『広弘明集』(こうぐみょうしゅう)とは、中国唐の道宣が編纂した、仏教護法のために書かれた文章を集めた書物である。30巻、664年(麟徳元年)に成立した。
梁の僧祐
が編纂した『弘明集』に漏れた文章や、その後に書かれた詔勅・書簡・論書・詩賦の類などを集めたものである。その大部分は東晋から隋唐に及ぶ時代の文章を収録しているが、中には春秋戦国の諸子百家に属する文や、あるいは史書の抜粋も含まれている。中に『魏書』「釈老志」や『顔氏家訓』中の仏教信仰に関して述べた「帰心篇」、阮孝緒の『七録』の序なども収められている。本書は、中国仏教史研究のみならず、中国思想史研究における重要な文献資料であり、北周道安の「二教論」及び甄鸞の「笑道論」や、初唐の太史令傅奕の「高識伝」への反論としての「列代王臣滞惑解」(弁惑篇に収録)など、仏教道教の二教の優劣論争に関する基本文献が収録されている。
構成
帰正篇
弁惑篇
仏徳篇
法義篇
僧行篇
慈済篇
誡功篇
啓福篇
悔罪篇
統帰篇
テキスト
『大正新脩大蔵経』52巻「史伝部4」
日本語訳
『大乗仏典 中国・日本篇4』、中央公論社、1988年 - 吉川忠夫訳、現代語訳のみ(抄版)。
更新日時:2015年3月5日(木)13:14
取得日時:2019/02/05 12:15