幕張新都心(まくはりしんとしん、英:Makuhari new city)は、千葉県千葉市美浜区に広がる、千葉港の第5区に面した計画都市の名称。千葉県の都心機能が企図された中心業務地区(CBD)として、1970年代後半に整備が開始された。日本都市計画学会賞、グッドデザイン賞受賞地区。
概要メッセ大通り。沿線には高層ホテルが立ち並ぶ。
1967年(昭和42年)の「海浜ニュータウン計画」及び1975年(昭和50年)「幕張新都心(A地区)基本計画」によって開発された新都心である。千葉市美浜区美浜、若葉、打瀬、ひび野、中瀬、豊砂、浜田2丁目の一部と習志野市芝園1丁目からなる。「海浜幕張」若しくは単に「幕張」[注 1] とも呼称される。主要駅はJR東日本「海浜幕張駅」[注 2]。
国家戦略特区、グローバルMICE都市、都市再生特別地区に指定されている千葉市の中でも、日本国内有数の国際見本市会場である幕張メッセ(国際展示場・国際会議場)をはじめ、日本を代表する多国籍企業や外資系企業、宿泊施設及び大規模商業施設が数多く進出しており、国際機関及び国家機関(官公庁)の研究・研修機関を中心とした教育・研究施設や、幕張ベイタウン・幕張ベイパークでの住宅整備(高層・中層マンション)の推進などにより「職・住・学・遊」の複合機能の集積が進み、2017年度(平成29年度)の就業人口は約4万4千人、居住人口は約2万1千人となっている[1]。
プロ野球チーム・千葉ロッテマリーンズの本拠地である千葉マリンスタジアムを有し、本田圭佑自社グラウンド(ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA)やサッカー日本代表出場選手の新拠点(高円宮記念JFA夢フィールド[2][3][注 3])など、野球・サッカーの拠点にもなっている。
千葉市都市計画マスタープラン[4] による集約型都市構造のなかで、県都及び東京大都市圏の中核としての3都心、重要地域拠点形成の一つとして、市の中心市街地と港湾都市及び官庁街「千葉都心」、市の企業城下町及びハーバシティ「蘇我副都心」、そして先端技術産業の集積地及び世界に開かれた国際都市としての役割を「幕張新都心」として位置付けられており、機能的には千葉都心と同じく「都心」としている。
業務研究、教育文化、商業、住宅などの諸機能が計画的に配され、各施設を結ぶ歩行者デッキ、都市計画道路、首都高速道路(湾岸線)・東関東自動車道、ライフラインの共同溝(電線類地中化、廃棄物空気輸送システム)を重層・複合的に計画し、環境デザインの描き出す街並みは、これまでの日本にない「新しい都市」と「未来への発展」にふさわしい都市を作り、マリン・リゾート施設など、ウォーターフロントとしての機能も加わることによって、さらに多様な人々の集積を目的としている。
各地区の特徴
計画面積:522.2ヘクタール
計画人口:就業人口約15万人、居住人口約3万6千人
「職・住・学・遊」が融合した未来型の国際都市をコンセプトに、以下の6地区で構成されている。
千葉市の公式ページ「幕張新都心の概要」も参照。
地区特長
タウンセンター地区JR東日本「海浜幕張駅」を中心にアメニティ豊かなにぎわいとふれあいのスペース
業務研究地区国際機関や企業が立地する次世代産業を創出するビジネスエリア
文教地区文化・教育施設が立地する新しい文化を創造する学究のステージ
住宅地区幕張ベイタウン集合住宅が立地する魅力的な都市デザインと快適な居住環境(グッドデザイン賞)
幕張ベイパーク(若葉住宅地区)輝く人と街並みが融合する国際性豊かな街づくり
公園緑地地区スポーツ施設・日本庭園を有する幕張海浜公園を中心に広がるアメニティ豊かな都市環境
拡大地区豊砂地区1989年(平成元年)に編入された幕張新都心の新しい魅力の創出が期待されるエリア
芝園地区(習志野市)
タウンセンター地区
美浜区ひび野2丁目、中瀬1丁目
タウンセンター地区(海浜幕張駅周辺)
JR東日本「海浜幕張駅」を中心としたタウンセンター地区。地区内にはQVCジャパンテレビスタジオ(QVCスクエア)を始め、多数の商業施設(駅ビルペリエ、メッセ・アミューズ・モール、プレナ幕張、スーク海浜幕張、Aune幕張、かねたやルームデコ、イオン海浜幕張店)、アウトレットモール(三井アウトレットパーク 幕張)、映画館(ユナイテッド・シネマ幕張)などが集積している[注 4]。
宿泊施設として多くの高層ホテル(ホテルニューオータニ幕張、ホテル ザ・マンハッタン、ホテルスプリングス幕張、ホテルフランクス、アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張、ホテルグリーンタワー幕張)が開業しており、遠方からの来訪者及び東京ディズニーリゾート(グッドネイバーホテル)や成田国際空港への利用者の滞在場所としても利用されている。
なお、バス停留所は「海浜幕張駅」と「タウンセンター」で別個に存在する。
業務研究地区
美浜区中瀬1、2丁目
業務研究地区(メッセモール)
1989年(平成元年)に日本コンベンションセンター(幕張メッセ)が開業したのを皮切りに、日本を代表する多国籍企業や外資系企業が数多く立地するオフィスビル街となっている。約450社の企業が活動し、ワールドビジネスガーデンや幕張テクノガーデン、流通大手のイオングループ本社ビルのイオンタワーおよびイオンタワーアネックス、セイコーインスツル本社ビル、住友ケミカルエンジニアリングセンタービル、シャープ幕張ビル、キヤノンMJ幕張ビル、東京ガス幕張ビル、ちばぎん幕張ビル、エム・ベイポイント幕張ビル(旧:NTT幕張ビル)などが立地しており、業務機能や研究開発機能が集積している。
文教地区
美浜区ひび野1丁目、若葉1 - 3丁目
文教地区(放送大学)
幕張新都心の中で最も早くから整備が進められた地区であり、大学(放送大学、東都大学、神田外語大学、千葉県立保健医療大学など)、中学校・高等学校(千葉県立幕張総合高等学校、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 、昭和学院秀英中学校・高等学校など)、幼稚園・小学校(幕張インターナショナルスクールなど)が立地しており、そのほかに、研究施設(アジア経済研究所、JA共済幕張研修センターなど)、公共職業能力開発施設(高度職業能力開発促進センターなど)、研修施設(幕張国際研修センターなど)がある。幕張インターナショナルスクールを中心に、国際競争力を持った高度教育地域を目指して整備が進められている。
住宅地区
美浜区打瀬1 - 3丁目、若葉3丁目
住宅地区(幕張ベイタウン)
1995年(平成7年)より「幕張ベイタウン」として官民協働で整備が着手され約2万3000人が住む街となっている。街並みは中高層のマンションが、その1階にはお洒落な店舗が建ち並び、1999年(平成11年)には街としては初めてグッドデザイン賞を受賞しており、ヨーロッパスタイルの洗練された街並みが広がる。地区内に小学校が3校、中学校が1校配置されているなど、ファミリー層の受け入れ態勢も整っている。
近年では幕張ベイパーク(若葉住宅地区)の整備が進む。この地区は元々、文教地区に含まれていたが、2008年(平成20年)に住宅用地へ用途変更した地区である。A街区、B-1街区、B-2街区、B-3街区、B-4街区、B-5街区、B-6街区、B-7街区の8区画(約17.6ヘクタール)で構成されている。2015年(平成27年)3月に開発事業者を三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンスなどから構成される「幕張新都心若葉住宅地区街づくり検討グループ」に決定し、同年7月に千葉県企業庁との土地譲渡契約を締結した[5]。超高層マンションや商業施設、医療モール、小学校、公園などが開発・整備される見通しである[6][7]。既存の文教機能の集積に加えて地域特性を活かしたコミュニティ形成、ミクストユース(複合利用)設計による都市価値の醸成、ドローン宅配便などの先端技術を活用した次世代の生活インフラ構築推進を特徴とし、計画戸数約4000戸、計画人口約10000人の居住機能を導入する[8]。ジマー・ガンサル・フラスカ・パートナーシップ(ZGFアーキテクツ)が参画し、アーバンデザインの監修などを行っている[9]。
A街区にはイオンスタイル幕張ベイパーク、B-1街区にはスポーツを通し地域コミュニケーションの場としてプロサッカー選手である本田圭佑の自社グラウンド(ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA)、B-7街区には地域コミュニティの拠点施設(MAKUHARI NEIGHBORHOOD POD)が整備されている[8][10]。
公園緑地地区
美浜区ひび野1、2丁目、美浜1丁目、豊砂1丁目
公園緑地地区(幕張海浜公園)
東京湾岸や海浜幕張駅東部に県立幕張海浜公園(約71.9ヘクタール、日比谷公園の約4倍)や住宅地区に多数の緑地・公園が整備されている。人工海浜「幕張の浜」が立地し、平日の昼食時にはビジネスマン、サラリーマン、オフィスレディー(OL)の憩いの場として、休日は家族やカップルなどで賑わいを見せる。