奴隷 · 強制労働
強制労働(きょうせいろうどう)とは、奴隷的な労働。国際法的に強制労働と確定している世界の主な事例には、以下が挙げられる。 国際労働機関(ILO)は、強制労働を禁止するために、1930年に『強制労働ニ関スル条約
大航海時代のスペイン・ポルトガルが行なったインディオの強制労働詳細は「スペインによるアメリカ大陸の植民地化」および「ポルトガルによるアメリカ大陸の植民地化」を参照
ベルギー王レオポルド2世の私有地であるコンゴ自由国では、住民は象牙やゴムの採集を強制され、ノルマを達成できなかった者は手足を切り落とされた[1]。
近代のスペイン・ポルトガル・オランダ・フランス・イギリス・アメリカ合衆国・ブラジル帝国による黒人奴隷
1907年の 「陸戦の法規慣例に関するハーグ条約」、1929年 の 「俘虜の待遇に関するジュネーブ条約」、1949年 の 「捕虜の待遇に関するジュネーブ条約」で禁止されている、対価のない労働禁止など捕虜への待遇や命令できる労働範囲を定めた条約違反の労働。ソ連政府によるシベリア抑留が有名である[2][3][4]。
アメリカ合衆国で1863年に奴隷解放宣言で奴隷制度が廃止された後、代わりの労働力として導入されたアジア系労働者達。苦力を参照。
ナチス・ドイツにおけるユダヤ人絶滅収容所。
旧ソ連(ロシア連邦)や中国、北朝鮮等の社会主義国などで行われている行為。戦後も強制収容所や児童労働も存在している[5][2][6][7][8][9][10]。
国際条約
しかしこれは列強国の植民地支配下の強制労働を背景に制定されたため、1948年採択の世界人権宣言の基準にそぐわない強制労働を禁止することができなかった。そこで1957年には、この条約を補完する『強制労働の廃止に関する条約(第105号)』[11] が採択された。
この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次に掲げる手段、制裁又は方法としてのすべての種類の強制労働を禁止し、かつ、これを利用しないことを約束する。
(a) 政治的な圧制もしくは教育の手段、または政治的な見解もしくは既存の政治的・社会的もしくは経済的制度に思想的に反対する見解を抱き、もしくは発表することに対する制裁
(b) 経済発展の目的のために、労働力を動員し、及び利用する方法
(c) 労働規律の手段
(d) ストライキに参加したことに対する制裁
(e) 人種的、社会的、国民的又は宗教的差別待遇の手段 ? 第105号 強制労働の廃止に関する条約 第一条
この条約の批准国は2023年4月現在、178カ国である[注釈 1]。日本国政府は2022年7月まで105号条約を批准していなかった。[12]。 江戸時代には浮浪者や無宿者を集めた人足寄場(ただし、これは更生施設や職業訓練所としての側面もあったと言われている)、佐渡金山の水替人足や、蝦夷地の場所請負制などで強制労働が見られた。 幕末の戊辰戦争から明治初期の動乱期にかけて政治犯として逮捕された者などは、北海道の集治監(現在の刑務所に相当)に送られ、炭坑労働[13] や道路・鉄道敷設の現場で強制労働させられた。集治鑑の死亡率があまりにも高く問題になったことから、明治中期には囚人の強制労働は中止され、民間の雇用による強制労働(タコ部屋労働)に変化した。 日本国憲法 労働基準法 第117条第5条の規定に違反した者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。 労働基準法第5条は、日本国憲法第18条の趣旨を労働関係において具体化し労働者の自由の侵害、基本的人権の蹂躙を厳罰をもって禁止し、もって封建的悪習を払拭し、労働者の自由意思に基づく労働を保障せんとすることを目的とする(昭和23年3月2日基発381号)。 労働基準法第5条の規定に違反した者に対しては、第117条において、労働基準法上最も重い法定刑が定められている。 労基法第5条違反の判例としては、広島地裁昭和26年5月1日及び名古屋地裁昭和25年9月13日などがあり、労働基準法第17条の前借金に絡む労働者の足留めや強制労働についてのものである。一方、強制労働の原因ともなる前借金や、労働することを条件とする前貸しの債権について、賃金との相殺を禁止した労働基準法第17条と関連した事件もある。 従業員が早期に退職しようとした場合について、昨今では青木定雄と青木信明 判例の傾向としては、運転手の在社就労期間が極端に短期ではなく会社に収益をもたらしていた場合、当該費用についてはタクシー業務との関連性が認められている。今日他社タクシー会社では二種免許取得費用の会社全額負担が趨勢である。強制労働問題に関しては具体的状況が民事裁判での和解などで考慮されている。 日本では、サービス残業など従業員が拒否できない長時間労働が問題となっている。特に中央官庁で勤務する国家公務員は、国会対応に追われ、連日の泊まり込みや月150時間ほどの残業が常態化している[14]。なかでも労働政策を所管する厚生労働省は残業時間の長さから「強制労働省」や「拘牢省」などと揶揄されていることから、働き方改革に乗り出している[15][16]。 知的障害児施設で虐待等により強制労働を強いていたという事件(例「水戸事件」、滋賀の「サン・グループ事件」)がいくつか起こっている。脳性麻痺患者による障害者患者会
各国の事情
日本
日本国憲法の関連法規
第18条何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第5条(強制労働の禁止) 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」とは、精神の作用又は身体の行動を何らかの形で妨げられる状態を生じさせる方法をいう。「不当」とは、本条の目的に照らしかつ個々の場合において具体的にその諸条件をも考慮し、社会通念上是認しがたい程度の手段の意である。したがってたとえ合法的なものであっても「不当」なものとなることがある(昭和22年9月13日発基17号、昭和63年3月14日基発150号)。
「労働者の意思に反して労働を強制」とは、不当な手段を用いることにより労働者の意識ある意思を抑圧し、その自由な発現を妨げ、労働すべく強要することをいい、必ずしも現実に労働することを要しない。いっぽう、詐欺の手段を用いられても、それは通常労働者は無意識の状態にあって意思を抑圧されるものではないから、必ずしもそれ自体としては本条に該当しない(昭和23年3月2日基発381号)。
企業の事例
長時間労働
障害者虐待「障害者虐待」を参照
ロシア・ソ連ボリシェヴィキにより強制労働をさせられる人々。