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金属工場の例食品工場の例大規模な工場の例(JFEスチール東日本製鉄所・千葉地区)
工場(こうじょう、こうば、英:factory)は、製造業で、実際の製品を生産・製造したり、既成製品の機械関係の点検、整備、保守等のメンテナンスを行ったりする施設をいう。企業の呼称では「製作所」「製造所」「事業所」「事業場」などと呼ばれる場合がある。軍需品の工場は工廠と呼ばれる。意味としては、工場(こうじょう)は大規模な所、工場(こうば)は小規模な所を示すことが一般的である。
小規模から中規模の工場(町工場)は、内陸地域に設置されることも多いが、石油や鉄鋼などの大規模な工場は、原料や製造した製品の搬出入の便を図るために、海岸沿いの臨海部に設置されることが多い。石油コンビナート、製鉄所などはそれ自体が非常に規模が大きく、また関連工場も多くは近隣に設けられ、一大工業地区を形成する。
大規模な工場は多くの労働者を必要とすることから、それらの人たちを対象とした店舗も工場の周辺に集まることが多い。工場を中心として形成される生活圏を、「企業城下町」と呼ぶこともある。
歴史[ソースを編集]
小規模な工房は古くから存在したが、初めて近代的な工場が出来たのは1770年頃のイギリスである。1769年にイギリスのリチャード・アークライト(Richard Arkwright)が水力を使った紡績機を発明した。この紡績機は非常に高速で強い糸を紡ぐことが出来たが、利用するには水車のある場所に設置しなければならなかった。
リチャードは1770年頃、靴下製造業者であったサミュエル・ニード、ジェディダイア・ストラットらと組んで、ダービーシャー州のクロムフォードに、何台もの紡績機を集め、全ての紡績機の動力となる水車を備えた紡績工場を作った。これが近代的な工場の出発点とされ、産業革命の要因の1つともなった[1]。
日本の工場[ソースを編集]
日本において、働く人の数が300人以上の工場を「大工場」、300人未満の工場を「中小工場」と呼ぶ[2]。さらに29人以下の工場は「小工場」と呼ばれる。
大工場の例としては、自動車工場や化学工場、電化製品工場などが挙げられる[3]。ほとんどは重化学工業である。
中小工場の例としては、部品工場や食品工場、繊維工場、日用品工場などが挙げられる[4]。中小工場は、大企業の下請けが多く、大工場でつくっている製品の部品などを作っている工場が多い。部品工場のことを、最終製品を作っている工場からの視点で、関連工場ともいう。
日本にはおよそ36万もの工場がある(2017年)が、そのうち99%以上が中小工場であり、大工場はわずか1%未満である[4]。外国に比べると、日本の中小工場の割合は大きい[5]。しかし、中小工場に仕事を発注する大工場の海外移転の増加などに伴い、日本の中小工場の数は年々減少傾向にある[6]。日本の全工場で大工場と中小工場を比較した場合、従業員数は中小工場が約7割を占めるが、生産額は中小工場が全体のおよそ半分である[7]。
中小工場ではそれぞれの優れた技術を持つ職人が多く働いているが、従業員の高齢化による後継者不足が問題となっている。また、中小工場は景気の影響を受けやすいため、経営的に厳しい状況になることもある。
日本の大工場と中小工場の比較(2017年)大工場中小工場総数
工場数32480.9%35万759699.1%36万844
従業員数249万人31.5%541万人68.5%790万人
工業生産額169兆4089億円52.6%152兆6613億円47.4%322兆703億円
出典[ソースを編集][脚注の使い方]^ ロジャー・ブリッジマン『1000の発明・発見図鑑』丸善 2003年11月1日 p.107-108 ISBN 462107301X。
^ “ちゅうしょうこうじょう【中小工場】 。ち 。辞典