『序奏と協奏的アレグロ』(ドイツ語: Konzert-Allegro mit Introduktion) 作品134 は、ロベルト・シューマンが作曲したピアノと管弦楽のための協奏的作品。 生涯を通じて音楽家として公的な職にはほとんど就かなかったシューマンであったが、1850年に友人のフェルディナント・ヒラーの後任として指揮者のポストを引き受け、ドレスデンからデュッセルドルフに移ってきていた[1]。しかし楽団の音楽家たちや経営陣とそりが合わず、シューマンは不眠と鬱を発症して健康を悪化させていくことになる[1]。 本作は妻のクララの34歳の誕生日を祝い、1853年9月13日にクレムス
概要
1853年9月30日にシューマン夫妻と面識を得た若きブラームスはこの作品を高く評価し、多大な尽力を行って1855年6月にライプツィヒのバルトルフ・ゼンフ(英語版)からの出版へとこぎつけた[2]。シューマンはこの青年に本作を「大きな喜び」をもって献呈している[2]。 ピアノ独奏、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーン、ティンパニ、弦五部。 約14分[3]。 本作はシューマンが過去に書いたピアノと管弦楽の協奏的作品であるピアノ協奏曲 イ短調や『序奏とアレグロ・アパッショナート』とは異なり、音楽の比重はかなりピアノに偏っており[2]、管弦楽は伴奏の役目を任されているに過ぎない[3]。曲は序奏に開始する。まず、弦楽器のピッツィカートによる呼びかけに応え、ピアノが譜例1を奏する。そのままピッツィカートとピアノの対話が続いていく。 譜例1 次第に加速して4/4拍子、ソナタ形式の主部に入る。ピアノの華やかなパッセージに続いて情熱的な楽想が奏でられる(譜例2)。 譜例2 譜例2の後には16分音符の動きが続き、トゥッティに取って変わられる。続いて譜例1が現れるが、それがそのままヘ長調の譜例3を呼び出す。日本ではこの旋律に関して、山田耕筰作曲の童謡『赤とんぼ』との類似を指摘されることがある[4]。その後はピアノを中心とする小結尾が進められていく。 譜例3 ピアノの急速な音型から展開が行われていき、木管が譜例3を奏でる。まもなく、譜例2が回帰して再現部となり、譜例3のニ長調での再現が続く。コデッタの後にはカデンツァが挿入されている。カデンツァは開始部分で譜例1を示した後、譜例3を中心としてトレモロによる装飾を加えていく。この書法はシューマンには珍しいものである[2]。最後にはコラール風のコーダが置かれ[2]、堂々と締めくくられる。
楽器編成
演奏時間
楽曲構成
Ziemlich langsam (かなり遅く) 3/4拍子 ニ短調 - Lebhaft (活発に) 4/4拍子 ニ短調
出典^ a b c Keith Anderson, Booklet for CD, Schumann: Piano Concerto, Introduction and Allegro Appassioinato, Introduction and Allegro, Naxos, 8.557547.
^ a b c d e f g h i j Joachim Draheim, Booklet for CD, Schumann: Samtliche Werke fur Kalvier und Orchester, hanssler, 93.264.
^ a b c Stevenson, Joseph. 序奏と協奏的アレグロ
^ シューマン: 序奏と協奏的アレグロ Op.134
参考文献
CD解説 Keith Anderson, Schumann: Piano Concerto, Introduction and Allegro Appassioinato, Introduction and Allegro, Naxos, 8.557547
CD解説 Joachim Draheim, Schumann: Samtliche Werke fur Kalvier und Orchester, hanssler, 93.264.
楽譜 Schumann: Concert Allegro mit Introduction, Breitkopf & Hartel, Leipzig, 1887