弁護士のくず
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弁護士のくず
漫画:弁護士のくず
弁護士のくず 第二審
作者
井浦秀夫
出版社小学館
掲載誌ビッグコミックオリジナル
レーベルビッグコミックス
発表号2003年16号 - 2014年13号
巻数全21巻
弁護士のくず:10巻
弁護士のくず 第二審:11巻
その他法律監修:小林茂
2010年から『弁護士のくず 第二審』に改題
ただし、改題前の連載作が一部
『第二審』単行本に収録されている。
ドラマ:弁護士のくず
原作井浦秀夫
制作TBSドリマックス・テレビジョン
放送局TBS系列
放送期間2006年4月13日 - 2006年6月29日
話数全12話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『弁護士のくず』(べんごしのくず)は、井浦秀夫による日本青年漫画。『ビッグコミックオリジナル』(小学館)にて2003年16号から2014年13号まで連載された。途中、2010年から『弁護士のくず 第二審』と改題している。法律監修に弁護士の小林茂和(第一東京弁護士会)。
作品概要

型破りで無茶苦茶な言動から「人間のくず」とまで呼ばれる弁護士九頭元人(くず もとひと)が、舞い込んでくる様々な依頼を引き受ける過程で、弁護士とは思えないような方法で依頼を解決する様や、依頼の裏に潜む人間模様を描いたブラック・コメディ漫画である。

単行本は小学館(ビッグコミックス)から、通巻で計21巻が刊行されている。『弁護士のくず』が全10巻、『弁護士のくず 第二審』が巻数をリセットして第1巻から全11巻となっているが、単行本への収録は連載順と異同があり、『第二審』第2巻の収録話の一部は『弁護士のくず』時代(2008年)の連載作である(この件の事情については掲載差し止め請求問題を参照)。

平成18年(2006年)度(第52回)小学館漫画賞一般向け部門を受賞している。

TVドラマ化され、2006年4月から6月までTBS系で放送された。
登場人物
弁護士
九頭 元人(くず もとひと)
本作の主人公。高校中退後に女性のヒモを経て、なぜか弁護士になれた男。その言動は建前無しの本音100%で貫かれており、時に自ら
ヤミ金対策を教えておきながら報酬を得るためにヤミ金と同じ手口を使ったり、弁護を担当した言動に問題のある被告人を、正義感からとはいえ、公判後の記者会見の場で怒りにまかせて殴ったり[1]している。更に偽悪趣味があり、事件が解決した後に屁理屈をこねる、最後の最後で余計な一言を言って場の空気を悪くする、所長である白石のいないところでは悪口を言っておきながら、白石の前ではわざとらしく必要以上に持ち上げるなど、その言動はしばしば周囲の顰蹙を買っている。依頼案件や裁判を有利に導くために、脅しや騙しといった弁護士らしからぬ非合法すれすれのテクニックを駆使したり、場合によっては利益相反守秘義務違反等、弁護士としての倫理[2] 違反を犯すなど、手段を選ばないこともある。しかし一方で、複雑な背景を持つ事件の本質や、他人の隠している本音を見抜く洞察力に優れており、その言動のお陰で立ち直った者も多く、時折はちゃんとしたことも言う[3]。事務所の方針でよく引き受けている少年事件は「全然儲からない」「ガキは大っキライだ、純粋で」という理由で好きではないが、非行少女を殴りつけて更生させたこともある[4]。また、適用法令等に関する解釈や判断は非常に妥当であったり、武田曰く「(依頼事件に関して)やることはちゃんとやってる」と評価されたり、刑事事件裁判において殺人罪での無罪判決を勝ち取っているなど、弁護士としては一流。さらに、一人娘の美月に対して、「(死んだ)お母さんは、いつもお前を褒めている」と言葉をかける優しい一面を持つ。時には暴走しかけた武田に対し、弁護士としての責務を厳しい口調で真剣に説くこともある。即興の嘘話を作るのが得意で、わがままな依頼人をそれで説得したりもするが、大抵は意味もなく持ち出して、相手を煙に巻いている。短髪で丸顔、瞳だけ描かれた小さい目、赤い頬、M字形をした口などの容貌はビートたけしに似ており、他の登場人物とは異なる、人形めいた特徴的な描き方をされている。これについて作者の井浦は「九頭の顔を敢えて『ペルソナ(仮面)的』にしてあるのは、そうしないと恥ずかしい台詞を言わせることができないから」と述べている[5]。第8話まで左眉や鼻頭に絆創膏(ばんそうこう)を貼っていた。一時、テレビドラマ『リーガルハイ』の主人公古美門研介に扮したこともある。
武田 真実(たけだ まみ)
人権派弁護士白石誠に憧れ入所した女性弁護士。常識的で正義感も強いが、人を疑うということを知らず、依頼人の嘘や隠し事に騙されることも多く、事の是非を一方的に決めつけるなど、独善的なところがある。九頭とコンビを組むことが多く、彼の非常識な言動に振り回されており、時にはきつい言葉で九頭を罵倒することがあり、九頭を殴ることもあるが、そのときは必ずグー。九頭の弁護士としての実力は認めているが、直後にとんでもない発言をすることなどは快く思ってはいない。そのためか九頭に「先生」をつけず、そのまま「クズさん」と呼ぶ。幽霊が苦手で、暗い場所や幽霊話をされたりすると過度に怯えたり、泣き出してしまう事もある。
白石 誠(しらいし まこと)
九頭が所属する白石誠法律事務所の所長。少年事件付添活動に熱心な人権派弁護士として知られ、テレビのコメンテーターとして登場することも多い。しかし実際には、依頼人が持ってきたアダルトDVDをこっそり見たり、九頭が記者会見に酔って現れたり、あるいは自分が息子とケンカする姿を見られたりする度に「メンツ丸つぶれ…」と言いながら泣き出したりする、小市民的な人物。悪口を言われたり間違って物をぶつけられたりすると、怒りの表情を露わにする短気な一面もある。
加藤 公平(かとう こうへい)
九頭と同じ法律事務所に所属する男性弁護士。武田同様、九頭の非常識な言動に悩まされている。非常に真面目で堅物な妻帯者だが、一度だけ女性の依頼人に誘惑され(たと勘違いし)て誘いに乗りかけたことがある[6]。また、痴漢冤罪事件の被告になったこともある。
白石 寿仁也(しらいし じゅにや)
白石誠の息子。27歳の時に意図せずして「釣り銭詐欺事件[7]」を起こして以来、みんなにバカにされていると思いこんで人付き合いがうまくできなくなった。初登場時は派手な服にサングラス、金髪といったヤンキーのような服装をしており、以前は白石誠法律事務所の中に自分の事務所を作っていた。父親と同様小市民的な人物で、すぐ調子に乗っては、結局失敗して落ち込んでいる。
軒下 歩夢(のきした あゆむ)
連載100回記念で登場した32歳の新人女性弁護士。以前はOLをしていたが弁護士を志し、700万円の借金をして法科大学院に入って司法試験に合格し弁護士になったものの、弁護士過剰の就職難によって88箇所の事務所から就職を断られていた。白石法律事務所でも断られたはずだったのだが、人手不足を補うために基本給無しのノキ弁[8] として入所した。よく言えば素直な性格で、依頼人と対等の立場で接することが出来る。しかし、調子に乗りやすく経験も不足しているため失敗も多い。
その他の人物
九頭 美月(くず みづき) / 旧名:秋野 美月(あきの みづき)
九頭がかつてヒモをしていた時に付き合っていた女性・秋野葉月(あきの はづき)の娘。小学生。
シングルマザーだった葉月が交通事故で亡くなり、葉月の兄夫婦、すなわち伯父母の元に引き取られたが、そこで冷遇されたあげく虐待を受けていたため、九頭を頼って家出した。実際に九頭と血縁があるかどうかが不明であったため、九頭も美月に会った直後は全く認知する気が無かった[9]。だが、美月の周りにいる人間の全く思いやりが無く身勝手な言動に激怒した九頭が、勢い余って認知してしまい娘として同居することになる。生前の母からは九頭の写真を見せられて「父親は正義の弁護士でヤクザと戦って死んだ」と語り聞かされていたが、現実の九頭の言動にはかなり頭を痛めている。いわゆる文化系で、よく九頭に古典や神話、偉人の名言などの話を持ちかけてくるが、ほとんどバカ話かエロ話にされてしまう[10]。霊が苦手なようで、幽霊や生き霊の登場する小説を読んでは怖がっている。第10話から眼鏡を掛けるようになった。同居後しばらくは母親の姓である「秋野」を名乗っていたが、第112話で「九頭」に改姓した。最終話にて、九頭とは実の親子であることが判明する。
小俣 夕花(おまた ゆうか)
白石誠法律事務所の事務員[11]。おとなしい性格だが、依頼人の小説家にナンパされ、そのまま付き合っていた事がある。その後、女性弁護士との三角関係が発覚して別れた[12]。「浮林亜衣(ふりん あい)」という従姉妹がいる。武田と仲が良く、武田の事を「マミ先生」と呼び、よく一緒に食事をする。
国光 裕次郎(くにみつ ゆうじろう)
九頭の友人の古書店店主。当初はTVドラマ版のオリジナルキャラクターだったが、逆輸入の形で登場するようになった。設定はTVドラマ版と同じで、人物のモデルもTVドラマ版で国光を演じていたモト冬樹
氷谷 令(ひたに れい)
地方検察庁検事。被告人に対して一切容赦のない鬼検事で、九頭とは裁判で2度渡り合い、共に九頭の想定より重い判決が下されている[13]
掲載差し止め請求問題

2008年2月13日、弁護士の内田雅敏が「1月5日号から連載された3話のストーリーが、自著の『乗っ取り弁護士』に酷似しており、著作権を侵害している」と主張して、『ビッグコミックオリジナル』発行元の小学館と作者の井浦に対し、第4話の雑誌掲載と単行本収録中止を求める仮処分申請を東京地方裁判所に申し立てた。しかし東京地裁が最終話掲載誌の発売までに結論を出さなかったため、全話が予定通り掲載された。


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