広宣流布
[Wikipedia|▼Menu]

広宣流布(こうせんるふ)は、法華経の教えを広く宣(の)べて流布すること。略して広布(こうふ)ともいう[1]日蓮系各派では、この語を「日蓮(自派)の教えを広める」という意味で用いている[2]
法華経

鳩摩羅什妙法蓮華経薬王菩薩本事品第二十三の、「是故宿王華 以此薬王菩薩本事品 嘱累於汝 我滅度後 後五百歳中 広宣流布 於閻浮提 無令断絶 悪魔魔民 諸天 龍 夜叉 鳩槃荼等 得其便也」が由来[3]
訓読

「是の故に宿王華、此の薬王菩薩本事品を以って汝に嘱累す。我が滅度の後後の五百歳
[注釈 1]の中、閻浮提に広宣流布して、断絶して悪魔・魔民・諸天・龍・夜叉・鳩槃荼等に其の便り[注釈 2]を得せしむることなかれ。」[3]

現代語訳

「それゆえに、"星宿の王によって花で飾られた神通を持つもの"(宿王華)よ、〔恐るべき〕後の時代、後の情況において、後の五百〔年〕が進行している間に、このジャンブー州(閻浮提)において〔この章〕が流布して、消失〔する〕に到ることがないように、また魔のパーピーヤス(波旬)がつけ入る機会を得ることがない〔ように〕、魔の集団に属する神々たちも、龍たちも、ヤクシャ(夜叉)たちも、ガンダルヴァ(乾闥婆)たちも、クンバーンダ(鳩槃荼)たちもつけ入る機会を得ることがない〔ように〕、私はこの『あらゆる衆生が喜んで見るもの(一切衆生喜見)という偉大な人である菩薩の過去との結びつき』章を付嘱しよう。」
[4]

「従って、ナクシャトラ=ラージャ=サンクスミタ=アビジュニャよ、偉大な志を持つ弘法者「サルヴァサットヴァ=プリヤダルシャナの前世の因縁」の章が最後の時であり最後の機会である最後の五十年が経過している間に、このジャンブ=ドゥヴィーパに行われて、消滅しないように、また魔王パーピーヤス(波旬)が襲撃の機会を得ず、悪魔の眷属や神や、竜、ヤクシャ、ガンダルヴァ、クンバーンダどもが襲撃の機会を得ないように、余はそれを汝に委ねよう。」[5]

記述

日蓮が残した文書のうち「広宣流布」という単語が出てくる記述を、上記薬王菩薩本事品を引用する部分を除いて例示すれば、以下の通り。

「剰へ広宣流布の時は、日本一同に南無妙法蓮華経と唱へん事は大地を的とするなるべし」(『諸法実相抄』[6]

「是悪比丘為利養故不能広宣流布是経。」(『守護国家論』[7][8]

「広宣流布の妄語となるべきか。」(『開目抄』[9][10]

「指広宣流布之時歟。」(『顕仏未来記』[11][12]

「遠後五百歳広宣流布無疑者歟。」(『聖人知三世事』[13][14]

「今日本国に弥陀称名を四衆の口々に唱がごとく広宣流布せさせ給べきなり。」(『撰時抄』[15][16]

現在の日蓮教団が「広宣流布」に関連した話の典拠とする、日蓮が残した文書を例示すれば、以下の通り。

「日蓮が慈悲曠大ならば南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし。」(『報恩抄』[17][18][19][20][21]

「今生には不祥の災難を払ひ長生の術を得、人法共に不老不死之理顕れん時を各各御覧ぜよ。」(『如説修行鈔』[22][23][1][24]


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:43 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef