この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
出典検索?: "リーンバーン"
希薄燃焼(きはくねんしょう)は、内燃機関における理論空燃比よりも薄い(燃料に対して空気が過剰な)混合気の燃焼である[1]。リーンバーン(英: Lean-burn)またはリーン燃焼[2][3]とも呼ばれる。リーンバーンエンジンにおいて空気:燃料比(空燃比)は65:1(体積比)まで希薄となりうる。対照的に、ガソリンを化学量論的に燃焼させるために必要な空燃比は14.64:1である[4]。リーンバーンエンジンでは空気が過剰なため、(燃え残りの)炭化水素の排出量がはるかに少なくなる。高い空燃比は、絞り(スロットリング)損失(ポンプ損失[5])といったその他のエンジン出力制御システムによって引き起こされる損失を低減するためにも使われる。 ジェットエンジン・ガスタービンの燃焼は、ほとんど全てリーンバーン状態である。ガスタービンエンジンの理論空燃比は、空気:燃料がおおよそ14.7:1であり、熱効率やエンジンの小型化の面ではこの混合比で燃焼させるのが最も望ましいが、実際は60:1程度の薄い混合比で燃焼させている。これは理論空燃比での燃焼では高温になりすぎ、エンジンが耐えられないからである。またエンジンの冷却にも外気が用いられ、冷却用の空気と混合気が混合する事によって、さらに混合気が薄くなる。 レシプロエンジンでは、使用する燃料によって大きく状況が異なる。ディーゼルエンジンに用いられる軽油や重油は、酸素が極端に不足していないかぎり熱するだけで発火する性質を持っているため、ガソリンエンジンのように混合気を圧縮する形態をとらず、吸気行程で空気のみを吸入し、圧縮行程で燃料のみを超高圧で燃焼室内に噴射する。このため、酸素過多の状況でも確実に着火(発火)し、燃焼を終えることができ、特に高負荷でなければ常に希薄燃焼域での運転も可能である。 この特性は燃費の面で有利ではあるが、高温、高圧にさらされる酸素と窒素が多いことから窒素酸化物(NOx)の発生が多く、排出ガス中には余剰酸素と拡散燃焼につきものの粒子状物質も多いため、後処理にガソリンエンジンと同様の三元触媒は利用できず、多段噴射と大量のEGRによるNOx生成の抑制と、尿素SCRシステムやアンモニアを自家生成する触媒を用いた還元作用で排出ガスを浄化している。 自動車用ガソリンエンジンでは、1990年代前半(実際には1970年代後半にごく一部の車種に採用されていた)から、燃費の抑制を目的として低負荷時にリーンバーン運転を行うものが流行したが、排出ガス規制の強化に伴い、2000年代以降はほとんど姿を消した(下記参照)。また、リーンバーン時は充分なトルクが得られないため、旧世代リーンバーンエンジンは、実用上はほぼ化学量論的(ストイキ)燃焼燃焼に依存しており、実効的効果は限定的であった[6]。 現在のガソリンエンジンにおいても経済空燃比として16:1 - 17:1程度のリーンバーンが行われているが、リーンバーンエンジンと呼ばれているエンジンは、20:1近くまで空燃比を上げて燃焼することで、ポンピングロスの減少を図っているものを指す。 スロットルを絞った状態で大型ガソリンエンジンを運転する(低負荷運転になる)と吸気行程で外に対して仕事をすることになるが、排気バルブを開けた時点でその仕事は取り戻せなくなる。希薄燃焼は、スロットルの絞りを減らす一方で、混合するガソリンの量を増やさずに燃焼を安定させる技術であった。具体的には強いスワール(横渦)やタンブル流(縦渦)を起こし、白金プラグで強力な点火火花を発生させていた。当時は筒内直噴ガソリンエンジンも同じ狙いで設計されていた。 ところが、酸素過多の状態で燃焼させるため、ディーゼルエンジンと同様に窒素酸化物の発生が問題となった。当初は、NOx吸蔵還元触媒を装備することで解決を試みたものもあった。 平成19年排出ガス規制(2007年)でガソリン車が規制の対象に加わり、さらに平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制、2009年)では「リーンバーン直噴車」が、ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)を装着したディーゼル車と同程度以上に粒子状物質(PM)を排出している実態を踏まえ、リーンバーン直噴車に対してもディーゼル車と同等の規制が導入された[7]。これらの規制強化とともにリーンバーンエンジンは廃れていった。 希薄燃焼(リーンバーン)モードは絞り損失を低減する方法の1つである。典型的な車両のエンジンは加速のために望ましい出力を与える排気量で製造されているが、通常の一定速度運転においてはその点より下で十分に稼動しなければならない。普通、出力はスロットル(絞り)を部分的に閉じることによって抑えられる。しかしながら、スロットルを通って空気を吸入/排出(ポンピング)する際に成される余剰な仕事は効率を低下させる。空燃比を低下させると、スロットルが完全に開いた状態に近い時に得られる出力がより低くなり、通常の走行(エンジンの最大トルク能力以下)時の効率がより高くなりうる。 希薄燃焼のために設計されたエンジンはより高い圧縮比を利用でき、したがって従来のガソリンエンジンで見られるよりも高い能力、燃料効率 希薄燃焼の主な欠点は、NOx(窒素酸化物)排出を低減するために複雑な触媒コンバータが必要とされることである。リーンバーンエンジンは現代的な三元触媒コンバータではうまく作動しない。三元触媒は酸化還元反応を行なうため触媒の入り口で汚染物質の平衡を必要とする。そのため、ほとんどの現代エンジンは化学量論点あるいはその近傍で巡航(コーストダウン運転)する傾向にある。 希薄燃焼の概念は、天然ガス、バイオガス、液化石油ガスを燃料とする高馬力エンジンの設計のためにもしばしば使われる。これらのエンジンは、エンジンが負荷やエンジン速にかかわらず薄い空燃混合気を使って作動するフルタイム希薄燃焼と、エンジンが低い負荷時および高いエンジン速でのみ希薄燃焼で作動し、その他の場合は化学量論的な混合気に戻るパートタイム希薄燃焼のいずれでもあり得る。 高馬力希薄燃焼ガスエンジンは完全燃焼のために理論的に必要な量の2倍[8]の空気を燃焼チャンバーへと送り込むことができる。極めて薄い空燃混合気はより低い燃焼温度をもたらし、したがってNOx形成も低くなる。希薄燃焼ガスエンジンはより高い熱効率をもたらすが、過渡応答および性能は特定の状況において損われうる。しかしながら、North American Repowerのような企業による燃料制御と閉ループ技術の進歩によってCARB
概要
リーンバーンエンジンと排出ガス規制
原理
高馬力ガスエンジン
高馬力ガスエンジンはシリンダーヘッド内で予備燃焼室を利用するかもしれない。