この項目では、日高地方の山について説明しています。十勝地方の山については「十勝幌尻岳」をご覧ください。
幌尻岳
戸蔦別岳から見た幌尻岳
標高2,052.80[1] m
所在地 日本
北海道日高振興局沙流郡平取町・
新冠郡新冠町
位置.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯42度43分10秒 東経142度40分58秒 / 北緯42.71944度 東経142.68278度 / 42.71944; 142.68278
幌尻岳(ぽろしりだけ)は、北海道日高振興局の沙流郡平取町と新冠郡新冠町にまたがる標高2,052 m[3][注釈 1]の山。日高山脈の主峰であるが、その主稜線からはやや西側に外れた位置にある。日高山脈襟裳国定公園に含まれ、山頂には二等三角点(点名「幌尻」)がある[4]。
深田久弥による『日本百名山』に選定されている[5]。山名はアイヌ語で「Poro(大きい)sir(山)」を意味する[6]。 1300万年前の造山活動で生じた。山体上部には第四紀の氷期に形成されたカールが認められ、2007年、「幌尻岳の七つ沼カール」として日本の地質百選に選定された。ナキウサギ、クマゲラなどが生息している。 平取町の二風谷地域などでは遠くから目立つ道しるべ的役割を果たしていたため、古くからカムイとして祀られていた。 標高は従来2,052 mとされていたが、2008年(平成20年)、国土地理院により2,053 mに改定[1]。その後、2014年4月1日の国土地理院『日本の山岳標高一覧-1003山-』の改訂で再び2,052 mとなった[3]。
概要
登山・ピパイロ岳
山頂までの道のりが一番短く、風景が変化に富む平取町側ルート[7]が最も一般的に利用されている[8]が、多数の渡渉を繰り返す難易度の高いルートであるため、幌尻岳が「日本百名山の中で最難関の山」といわれることがある[8][9]。平取町では、上級者以外の登山者も安全に通行できるルートを新たに開くことを検討していたが、2019年に調査を行った結果、渡渉を回避するルートの新設はきわめて困難であることが判明し、計画を断念している[10]。 平取町豊糠地区にある町営宿泊施設「とよぬか山荘」[11]より、同町が運行するシャトルバスを利用し、糠平・幌尻林道の第2ゲートまで移動する[12]。同林道はかつては自家用車でも通行できたが、2010年(平成22年)、日高北部森林管理署が通行止めにしていたチロロ林道を無断通行してヌカビラ岳
平取町側ルート(振内コース)
林道第2ゲートからスタート後、林道終点の北海道電力(北電)取水施設から額平川沿いに遡上する。雪解け水が多い7月頃は腰まで、水量の減る9月でも膝下程度の深さがある幅5 - 10 mの沢を徒渉するところが十数箇所ある[14]ため、沢登りの装備が必要[9]。額平川は水を集めやすいすり鉢状の幌尻岳北カールが水源で、かつ上流部は深い渓谷となっていることから、雨になると短時間で増水し[9]、雨が上がった後でも2 - 3日間通行できなくなる場合もある[14]。増水した沢を無理に渡ろうとした登山者が流されて死亡した事故が起きている[15]ほか、滑落・転倒して負傷した登山者、また道迷いや行方不明者も発生している[9]。
額平川の途中にある山小屋「幌尻山荘」から尾根に取り付き、稜線上で新冠町側ルートと合流してすぐ山頂に至る。林道第2ゲートから山頂までの一般的な所要時間は8時間50分である[16]。幌尻山荘から分岐して中戸蔦別岳・戸蔦別岳を経由するコースもある。
このルートは日帰りでの往復は困難なため、途中で幌尻山荘に宿泊することが一般的である[17]。山荘は平取町の所有で、木造2階建て、収容人数約45人[14]。管理は平取町山岳会に委託されており[17]、夏季(7月 - 9月)のみ管理人が常駐する。有料で寝具の貸出しを行っているが、食事の提供はない[15]。受け入れ可能な宿泊者数に限度があるため完全予約制となっている[13]。非常時以外の野営は不可[15]。また、山荘トイレの屎尿は同山岳会や町職員の有志が毎年処理しているが、人手の確保が課題となっており、同山岳会では登山者に任意で一定量を担ぎ下ろしてもらう取組みを2019年(令和元年)より開始し、協力を呼びかけている[18]。 新冠町の新冠林道奥にある山小屋「イドンナップ山荘」からスタートし、奥新冠発電所手前で分岐する林道を新冠川沿いに東進、奥新冠ダムを経由して、山小屋「新冠ポロシリ山荘」まで歩く。山荘から登山道に入り、新冠側支流の幌尻沢沿いに北上した後、尾根に取り付いて山頂に至る。イドンナップ山荘から山頂までの一般的な所要時間は9 - 10時間である[19]。 平取町側と違い徒渉箇所が少なく、天候に左右されにくいルートであるが、登山道に入る前にイドンナップ山荘から新冠ポロシリ山荘までの林道を長時間(約19 km, 約5 - 6時間[19])歩くことになる。
新冠町側ルート(幌尻岳新冠陽希コース)