年間最多勝
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この項目では、大相撲における最多勝について説明しています。その他の用法については「最多勝利 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

「年間最多勝」(ねんかんさいたしょう)とは、大相撲本場所において、その1年間に幕内で最も多く勝ち星を挙げた力士に対して贈られる賞である。表彰としての正式名称は「最多勝力士賞」[1]
概要

1957年昭和32年)に11月場所が本場所に加わり、年5場所制になったことから、「その年の最多勝力士は誰か」という興味が新たに生まれた。このことから、11月場所が開催される福岡県に本社を持つ西日本新聞社によって賞が設立され、同場所の千秋楽にその表彰が行われている。受賞者には同社より賞状・トロフィー・金一封が授与される[2]。翌1958年(昭和33年)からは7月場所も本場所に加わって、同年から現在に至るまで年6場所制が定着となる。

但し、2011年平成23年)は大相撲八百長問題の余波を受けて3月場所が中止(5月場所は技量審査場所として開催)、さらに2020年令和2年)も新型コロナウィルス感染症拡大による自粛の影響で5月場所を開催断念の為、それぞれ年5場所での表彰となった。

勝星数以外の要素は一切考慮されないため、圧倒的な実力があっても休場の場所があると最多勝争いでは大きく不利になり、受賞を逃すことがある。例えば、1966年(昭和41年)の大鵬幸喜は3月場所から11月場所まで全て13勝以上で5連覇[注釈 1]したにもかかわらず、1月場所全休で69勝に終わり、71勝の柏戸剛(優勝1回、優勝同点1回だが6場所皆勤で全て10勝以上)に及ばなかった。また、1988年(昭和63年)の千代の富士貢は5月場所から11月場所まで4連覇、かつこの間に53連勝を記録しながら3月場所全休で70勝に終わり、73勝の旭富士正也(優勝1回だが6場所皆勤で全て11勝以上)に及ばなかった。逆に上位陣の休場が多い場合は、大関以上未経験の力士が獲得したり、最高位で平幕の力士があと1歩で最多勝になるということもある。近年(2020年前後)は横綱、大関の休場が多いためにこのような事例が発生する[注釈 2]

なお、報知新聞社の制定する「報知年間最優秀力士賞」は全く別の表彰である(「報知年間最優秀力士賞」は勝星数のみならず、優勝回数や相撲内容等を総合的に審査して受賞者を決定する)。
年間最多勝力士一覧

幕内最高優勝優勝同点負け越し(休場含む)

年力士名勝負休受賞回数優勝回数(同点)1月場所3月場所5月場所7月場所9月場所11月場所備考
1957年
栃錦清隆59160初受賞1回11勝4敗11勝4敗12勝3敗-13勝2敗12勝3敗当時7月場所は開催前で、年5場所制
1958年若乃花幹士75140初受賞3回13勝2敗12勝3敗11勝4敗13勝2敗14勝1敗12勝2敗1分1分有り、同年から年6場所制
1959年栃錦清隆771302年ぶり2度目2回 (1回)10勝5敗14勝1敗14勝1敗15戦全勝12勝3敗12勝3敗
1960年大鵬幸喜66240初受賞1回12勝3敗7勝8敗11勝4敗11勝4敗12勝3敗13勝2敗1年を通して関脇以下の力士では初受賞
1961年大鵬幸喜711902年連続2度目3回10勝5敗12勝3敗11勝4敗13勝2敗12勝3敗13勝2敗
1962年大鵬幸喜771303年連続3度目4回 (1回)13勝2敗13勝2敗11勝4敗14勝1敗13勝2敗13勝2敗
1963年大鵬幸喜81904年連続4度目3回14勝1敗14勝1敗15戦全勝12勝3敗14勝1敗12勝3敗
1964年大鵬幸喜6911105年連続5度目4回15戦全勝15戦全勝10勝5敗1勝4敗10休14勝1敗14勝1敗
1965年佐田の山晋松74160初受賞2回 (1回)13勝2敗12勝3敗14勝1敗12勝3敗12勝3敗11勝4敗
1966年柏戸剛71190初受賞1回 (1回)14勝1敗10勝5敗12勝3敗12勝3敗13勝2敗10勝5敗
1967年大鵬幸喜706143年ぶり6度目3回15戦全勝13勝2敗14勝1敗2勝1敗12休15戦全勝11勝2敗2休史上初の最多勝同点受賞
柏戸剛702002年連続2度目1回12勝3敗11勝4敗13勝2敗14勝1敗9勝6敗11勝4敗
1968年玉乃島正夫69210初受賞1回12勝3敗12勝3敗13勝2敗10勝5敗10勝5敗12勝3敗
1969年北の富士勝昭63270初受賞1回11勝4敗9勝6敗9勝6敗9勝6敗12勝3敗13勝2敗
1970年北の富士勝昭751502年連続2度目3回13勝2敗13勝2敗14勝1敗13勝2敗11勝4敗11勝4敗3年ぶり2回目の最多勝同点受賞
玉の海正洋751502年ぶり2度目2回 (1回)13勝2敗13勝2敗12勝3敗9勝6敗14勝1敗14勝1敗
1971年北の富士勝昭731703年連続3度目3回11勝4敗11勝4敗15戦全勝8勝7敗15戦全勝13勝2敗
1972年輪島大士63270初受賞1回10勝5敗9勝6敗12勝3敗8勝7敗13勝2敗11勝4敗
1973年輪島大士771212年連続2度目3回11勝4敗13勝2敗15戦全勝11勝4敗15戦全勝12勝2敗1休
1974年北の湖敏満73170初受賞2回 (2回)14勝1敗10勝5敗13勝2敗13勝2敗11勝4敗12勝3敗
1975年北の湖敏満711902年連続2度目2回 (2回)12勝3敗13勝2敗13勝2敗9勝6敗12勝3敗12勝3敗
1976年輪島大士771303年ぶり3度目2回 (1回)12勝3敗13勝2敗13勝2敗14勝1敗12勝3敗13勝2敗
1977年北の湖敏満801002年ぶり3度目2回12勝3敗15戦全勝12勝3敗13勝2敗15戦全勝13勝2敗
1978年北の湖敏満82802年連続4度目5回15戦全勝13勝2敗14勝1敗15戦全勝14勝1敗11勝4敗
1979年北の湖敏満771303年連続5度目3回14勝1敗15戦全勝13勝2敗12勝3敗13勝2敗10勝5敗
1980年北の湖敏満771304年連続6度目3回12勝3敗13勝2敗14勝1敗15戦全勝11勝4敗12勝3敗
1981年北の湖敏満691565年連続7度目2回 (1回)14勝1敗13勝2敗14勝1敗13勝2敗10勝5敗5勝4敗6休
1982年千代の富士貢74160初受賞4回12勝3敗13勝2敗13勝2敗12勝3敗10勝5敗14勝1敗
1983年隆の里俊英78120初受賞2回11勝4敗12勝3敗13勝2敗14勝1敗15戦全勝13勝2敗
1984年若嶋津六夫71190初受賞2回11勝4敗14勝1敗9勝6敗15戦全勝11勝4敗11勝4敗
1985年千代の富士貢801003年ぶり2度目4回15戦全勝11勝4敗14勝1敗11勝4敗15戦全勝14勝1敗
1986年千代の富士貢6810122年連続3度目5回13勝2敗1勝2敗12休13勝2敗14勝1敗14勝1敗13勝2敗
1987年北勝海信芳74160初受賞2回11勝4敗12勝3敗13勝2敗11勝4敗14勝1敗13勝2敗
1988年旭富士正也73170初受賞1回14勝1敗12勝3敗12勝3敗11勝4敗12勝3敗12勝3敗
1989年北勝海信芳721802年ぶり2度目2回 (1回)14勝1敗11勝4敗13勝2敗12勝3敗11勝4敗11勝4敗
1990年旭富士正也702002年ぶり2度目2回9勝6敗8勝7敗14勝1敗14勝1敗13勝2敗12勝3敗
1991年霧島一博62280初受賞1回14勝1敗5勝10敗11勝4敗10勝5敗12勝3敗10勝5敗
1992年貴花田光司60300初受賞2回14勝1敗5勝10敗9勝6敗8勝7敗14勝1敗10勝5敗史上最年少記録
1993年曙太郎76140初受賞4回13勝2敗10勝5敗13勝2敗13勝2敗14勝1敗13勝2敗外国出身力士として史上初
1994年貴乃花光司801002年ぶり2度目4回14勝1敗11勝4敗14勝1敗11勝4敗15戦全勝15戦全勝
1995年貴乃花光司801002年連続3度目4回 (1回)13勝2敗13勝2敗14勝1敗13勝2敗15戦全勝12勝3敗
1996年貴乃花光司705153年連続4度目4回 (1回)14勝1敗14勝1敗14勝1敗13勝2敗15戦全勝全休
1997年貴乃花光司781204年連続5度目3回 (2回)13勝2敗12勝3敗13勝2敗13勝2敗13勝2敗14勝1敗
1998年若乃花勝67230初受賞2回10勝5敗14勝1敗12勝3敗10勝5敗12勝3敗9勝6敗
1999年武蔵丸光洋70200初受賞4回8勝7敗13勝2敗13勝2敗12勝3敗12勝3敗12勝3敗
2000年曙太郎761407年ぶり2度目2回11勝4敗12勝3敗13勝2敗13勝2敗13勝2敗14勝1敗
2001年武蔵丸光洋731702年ぶり2度目1回 (2回)14勝1敗12勝3敗13勝2敗12勝3敗9勝6敗13勝2敗
2002年朝青龍明徳66240初受賞1回8勝7敗11勝4敗11勝4敗12勝3敗10勝5敗14勝1敗
2003年朝青龍明徳671852年連続2度目3回14勝1敗10勝5敗13勝2敗5勝5敗5休13勝2敗12勝3敗
2004年朝青龍明徳781203年連続3度目5回15戦全勝15戦全勝13勝2敗13勝2敗9勝6敗13勝2敗
2005年朝青龍明徳84604年連続4度目6回15戦全勝14勝1敗15戦全勝13勝2敗13勝2敗14勝1敗史上初の年6場所で、完全制覇を達成
2006年朝青龍明徳6711125年連続5度目4回11勝4敗13勝2敗1勝2敗12休14勝1敗13勝2敗15勝全勝
2007年白鵬翔74160初受賞4回10勝5敗13勝2敗15戦全勝11勝4敗13勝2敗12勝3敗
2008年白鵬翔791102年連続2度目4回14勝1敗12勝3敗11勝4敗15戦全勝14勝1敗13勝2敗
2009年白鵬翔86403年連続3度目3回 (3回)14勝1敗15戦全勝14勝1敗14勝1敗14勝1敗15戦全勝
2010年白鵬翔86404年連続4度目5回12勝3敗15戦全勝15戦全勝15戦全勝15戦全勝14勝1敗
2011年白鵬翔66905年連続5度目4回14勝1敗-13勝2敗12勝3敗13勝2敗14勝1敗3月場所が中止の為、54年振り2回目の年5場所に
2012年白鵬翔761406年連続6度目2回12勝3敗13勝2敗10勝5敗14勝1敗13勝2敗14勝1敗
2013年白鵬翔82807年連続7度目4回12勝3敗15戦全勝15戦全勝13勝2敗14勝1敗13勝2敗
2014年白鵬翔81908年連続8度目5回14勝1敗12勝3敗14勝1敗13勝2敗14勝1敗14勝1敗
2015年白鵬翔6612129年連続9度目3回15戦全勝14勝1敗11勝4敗14勝1敗0勝3敗12休12勝3敗
2016年稀勢の里寛69210初受賞0回9勝6敗13勝2敗13勝2敗12勝3敗10勝5敗12勝3敗史上初の年6場所で、優勝・同点無しで受賞
2017年白鵬翔569252年ぶり10度目3回11勝4敗2勝3敗10休15戦全勝14勝1敗全休14勝1敗
2018年栃ノ心剛史59238初受賞1回14勝1敗10勝5敗13勝2敗5勝2敗8休9勝6敗8勝7敗
2019年朝乃山英樹55350初受賞1回8勝7敗7勝8敗12勝3敗7勝8敗10勝5敗11勝4敗史上初の1年通して小結以下の力士の受賞
2020年貴景勝光信51213初受賞1回11勝4敗7勝8敗-8勝4敗3休12勝3敗13勝2敗5月場所が中止の為、9年振り3回目の年5場所に
2021年照ノ富士春雄77130初受賞4回11勝4敗12勝3敗12勝3敗14勝1敗13勝2敗15戦全勝
2022年若隆景渥57330初受賞1回9勝6敗12勝3敗9勝6敗8勝7敗11勝4敗8勝7敗
2023年霧島鐵力62262初受賞2回11勝4敗12勝3敗11勝4敗6勝7敗2休9勝6敗13勝2敗


太字の力士は、2023年11月場所終了現在、現役力士である。

年間最多勝獲得年に改名(名前のみ変更を含む)した力士は、11月場所時点での四股名を記す(1958年の若乃花、1970年の玉乃島→玉の海、1972年の輪島、1994年の貴ノ花→貴乃花、2023年の霧馬山→霧島が該当)。

赤色は年間最多数勝ち星(2009年・2010年の白鵬)で、青色は年6場所制での年間最少数勝ち星(2019年の朝乃山)である。

最高位が大関の力士で年間最多勝獲得者は、若嶋津(1984年)・霧島一博(1991年)・栃ノ心(2018年)・朝乃山(2019年)・貴景勝(2020年)・霧島鐵力(2023年)の6人。関脇以下では若隆景(2022年)のみ。

その1年を通じて関脇以下の地位で年間最多勝獲得者は、大鵬(1960年、11月場所後大関昇進)・貴花田(1992年)・朝乃山(2019年)・若隆景(2022年)の4人。小結以下では朝乃山のみ。

年間最多勝受賞後に十両以下に陥落したのは、栃ノ心、朝乃山、若隆景の3人。

記録等
年間最多勝回数


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