この項目では、体から離れる解離体験について説明しています。
オカルトにおける体外離脱については「アストラル投射」をご覧ください。
臨死体験中の体外離脱については「臨死体験」をご覧ください。
アーティストによる分離段階のイメージ。自由に移動できるようになる前に発生することが多い。
体外離脱(たいがいりだつ)あるいは体外離脱体験(たいがいりだつたいけん、英: Out-of-body experience、略称: OBE または OOBE)とは、自分の肉体から抜け出た世界を体験することである。体外離脱は自己像幻視(英: Autoscopy)の一形態だが、この用語は一般的にはドッペルゲンガーなどの二人目の自分を見るという病的状態を指す。
体外離脱体験(英: Out-of-body experience)という用語は、G. N. M. Tyrrell
の著書『Apparitions』(1943年)で初めて使用され[1]、後にCelia Green[2]やロバート・モンロー[3]などの研究者によって「アストラル投射」または「スピリット・ウォーキング」(英: Spirit walking)などの信仰が中心の名前に代わるものとして採用された。体外離脱は、外傷性脳損傷や感覚遮断、臨死体験、解離性およびサイケデリックの幻覚剤、脱水、睡眠障害と夢、および脳への電気的刺激などによって誘発される[4]。また、修行中のヨーガの行者[5]や研究などの目的で一部の人々によって意図的に誘発される場合もある[6]。10人に1人が生涯に一度または数回の体外離脱を経験をしている。[7][8]体外離脱現象は、古代エジプトやインディアン、オセアニア、ヘブライの文化、ギリシア哲学、中世の錬金術、ヒンドゥー教、およびイスラム教などの文化で見られる。ディーン・シールズの研究によると、44の非西欧文化の中で体外離脱現象が見られない文化は3つしかないという。また、人類学者のエリカ・ブルギニオンが世界中の488の文化を調査したところ、その89%において体外離脱についての何らかの言い伝えが存在した。[5]
神経科学者と心理学者は、体外離脱を様々な心理学的および神経学的要因から生じる解離体験であると考えている。[6][9][10][11][12][13][14][15]
自然発生
睡眠中・睡眠前詳細は「金縛り」を参照
体外離脱体験者は、(他の即時的および自然的体験の中でも)明晰夢状態が先行して始まっていることを報告することがよくある。多くの場合、それは睡眠の寸前であったか離脱の少し前に既に眠っていた人々である。これらのケースのほとんどは、(病気や他の部屋の騒音、感情的ストレス、過労による疲れ、頻繁な中途覚醒などによって)睡眠が特に深くない状況にあったことを示している。これらのケースのほとんどで被験者は自分は目覚めていると認識しており、また約半数が金縛り状態にあると感じていた。[16]
臨死体験詳細は「臨死体験」を参照
自然発生的体外離脱のもう一つの形態は臨死体験(英: Near-death experience、略称: NDE)である。一部の被験者は、大手術や溺死寸前などの著しい身体的外傷の際に体外離脱を体験したと報告している。臨死体験には肉体の外側にいるという主観的印象や、時には死んだ親族や宗教的人物の幻視、自我や時空の超越といったことが含まれる場合がある[17]。通常、その経験には死んでいるような感覚や、平和や無痛の感覚、様々な非物理的音声の聴取、トンネルを通り抜けるような感覚(上方への移動や狭い通路を通るような感覚)、「光の存在」や神のような人物または類似の存在との出会い、走馬灯、および人生に戻ることへの抵抗感などの要素が含まれる。[18] 臨死体験と似たものとして、高地での登山やマラソンなどの極端な身体的運動が体外離脱を引き起こす可能性がある。地上にいる感覚と空中にいる視点の両方を同時に体験することにより、バイロケーションの感覚を体験する可能性がある。[19] 体外離脱は、シロシビンやケタミン、DMT、MDA、およびLSDなどの幻覚剤(特に解離性のもの)によって誘発されることがある。[20][21][22][23]
過激な運動の結果
誘導
化学的誘導
精神的誘導
意識を失うことなく身体的に眠りに落ちる。「意識は起きて、身体は眠っている」(英: Mind Awake, Body Asleep)状態は、自発的およびその他の理由による体外離脱の原因として広く示唆されている[24]。トーマス・エジソンはこの状態を利用して発明の際の問題解決に取り組んでいた。彼は金属製のバケツを持って椅子に座り、頭の上に1ドル硬貨を置いた。彼が眠りに落ちると頭上のコインはけたたましくバケツに落ち、彼を覚醒させたのである[25]。体外離脱の先駆者であるSylvan Muldoon
深いトランス状態、瞑想と視覚化。視覚化には様々な種類があり、一般的なアナロジーにはロープを伝って体を引き抜くものや、体から浮かぶ、大砲から撃ち出される、およびその他の類似のアプローチが含まれる。このテクニックは適切にリラックスできない人には使いにくいと考えられている。そのようなテクニックの一例は黄金の夜明け団による光体が挙げられる。[30]
機械的誘導
視聴覚的刺激を介した脳波同調(英語版)。バイノーラル・ビート(英語版)は特定の周波数の脳波[31]、特に様々なMind Awake/Body Asleep状態で支配的な周波数を誘発するために使用される。Body Asleep状態で見られる4ヘルツの脳波のバイノーラル誘導はモンロー研究所によって効果的であると認められ[32]、一部の著者は、他のテクニックと組み合わせて使用した場合、体外離脱の開始を著しくサポートすると考えている[33][34]。