巷説百物語シリーズ
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巷説百物語シリーズ
ジャンル
時代小説
ドラマ:京極夏彦「怪」
監督酒井信行
制作C.A.L
放送局WOWOW
放送期間2000年1月3日 - 9月15日
話数全4話
その他「七人みさき」「隠神だぬき」
「赤面ゑびす」「福神ながし」
漫画:漫画・巷説百物語
原作・原案など京極夏彦(原作)
作画森野達弥
出版社角川書店
発売日2001年3月
話数全2話
その他「小豆洗い」「白蔵主」
漫画:巷説百物語
後巷説百物語
原作・原案など京極夏彦(原作)
作画日高建男
出版社リイド社
掲載誌コミック乱、コミック乱増刊
レーベルSPコミックス
発表期間2007年1月 - 2012年11月
巻数巷説百物語:全4巻
後巷説百物語:全3巻
アニメ:京極夏彦 巷説百物語
原作京極夏彦
監督殿勝秀樹
シリーズ構成藤岡美暢
脚本高橋洋村井さだゆき、神原裕
キャラクターデザイン宮繁之
音楽`島邦明
アニメーション制作トムス・エンタテインメント
製作巷説百物語製作委員会
放送局中部日本放送
放送期間2003年10月 - 12月
話数全13話
ドラマ:巷説百物語?狐者異?
巷説百物語?飛縁魔?
監督堤幸彦
制作スプラッシュ
松竹京都映画株式会社
放送局WOWOW
放送期間狐者異:2005年3月27日 - (特番)
飛縁魔:2006年4月 - (特番)
話数狐者異:全1話 / 飛縁魔:全1話
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ポータル文学

『巷説百物語シリーズ』(こうせつひゃくものがたりシリーズ)は、京極夏彦による時代小説のシリーズ。第1作『巷説百物語(こうせつひゃくものがたり)』が1997年より季刊妖怪マガジン『』(角川書店)に掲載され、1999年から『続巷説百物語(ぞくこうせつひゃくものがたり)』、2001年から『後巷説百物語(のちのこうせつひゃくものがたり)』、2004年から『前巷説百物語(さきのこうせつひゃくものがたり)』、2007年から『西巷説百物語(にしのこうせつひゃくものがたり)』が同誌にて連載され、2019年より合併新設した『怪と幽』で『遠巷説百物語(とおくのこうせつひゃくものがたり)』が連載、2021年から『了巷説百物語(おわりのこうせつひゃくものがたり)』が連載中。2001年に漫画化、2003年にアニメ化、2000年2005年2006年にはテレビドラマ化されている。『後巷説百物語』は2004年第130回直木賞を、『西巷説百物語』は2011年第24回柴田錬三郎賞を、『遠巷説百物語』は2022年第56回吉川英治文学賞を受賞した。
概要

舞台は江戸時代末期の天保年間。晴らせぬ恨み、あちら立てればこちらの立たぬ困難な問題を金で請け負い、妖怪になぞらえて解決する小悪党たちの活躍を描く。同じ作者の百鬼夜行シリーズが、妖怪の仕業に見える不思議な事件を科学的・論理的に解明して解決するのに対し、本シリーズは逆に人の心の綾を妖怪の仕業に仕立てることで解決するところに特徴があるといえる。

巷説百物語』『続巷説百物語』は、御行の又市らの暗躍を、偶然彼らの仕掛に巻き込まれた後、彼らに深く関わってゆく戯作者志望の若者・山岡百介を中心にして描く。続く『後巷説百物語』では、維新を経て明治に時代が変わり、巷で騒がれる奇妙な事件を解決しようとする4人の男たちと、彼らに知恵を貸す「一白翁」こと山岡百介の昔語りで物語は進む。そして『前巷説百物語』は、山岡百介と出会う前で御行装束を身にまとう以前の又市たちの話である。さらに、又一の悪友である靄船の林蔵の上方での仕掛を描く『西巷説百物語』の連載が終了後、シリーズとしての『』においての連載は終了。その後、『』と合併新設された『怪と幽』で連載が再開され、『遠巷説百物語』では盛岡藩遠野保での小悪党達の活躍を描き、2021年現在は『了巷説百物語』が連載中。なお、年代設定は『後巷説』から逆算されたものであり、本来の舞台は漠然とした「江戸時代」として時期を特定せずに描かれている。

作品中に登場する妖怪たちの出典は、竹原春泉による日本画集の『絵本百物語』である。
主な登場人物
又市(またいち)
異名:小股潜りの又市(こまたくぐり の またいち)、御行の又市(おんぎょう の またいち)、
双六売りの又市(すごろくうり の またいち)、八咫の鴉(やた の からす)つるりとした白面の男で、舌先三寸で人を誑かすことを得意とする小悪党。江戸っ子口調で一人称が「奴(やつがれ)」。行者紛いの白装束を纏って偈箱を提げ、頭を白木綿の行者包みにして、を振り魔除けの御符を売り歩く僧形の物乞いである願人坊主、冬の風物であるマカショのなりをしている。僧形ではあるが、実際は神も仏も信じてはいない無信心者であり、伝法灌頂折伏もされておらず、仏法帰依もしていない。生業は縁切り揉め事縁結びの仲介で、縁談詐欺紛いの仲人口を得意とし、厭な過去や辛い事情といった子細を消して縁を纏め上げ、縁付きの悪い年増娘を嘘八百で嫁がせる、嫁の来手のない家にあの手この手で嫁を入れる、といった示談屋や仲人屋のような商売をしている。女衒は性に合わないと語るが、仔細ありの女性を岡場所へ世話することもあり、彼女達からは感謝され生き仏のように慕われる。一方で、脅す賺す丸めこむの手練手管で、八方塞の困難やお上では裁けない悪党への復讐などを金で請負い、八方丸く収めて解決するという商売もしており、その際に起こる人から見れば不可解な出来事を妖怪の仕業に仕立て上げて丸く治める。その仕上げとして必ず鈴を鳴らし「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)」と唱え締めくくる。以上の過程を「仕掛け」という。故に妖の存在が巷にのぼることから、「妖物遣い」などと称される。集団の懐に飛び込んであっという間に人心を?み、思う儘に操るのが得意で、その腕前は一藩を誑かすほどである。卑怯小細工を弄し、僅かな隙を捕まえて、あの手この手で翻弄し、虚言を以て丸め込むを得意とする談合上手が故に「小股潜り」の二つ名を取っている。所謂詐欺師ではあり、騙したり強請ったり何かを捲き上げたりといった悪事もするが、それらは別の目的のための手段に過ぎず、弁舌だけで金を稼ぐような真似はしない。他人を欺いて利益を得ようとしたり、誰かを陥れて喜ぶような人間ではなく、祈?料として法外な金子を取ることもない。但し、金の有り難みを知っているので、働いた分の対価はきちんと取り、只働きは絶対しない。ちなみに腕っ節はからきしらしい。性格はいたって飄々としており、口が悪く気安い仲間には必ずと言っていいほど悪態をつく。情で動くようなことはあまりないが、治平の敵討ちを手助けしたり、危ない橋を渡ろうとするおぎんを諌めたりと仲間思いの面もある。語り手役である百介に対しては常に謙虚で一線を引いているが、これは堅気である百介に累を及ぼすまいとする彼なりの配慮である。女の屍骸を嫌い、人死にを好まないこともあって、実際仕掛けの中でもやむをえない事情がない限り直接手を下すことはない。駆け出しの頃に詰めの甘さから後手に回って仲間や関係者を大勢失ったため、常に先手を取るように心がけ、周到な準備を怠らないようにしている。自身の口先一つで人の先の人生や生死まで左右する仕掛けの重大さを強く自覚しているため、関わった相手が不幸になれば仕事は失敗であり、仕事が終わった後も自分が関わり人生を大きく変えた人々の様子をそれとなくずっと見守り続けている。面倒見が良いので夜鷹や蹴転のような女郎には非常に人気がある。武州三多摩水飲み百姓の子で、母は2歳の頃に出奔、酒乱の父は8つの時に死んでおり、すでに肉親はない。故郷を捨てて上方に流れ着き一文字狸の仁蔵に拾われたが、下手を打って上方に居られなくなった林蔵とともに江戸に逃れ、損料商い・ゑんま屋の裏の仕事を手伝っていたという過去を持ち、妖怪を利用して世間を謀る仕掛けはこの時から使うようになった。百介が仕掛けに関わっている頃、住まいは麹町四谷門の外、念仏長屋だと百介に伝えていたが、又市が本当に住んでいた様子はなく、実際住んでいるのも店賃を払っていたのも仲間の事触れの治平であった。「小豆洗い」の仕掛けで百介と出会い、身許が確乎りしていて狂言の役者として利用価値があると考え、以後度々彼を仕掛けに巻き込むようになった。表と裏の境にいる百介に対しては自分達との境界を越えさせないように心を砕いたり、距離を置いているものの、「船幽霊」でのおぎんの発言や「老人火」の最後にとった行動などから、百介の立場や身分を利用していただけでなく情が移っていたようであり、百介の前から姿を消した後も彼が死ぬまで陰から見守り続けた。トレードマークの白装束については、当初、「行き倒れの御行から、剥ぎ取った物」と吹聴していたが、過去に関わった事件で、自ら犠牲となったある人物の形見であると同時に、又市が裏の世界と深く関わっていく契機となった特別な品である。シリーズ全作、及び江戸怪談シリーズにも登場する。
山岡 百介(やまおか ももすけ)
異名:考物の百介(かんがえもの の ももすけ)、菅丘 李山(すげおか りざん)、一白翁(いっぱくおう)三度の飯より怪談・奇談が好きという変わり者の戯作者志望。普段は子供のナゾナゾ遊びである「考物」を糧としているが、不思議話や怖い話を蒐集しながら諸国を漫遊し、いずれそれらを百物語にしたて開版したいという夢を持つ。元は御手先鉄砲組の貧乏同心の次男坊として生まれ、軍八郎という兄がいる。貧乏ゆえ大店である京橋蝋燭問屋「生駒屋」に養子にだされ跡継ぎとして育てられたが、金銭に全く執着がなく、自分の商才のなさを自覚していた為、養父亡き後身代を全て大番頭の喜三郎に譲り若隠居となり、10畳程の離れで寝起きしている。


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