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平均律クラヴィーア曲集第1巻自筆譜の表紙 平均律クラヴィーア曲集第1巻よりフーガ第2番ハ短調BWV847の冒頭9小節
平均律クラヴィーア曲集(へいきんりつクラヴィーアきょくしゅう、原題独: Das Wohltemperirte Clavier、現代のドイツ語表記では独: Das Wohltemperierte Klavier)は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが作曲した鍵盤楽器[1]のための作品集。1巻と2巻があり、それぞれ24の全ての調による前奏曲とフーガで構成されている。第1巻 (BWV 846?869) は1722年、第2巻 (BWV 870?893) は1742年に完成した。
原題の"wohltemperiert(e)"とは、鍵盤楽器があらゆる調で演奏可能となるよう「良く調整された(well-tempered)」という意味であると考えられ、必ずしも平均律を意味するわけではないが、和訳は「平均律」が広く用いられている[2]。 バッハは第1巻の自筆譜表紙に次のように記した: 指導を求めて止まぬ音楽青年の利用と実用のため、又同様に既に今迄この研究を行ってきた人々に特別な娯楽として役立つために(徳永隆男訳) 第2巻には「24の前奏曲とフーガ」とだけ記した。 現代においてもピアノ演奏を学ぶものにとって最も重要な曲集の一つである。ハンス・フォン・ビューローは、この曲集とルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタを、それぞれ、音楽の旧約聖書と新約聖書と呼び、賛賞した。 鍵盤楽器で調律を変更せずに、あらゆる調で演奏可能な調律法は、平均律の他にもヴェルクマイスターの調律法など、当時は様々な方法が提唱されていた。バッハが意図した調律法については諸説あるが[3]、近年では平均律クラヴィーア曲集第1巻自筆譜表紙にある手書きのループなどから、バッハの調律に対する指示を読み取ろうとする試みもなされている[4]。 バッハ以前にも何人かの作曲家が多くの長短調を駆使した作曲を試みている。中でもヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャーの「アリアドネ・ムジカ」は、20の調による前奏曲とフーガを含んでおり、バッハがこれを参考にしたとの説もある。 フレデリック・ショパンの「24の前奏曲」や、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は、このバッハの曲集に触発されたものである。 第2巻の『前奏曲とフーガ ハ長調 BWV870』のグレン・グールドによる演奏の録音は、人類を代表する文化的作品の一つとして、ボイジャーのゴールデンレコードに収録されている。 長短24調による前奏曲(Preludium)とフーガ(Fuga)からなる曲集。1722年成立[5]。 単独に作曲された曲集ではなく、その多くは既存の前奏曲やフーガを編曲して集成されたものである。特に前奏曲の約半数は、1720年に息子の教育用として書き始められた「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」に初期稿が「プレアンブルム」として含まれている。 様々な様式のフーガが見られ、中でも3重フーガ(嬰ハ短調 BWV849)や拡大・縮小フーガ(嬰ニ短調 BWV853)は高度な対位法を駆使した傑作とされる。1. BWV 846 前奏曲 - 4声のフーガ ハ長調(Praludium und Fuge C-Dur BWV 846) Fuge Fuge Fuge
概要
各曲
第1巻(Erster Teil, BWV 846?869)
前奏曲はシャルル・グノーがアヴェ・マリアの伴奏として用いた。
2. BWV 847 前奏曲 - 3声のフーガ ハ短調(Praludium und Fuge c-Moll BWV 847)
3. BWV 848 前奏曲 - 3声のフーガ 嬰ハ長調(Praludium und Fuge Cis-Dur BWV 848)
フランツ・クロールが変ニ長調に書き直した楽譜もある。
4. BWV 849 前奏曲 - 5声のフーガ 嬰ハ短調(Praludium und Fuge cis-Moll BWV 849)