平行
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「平行線」はこの項目へ転送されています。Eve × suis from ヨルシカの曲については「平行線 (曲)」をご覧ください。
平行な直線と曲線

初等幾何学、特にユークリッド幾何学における平行性(へいこうせい、: parallelism)は、ユークリッド平面上の直線が互いに交わらないという関係性を抽象化するものである。三次元空間において、直線と平面や平面同士についても共有点がないことを以って平行性を考えることができる。ただし、三次元空間内の直線同士の場合には、それらが互いに平行となるためには共面性(それらが同一平面上にあること)を要請しなければならない(交わらない二直線は、それらが同一平面上にないならばねじれの位置にあるという)。

平行線はユークリッド原論における平行線公準の主対象である[注釈 1]。 平行性は第一義にはアフィン幾何学の性質の一つであり、ユークリッド幾何学はその種の幾何学の特別な実例である。その他の幾何学においては、例えば双曲幾何学などでは、同様の(しかしまったく同じではない)特定の性質を満たすことを「平行」と言い表す。

以下、特に言及のない限り、主にユークリッド幾何学における平行性について述べる。
歴史

平面上の互いに交わらない直線の対としての平行線の定義は『原論』第 I 巻の定義 23 に現れている[1]。古代ギリシア人は、おもに平行線公準を証明しようと試みる中で、もっと別の平行線の定義についても議論している。プロクルスは等距離直線としての平行線の定義はポセイドニオスに帰するとし、同じ脈絡においてゲミノスを引用している。シンプリキオスもポセイドニオスの定義に言及し、アガニスによるその修正についても述べている[1]

19世紀の終わりごろ、イングランドにおいて『原論』はいまだ中学校における標準的な教科書であった。新たな射影幾何学および非ユークリッド幾何学の勃興により、旧来からの幾何学の取り扱いは変化を余儀なくされており、このころいくつか新しい幾何学の教科書が書かれている。これら新興の教科書における主要な相違点は—それら新興教科書の間でも、またそれらと原論との間でも—平行線の取り扱いが異なることである[2]。これらの改革的な教科書に批判的な人物がいないはずはなく、そのうちの一人としてチャールズ・ドッジソン(ルイス・キャロルとして知られる)は戯曲 Euclid and His Modern Rivals(『ユークリッドと彼の現代のライバルたち』)を書き、それらテキストを扱き下ろした[3]

初期の改革的教科書の一つが、ジェームス・ウィルソン・モリス(英語版) の1868年の著書 Elementary Geometry[4](「初等幾何学」)である。ウィルソンは自身の「方向」(direction) という原始概念(英語版)に依拠した平行線の定義に基づいていた。ヴィルヘルム・キリング(英語版)に従えば[5]、この考え方はライプニッツにまで遡れる[6]。ウィルソンは、原始概念として未定義のまま「方向」という言葉をほかの定義で用いており、例えば6番目の定義は「互いに交わる二つの直線はそれぞれ異なる方向を持ち、それら方向の差はそれらの間の「角」である」のように述べている[7]。定義 15 において平行線は以下のように導入される:「同じ向きを持つが一つの同じ直線の部分となっていない直線を平行線と呼ぶ」[8]オーガスタス・ド・モルガンはこの教科書を批評して、主にこの定義およびウィルソンが平行線に関する内容を証明するのに用いた方法に基づいて誤りであると断じた。ドッジソンもまた、ウィルソンによる平行線の取り扱いを非難するために、彼の戯曲の大部分を当てている (Act II, Scene VI § 1)。ウィルソンは自身の教科書の第三版以降、これを改めている[9]

他の改革者たちによって提案された、平行線の定義の置き換えとして用いられた他の性質も、大きく優れるものはなかった。主な難点は、ドッジソンの指摘したように、それらを用いるために系に余計な公理を追加する必要があったことである。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef