった「逃げ得」と呼ばれるケースが増えていると報道された[4]

これを受けて、まず救護義務違反・措置義務違反の罪自体の罰則および運転免許の行政処分が、抜本的に強化(重い処分)された。

さらに、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)の発覚免脱罪が制定され、過失運転致死傷罪または危険運転致死傷罪との併合罪とされた。

発覚免脱罪では、事故発生までのアルコールや薬物などの摂取の証跡を隠秘する目的で、現実の事故発生後に改めてアルコールや薬物を摂取したり、事故現場から逃走し隠秘したりするなどの行為が該当するが、前述の目的があればそれらに限定されない。

以上の処分強化により、飲酒運転による交通事故抑止、悪質とされる運転者の処分強化を図っている。
あて逃げ

物損事故に係る危険防止措置義務に違反した運転者等は、道路交通法第117条の5第1項により、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処される。


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