帽子
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

NHKテレビドラマについては「帽子 (テレビドラマ)」を、僧尼が防寒用として用いる襟巻きについては「帽子 (衣体)」を、刀の切っ先については「日本刀#各部名称」をご覧ください。

帽子(ぼうし)は、防暑、防寒、防砂、装飾を主な目的としてにかぶる衣類の一種[1]。西洋化以前は広義に布の被り物、狭義では烏帽子の略語であったが、西洋化とともに多くの頭にかぶる被り物を帽子と言うようになった[1]

素材には皮革毛皮ゴムプラスチックなどが用いられ、用途に応じたさまざまな形状がある。ターバンヘルメットカツラなどを帽子に含めるか否かについては議論がある。
概説
歴史
世界
帽子の歴史は、紀元前4000年の古代エジプトにまでさかのぼる
[2][3]
日本
弥生時代の人物埴輪に帽子風の装飾がみられる[2][4]。『古事記』『日本書紀』にも、冠・笠の表記がみられる[2]冠婚葬祭という語にあるように、成人式に冠を身に着け、死者は閻魔大王と謁見する前に、中国のしきたりにならって天冠を被る[5]。日本では、明治4年8月9日1871年9月23日)の散髪脱刀令(いわゆる断髪令)によりを結う男性が激減し、髷の代わりとして帽子が急速に普及し、外出時の冠帽率が100%近い数字となった[3]。西洋式の帽子は当初フランス語で「シャッポ[† 1]」「シャポー」(: chapeau[† 2])などと呼ばれ、「和服にシャッポ」というスタイルで男性を中心に広まった(後に洋服も普及)[3]
用途

直射日光による日焼け熱中症を避ける為の日除け

頭頸部や耳の防寒

雨具として(レインハット)

衝撃、飛来落下物、危険物毒劇物昆虫などからの頭部保護

ドレスコードエチケット

主に昼間、屋外用の正装として手袋と共に用いられる。


身分を表す制服ユニフォームの一部(制帽・軍帽・官帽など)

宗教上の戒律

通常のファッション、おしゃれとして

調理や医療、精密機器の組み立てなどの際に抜けた髪の毛が落ちないようにする

髪型の保護(ナイトキャップ)

薄毛(禿頭の婉曲表現)や癖毛を隠す

顔を隠す(目出し帽)

商品広告トラッカーハット

スポーツ(特に野球)の応援、主義主張の表明

ジャグリングの道具として

歴史的には特定の頭部の装身具は、その人物の社会での立場を示すこともある。

白いトックブランシェ(: Toque blanche、コック帽)[† 3]は、白い上下のシェフの制服(: Chef's uniform)と共に一目で洋食料理人と認識されるアイテム[† 4]である。ベレー帽画家を、麦藁帽農村を連想させるものである。

今日では特定の帽子を身につけるように求められる状況は限られている。代わって、ファッションとして帽子の必要性が認識されるようになった。特定の被り方や、帽子が所属する地域やサブカルチャーを示す他、擬似的に制服に近い意味合いを持つものもある。野球帽は一般に特定チームへの支持を示すものだが、ヒップホップストリートファッションのアイテムとしても多用される。
帽子と礼儀高校野球における脱帽と最敬礼食事の際

19世紀から20世紀にかけて、山高帽紳士礼装として認識されていた。当時のヨーロッパでは以下のように言われていたという[6]。もしその人物が家の中に入って来て、帽子を脱ぐようなら真の紳士。
帽子を脱がないのなら紳士のふりをしている男。
そして帽子をかぶっていない人物は、紳士のふりをすることさえあきらめている男。

このエチケットは軍隊のそれに準じており、入隊教育の中で新兵は帽子の取り扱いについて、講義を受ける。軍隊では戦闘中でなければ、屋内だけでなく艦船の中でも脱いでいなくてはならない(逆に旧ドイツ国防軍の様に、上官に対面する時の無帽は軍規違反になる軍隊もある)。また、敬礼の一つとして帽子を取ることがある(脱帽、シャッポを脱ぐ)。

これ以外の状況では、葬式国歌斉唱、食事などが帽子を脱ぐべき状況である。男性の挨拶として帽子にを当て軽く前に傾ける・一瞬だけ持ち上げ掲げるという方法がある。女性の場合、帽子は正装の一部と見做されている為この挨拶をする必要は無く、小さくお辞儀をする・スカートをつまみ、右脚を引いて屈んで小さく身を沈める(カーテシー)などで十分である。日中、女性は室内でも食事の時も、帽子をぬぐ必要はない。夜の行事では、帽子はかぶらない。ただし、夕刻のパーティーでは、カクテルハットをかぶる場合がある。

キリスト教の教会では男性は帽子を取ることが求められるが(女性は帽子を取らないのがエチケット)、シナゴーグでのユダヤ教徒やモスクでのイスラム教徒など帽子を取る必要が無い宗教もあり、帽子に対する態度は様々だが、いずれもへの敬虔さを示すという点で一致している。キリスト教徒が帽子を脱ぐのはをつくことや頭を下げることと同じ意味で、神に対する敬虔さからである。

ユダヤ教徒はタルムードにより独特のキッパーをかぶることが決められている。これも唯一神の偉大さ、人の卑小さ矮小さを、被る者に認識させるためである。

古代中国では冠を被ることが礼儀であった。7世紀に書かれた『晋書』には、南蛮の装束は被髪文身(冠を被らず、入れ墨をしている)ので@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}野蛮である[要出典]という記述がある[7]。儒教の経典『礼記』には、夫礼、始于冠(礼は冠に始まる)という記述がある[8]
分類
ハットとキャップ

英語では、頭に乗せるものの総称としてハット(hat)、比較的柔らかい素材で頭部にフィットする形状のものをキャップ(cap)と呼んでいる[9]。ハットと呼ばれるものは一般に装飾的で全周につば(ブリム)を持つものが多いが、例外もあるため一概には言えない。現代に使用される実用的な帽子の大半はキャップに分類されるが、習慣的にハットと呼ばれるものもあり、その境界は曖昧である。

なお、下記の一覧のように、帽子の種類によって様々な呼び方が存在するため、具体的に何を指すかはこれらの呼び方を把握する必要がある。
各部の名称
本体
クラウン
帽子の山の部分
天(天井、トップ)
クラウンの頭頂部分。

天玉
天とジガミとの境に入る玉縁縫込み。
天張り(パッキン)
天を整形するために天の端に一周する形で入る細い芯。主に
プラスチック製か製で、学生帽などでは入らないこともある。

腰(サイド)
クラウンの基部。制帽・軍帽・官帽などでは「鉢巻」と呼ばれることもある。
ジガミ(マチ、ヨツ)
天と腰とをつなぐ部位。4枚の生地を縫い合せて作る。
庇(鍔、ブリム)
日除け。野球帽のように前部のみのものはバイザーと呼ぶ。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:75 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef