平成狸合戦ぽんぽこ
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平成狸合戦ぽんぽこ
Pom Poko

監督高畑勲
脚本高畑勲
原作高畑勲
製作鈴木敏夫
ナレーター古今亭志ん朝
出演者野々村真
石田ゆり子
柳家小さん (5代目)
三木のり平
林家こぶ平(現・九代目林家正蔵
村田雄浩
神谷明
林原めぐみ
桂米朝
桂文枝 (5代目)
芦屋雁之助
山下容莉枝
黒田由美
清川虹子
泉谷しげる
音楽紅龍
上々颱風ほか
主題歌『いつでも誰かが』(上々颱風
制作会社スタジオジブリ
製作会社徳間書店
日本テレビ放送網
博報堂
配給東宝
公開 1994年7月16日
上映時間119分[1]
製作国 日本
言語日本語
興行収入44.7億円[2]
配給収入 26億3000万円[3]
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『平成狸合戦ぽんぽこ』(へいせいたぬきがっせんぽんぽこ、英題: Pom Poko)は、1994年7月16日スタジオジブリが公開したアニメーション映画作品。高畑勲監督長編アニメーション映画化第8作。キャッチコピーは「タヌキだってがんばってるんだよォ」。
概要

スタジオジブリが東小金井の新社屋で初製作する長編映画は高畑勲監督が原作・脚本・監督の3役を務めた初のオリジナル作品。同社における宮崎駿以外の監督による作品の中では、初めての監督原作作品である。また、ジブリの長編アニメーション映画作品の中で初めてナレーション[注 1]や実写[注 2][注 3]が採用された。

宮崎駿鈴木敏夫は狸映画を作ろうと考え、そこに高畑勲監督を迎えることとなった。高畑は当初、『平家物語』を映像化しようと試みたがなかなか実現せず、宮崎と鈴木の2人が考えた案をもとに狸の平家物語のオリジナルシナリオを執筆した。開発が進む多摩ニュータウン多摩市)を舞台に、その一帯のが「化学」(ばけがく)を駆使して人間に対し抵抗を試みる様子を描く物語を完成させる。スタジオ内の初のCG使用作品でもある。

1994年の邦画・配給収入トップ26億円を記録した[4]。第49回毎日映画コンクールアニメーション映画賞、アヌシー国際アニメーション映画祭 長編部門グランプリ(1995年)などを受賞した。日本で「ジブリがいっぱいCOLLECTION」シリーズとして発売されたセルビデオは、40万本を出荷した[5]

数年に1度、日本テレビ金曜ロードSHOW!』枠で放送されている。
あらすじ多摩ニュータウン(東京都多摩市豊ヶ丘

昭和40年代、多くの狸たちが平和に暮らしていた多摩丘陵に、多摩ニュータウン開発計画による山や森の破壊が迫っていた。ある日、多摩の狸たちは結集し、総会を開いて開発阻止を決議する。伝統的変化術である化学(ばけがく)の復興と、四国佐渡の名のある化け狸に助力を乞うことが決定される。

年が明けると、古狸の火の玉おろくから化学を教わった若手狸たちは、建設工事への抵抗を始める。開発業者のトラックを事故に追い込み、地蔵稲荷神社の狐に化けて住民の信仰心に訴え、古典的なお化けにばけて人間を驚かした。

二年目には若手狸から選ばれた玉三郎文太がそれぞれ四国と佐渡に派遣される。狸たちの抵抗運動は、一部の地権者や作業員に工事を思い止まらせ、「ニュータウンの怪」としてマスコミを賑わせるが、全体としては開発を阻止できない。

三年目、強硬派の権太と慎重派の正吉たちが対立しているところに、四国から太三朗禿狸隠神刑部六代目金長を伴って玉三郎が帰郷する。三長老の指導のもと、狸たちは具現化した百鬼夜行でニュータウンを襲う、妖怪大作戦を決行する。作戦のさなかに隠神刑部は精根尽きはて落命する。しかし、ニュータウン住民には拍手喝采のイリュージョンにしか映らず、あげくにワンダーランドの宣伝に利用されてしまう。

作戦が大失敗となったことで狸たちは意気消沈し結束が乱れていく。ワンダーランドの社長を抱き込んだ多摩の化け狐竜太郎が金長に接触し、化学を駆使して人間社会で生きる方がよいと唆すが、金長とその娘婿となった玉三郎は社長から一億円を巻き上げる。太三朗禿狸は踊念仏をはじめ、ついには宝船に変化して多摩川に繰り出し死出の旅に出る(補陀落渡海)。鶴亀和尚はテレビ局に犯行声明を送り付け、カメラの前で訴えようとするが、取材に訪れたのは興味本位のワイドショーだった。権太たち強硬派は姿を表して工事現場に座り込み、導入された警視庁機動隊と戦うが、敗北の末に命を落としてしまう。

四年目、佐渡の高名な変化狸・団三郎狸も既にこの世を去っていたことが明らかになり、苦心の末にその情報を得て佐渡から帰還した文太は故郷の変わりように愕然とし、まるで人間に化かされているようだと慟哭する。残った化け狸たちは最後の力を結集し、かつての美しい多摩丘陵の幻を人間たちに見せつける。

その後、狸たちはちりぢりになり、化学を使える狸は人間として暮らすようになり、化けることの出来ない狸達は未だ自然の残る町田へ移り住んだ。正吉はストレスに耐えながら会社員として暮らしていた。ある晩、仕事帰りの正吉は、ぽん吉らかつての仲間がゴルフ場で宴会を開いて騒いでいるのを見つける。正吉もまた狸の姿になって再会を喜びあう。

そして、物語は観客へ向けたぽん吉のメッセージで幕を閉じる。
キャラクター
語り
終盤、正吉の独白と語りの声をつなげる演出がなされる。これは年老いた正吉による語りであることを示唆する演出との解釈がある
[6]
正吉
本作の主人公。本名:影森の正吉。冷静沈着な性格で
思考が人間臭い。人間と共存すべきだと訴える穏健な狸たち“慎重派”のリーダー格。一族揃って知人間派だった様子で、幼少期には人間の子供の遊ぶ姿を真似していた。狸の世界の掟では人間世界に深く関わらないことを鉄則とする。しかし正吉の父親は、子供らが人間の行動を真似ることを咎めず、むしろけしかけていた節がある、と語られている。またその一方で、人間の残酷さや恐ろしさを何度も説教していたという。こうした環境で育ったためか、正吉は一部の狸達から”まるで人間のようなやつ”と評されている。実際に、正吉は物語中で、多摩丘陵の狸達に変化狸達が食料調達を行う“配給制度”や狸の交通事故死を防ぐべく“交通安全運動”を行うこと、さらには人間に捕まってしまった狸達の救出部隊の設立を提案している。その後は人間として暮らし、サラリーマンとして生活している。
おキヨ


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