弁護士任官制度
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弁護士任官制度(べんごしにんかんせいど)とは、弁護士経験を積んだ者が裁判官になること。この場合における「任官」とは、裁判官に任命されることを指す。
日本における弁護士からの任官

現在の日本の裁判官は、職業裁判官として、司法試験合格後、司法研修所司法修習を受けた後、直ちに「判事補」という身分で裁判官に任官し、そしてそのほとんどが10年後にそのまま「判事」になっている。その後も、転勤に伴い各地での判事としての経験を積むことにより、部総括判事、上級裁判所の判事へと昇格していくシステムとなっている。

このため、多くの裁判官は、弁護士などの裁判官以外の法曹を経験せずに裁判官となっており、また学生時代に旧司法試験に合格し、そのまま司法修習に移行する者や、大学生からそのまま法科大学院への進学を行い新司法試験を受けている者が多数である傾向からすれば、裁判官以外の職を全く経験せずに裁判官に任官しているケースがほとんどと言える。キャリア裁判官・職業裁判官とも呼ばれる。

これに対し、職業裁判官は実社会における体験が乏しく、しばしば民間の意識と乖離した判決を出すことがあるとする批判が世論や弁護士からは根強い。弁護士任官制度は判事について1978年昭和53年)、判事補については1981年(昭和56年)を境に同制度での任官が姿を消したが[1]1988年(昭和63年)に復活した。また弁護士会は、裁判官を経験ある弁護士から任用する法曹一元制度が望ましいと考え、1991年平成3年)から弁護士会が関与した制度としての弁護士任官制度を発足させた。

しかし、これまで本制度を利用した弁護士からの任官者数は、1988年(昭和63年)から2003年(平成15年)までの15年間で判事50名、判事補10名の合計60名に留まっており、本制度はほとんど機能していないのが実情である[2]。その原因は、日本国内の全ての裁判官の人事権を掌握している最高裁判所事務総局が権力に従順で扱いやすい若手の司法修習生だけを採用する現行の判事補制度に強く固執しており[3]、弁護士任官制度の運用に極めて消極的であること、また弁護士の側も自由業である弁護士の業務から離れて制約の多い裁判官への任官を希望する者が少ないことによる。

日本弁護士連合会では、弁護士経験のある法曹による裁判官任官を促進するため、弁護士事務所に対し未来の裁判官を弁護士として採用する弁護士任官支援事務所の募集を行っている。

こうした状況に対して、最高裁判所と日本弁護士連合会は協議の結果2001年に「弁護士任官等に関する協議のとりまとめ」を合意・発表し、さらに調停事件に限定した「非常勤裁判官制度」が導入された[4]。キャリア裁判官や検察官の側にも、2005年より「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」が施行された[4]。2016年現在で常勤の弁護士出身裁判官は116人、非常勤裁判官経験者は484人、判事補・検事の弁護士職務経験者は189人となっている[4]
脚注^ 野村二郎「日本の裁判所」(講談社現代新書)29頁
^弁護士任官制度に基づく裁判官への任官者数(裁判所HPより)
^本多勝一・高見澤昭治『「司法改革」で日本の裁判は本当によくなるのか(3)』
^ a b c 弁護士任官等の実績状況 (PDF) - 『弁護士白書』2016年版、日本弁護士連合会

関連項目

任官

裁判官

弁護士

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更新日時:2017年11月18日(土)08:57
取得日時:2021/01/18 21:03


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