強膜(きょうまく、英: sclera)は、眼球の外側の白色の被膜。ギリシア語でskleros(「強い」を意味する)[1]。鞏膜と表記されることもある。 強膜は角膜とともに眼球外膜を構成し、眼球外膜の4/5を占める。厚さは0.4-1mmであり、白色不透明をしている。緻密結合組織の膜構造で、強膜-角膜移行部には、眼房水の吸収に関与しているシュレム管
概要
発生学的には、強膜は外胚葉の神経堤由来とされる[4]。幼年期の強膜は、より薄い色素の下地のいくつかが、僅かに青色になって現れ、加齢とともに色素沈着が進行し僅かに黄色味を帯びてくる。黄疸があると明瞭に黄染されるため、肝疾患の発見契機になることがある。 強膜は、眼球(en
構造
多くの脊椎動物達の強膜は、軟骨もしくは骨のプレートで補強されており、強膜骨環(en)と呼ばれる輪を持つ。原始の魚の強膜骨環は、4つのプレートで構成されており、脊椎動物亜門の下位分類群である条鰭綱の多くや、肉鰭綱、爬虫類、鳥類に強膜骨環が確認出来る。強膜骨環が無くなったグループには、両生類、いくつかの爬虫類、魚類、すべての哺乳類が挙げられる[7]。
ヒト以外の全ての霊長目の眼では強膜(白目)は目立たず、外部から観察できることはまれにしかない 外層から最も深い部分の4つの強膜は:
組織学
強膜上板(en
強膜を覆う薄い層
虹彩支質(en)
虹彩支質は、メラニン細胞が散在する疎性結合組織、後面は網膜の虹彩部、虹彩先端で折り返し、2層の細胞層を形成する。前方の細胞は平滑筋様になり、瞳孔散大筋として働き、虹彩先端では瞳孔括約筋になる[9]。
脈絡上板(en)
脈絡膜の最も外側にある約30μmの薄い層のこと。強膜と脈絡上板との間が剥離する状態が脈絡膜剥離である[10]。
角膜内皮(en)
六角形をした角膜内皮細胞が敷石状に規則的に配列された構造。ヒトの角膜内皮細胞は一度障害されると再生せず、障害された部分は周りの内皮細胞が面積を拡大して補う。角膜内皮細胞は角膜の透明度を維持するためになくてはならない存在であり、内皮細胞の密度がある限度を超えて少なくなると角膜にむくみが発生し角膜の透明性が維持できなくなる。このような状態を水疱性角膜症と呼ぶ[11]。
強膜のコラーゲン繊維は、角膜コラーゲンように一番薄く均一な配列とは異なり、多くのグリコサミノグリカン(炭水化物の窒素による糖、ヘキソサミンの反復単位)を生産し、原繊維を細胞に巡らせる。角膜は5つの層を持ち、表面より上皮、ボーマン膜、固有質(実質)、デスメ膜、内皮の5層で構成される。
強膜は、角膜のような基底の内皮を含み、薄層上に高色素細胞がある[6]。時々、強膜に表れる灰-青色の小さなしみは、無害で強膜黒色細胞腫と呼ばれている。
人間の目は、動物界では特有のもので、特に強膜は目を開けた状態ではっきり見て取れる。これは人間の強膜が白目の為だからではなく、他の種族にも強膜の白目は見て取れるが、人間の虹彩は、他の動物に比べて眼の表面のむき出し部分が小さいためである。人間の強膜が特有なのは、学説的に感覚器として、目を使ったコミュニケーションが可能になる、社会的動物に進化、適応した為とされている[12]。人間の目特有の強膜は、1人の個人が他人に対して、虹彩の動きを見る事で、相手の事を容易に推測する事が可能になると信じられており、非言語コミュニケーションの有効性を増す事が出来るとするものである[13]。
機能