本作に基づくテレビドラマについては「幼年期の終り (テレビドラマ)」をご覧ください。
「幼年期の終わり (TRPGリプレイ)」とは異なります。
幼年期の終り
Childhood's End
著者アーサー・C・クラーク
訳者福島正実(1964年)
沼沢洽治(1969年)
池田真紀子(2007年)
発行日1952年
1964年
発行元バランタイン社(Ballantine Books
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『幼年期の終り』(ようねんきのおわり、Childhood's End)はイギリスのSF作家、アーサー・C・クラークの長編小説。宇宙の大きな秩序のために百数十年間にわたって「飼育」される人類の姿と、変貌する地球の風景を、哲学的思索をまじえて描いた作品[1]。アメリカ合衆国で1952年に刊行されたのち、クラークの代表作としてのみならず、SF史上の傑作として国際的に広く愛読されている[1]。 母体となったのはアーサー・C・クラークが1946年7月に執筆した短編小説『守護天使』 (Guardian Angel) [注釈 1]である。当初「アスタウンディング」誌に投稿したが不採用となり、改稿の上「フェイマス・ファンタスティック・ミステリーズ
概要
この『守護天使』をもととしつつ、敬愛するオラフ・ステープルドン風の「予見可能なユートピア」「人類のさらなる進化と終末」といったヴィジョンを取り入れて大きく膨らませた長編小説として、1952年に脱稿し、同年刊行された。クラークにとっては5作目の長編小説となった。 プロローグと3つの部で構成されている。
内容
プロローグ
米ソの宇宙開発競争が熾烈さを増す20世紀後半のある日[注釈 2]、多数の巨大な円盤状の宇宙船が、世界各国の大都市上空に出現する。
第1部「地球とオーバーロードたちと」
宇宙船に搭乗する異星人の代表はラジオ放送の電波を通じ、自分はカレルレン (Karellen)[注釈 3] という名であること、今後の地球は自分たちが管理下に置くことなどを宣言する。突如現れた異星人の存在に混乱する地球人だったが、カレルレンらはこれといって地球を支配・侵略するような素振りは見せず、むしろ異星由来の優れた知識と科学力を地球人に授け、文明の発展を後押ししてゆく。それにより既存の国家機構や地球文化は失われたが、人々はあらゆる苦悩から解放され、楽園のような世界が実現することとなった。地球人はこの異星人を「オーバーロード(上帝)」 (Overlord) と呼んだ。カレルレンたちオーバーロードは、地球人として唯一オーバーロードの宇宙船への立ち入りを許された国際連合事務総長・ストルムグレンを通じて地球人を指導していたが、地球人に決して生身の姿を見せようとはしなかった。カレルレンは宇宙船内におけるストルムグレンとの会談においても壁越しでしか会話をせず、人々はそれを不満に思っていたが、やがてカレルレンは地球人に対し、50年後に生身の姿を公開することを約束する。ストルムグレンは定年退官直前の最後の会談のとき、カレルレンの姿を見ようと一計を案じ、実行に踏み切るが、その結果については黙して語らなかった。
第2部「黄金時代」
第1部より50年後。それまで長きにわたって各地の大都市上空にあったオーバーロードの宇宙船は、ニューヨーク上空のものを除いて忽然と姿を消す。ニューヨークの郊外に降り立ったオーバーロードは、約束通り全世界の人々の前に生身の姿を見せる。その姿形は地球人がこれまで宗教画などに描いてきた悪魔とまったく同じ、という衝撃的なものであったが、やがて地球人たちはその姿を受け入れ、オーバーロードと共存しつつ、オーバーロードによって与えられた平和で豊かな生活を享受する。その反面、地球人独自の文明進化の試みは抑制され、特に宇宙開発が禁じられたことに不満を持つ人々がいた。そのひとりの天文学者、ジャン・ロドリックスは、オーバーロードの母星に密航しようと企て、彼らの宇宙船に積み込まれたクジラの剥製標本に潜り込む。