船(ふね、舟、舩)とは、人や物をのせて水上を渡航(移動)する目的で作られた乗り物の総称である[1]。
基本的には海、湖、川などの水上を移動する乗り物を指しているが、広い意味では水中を移動する潜水艇や潜水艦も含まれる。動力は人力・帆・原動機などにより得る。
大和言葉、つまりひらがなやカタカナの「ふね」「フネ」は広範囲のものを指しており、規模や用途の違いに応じて「船・舟・槽・艦」などの漢字が使い分けられている。よりかしこまった総称では船舶(せんぱく)あるいは船艇(せんてい)などとも呼ばれる(→#呼称参照)。
水上を移動するための乗り物には、ホバークラフトのようにエアクッションや表面効果を利用した船に近いものも存在する。また、水上機や飛行艇のように飛行機の機能と船の機能を組み合わせた乗り物も存在し、水上機のフロートや飛行艇の艇体は「浮舟」(うきぶね)と表現される。
なお、宇宙船や飛行船などの水上以外を航行する比較的大型の乗り物も「ふね」「船」「シップ」などと呼ばれる。これらについては宇宙船、飛行船などの各記事を参照のこと。また舟に形状が似ているもの、例えば刺身を盛る浅めの容器[1]、セメントを混ぜるための容器(プラ舟)等々も、その形状から「舟」と呼ばれる[2]。これらについても容器など、各記事を参照のこと。
目次
1 概要
1.1 基本機能
1.2 呼称
1.3 英語表現
1.4 数詞
1.5 法令による定義
2 船舶の構成
2.1 船体
2.2 艤装
3 船舶の擬人的取り扱い
3.1 固有の名称(船名)
3.2 固有の国籍(船籍)
3.3 固有の番号・符号
4 分類
4.1 運用上の分類
4.1.1 商船
4.1.2 特殊用途船
4.1.3 漁船
4.1.4 艦艇
4.2 法令上の分類
4.2.1 所有者による分類
4.2.2 供用による分類
4.3 工学上の分類
4.3.1 船体材質による分類
4.3.2 推進機による分類
4.3.3 動力による分類
4.3.4 船体構造による分類
4.3.5 機関の搭載方法による分類
5 歴史
5.1 世界
5.1.1 有史以前
5.1.2 紀元前
5.1.3 紀元後
5.2 日本
5.2.1 古代
5.2.2 飛鳥 - 室町時代
5.2.3 江戸時代(幕末まで)
5.2.4 近代(幕末以後)
5.2.5 太平洋戦争以後
6 船舶の運航
6.1 航海
6.1.1 操舵
6.1.2 船内生活
6.1.3 記録
6.1.4 信号
6.1.5 無線
6.1.6 放送
6.2 安全と海難事故
6.3 係留
6.3.1 錨泊
6.3.2 岸壁係留
6.4 水域区分
6.5 右舷と左舷
7 船の長所と短所
7.1 長所
7.2 短所
8 その他
8.1 外航船における日本人船員の減少
8.2 日本の船会社が運航する日本籍船の減少
8.3 操船の自由
8.4 貨物船の乗客
8.5 歴史的な分類名称
8.6 POSH
8.7 比喩的な「ふね」
8.8 熟語、慣用句
8.9 排ガス規制
9 出典
10 関連項目
概要
基本機能 船の各部名称
1.煙突 2.船尾 3.スクリュープロペラ 4.船体(左舷側) 5.錨 6.球状船首 7.船首 8.上甲板 9.船橋
「船」と呼ぶためには水上で安定して浮かぶためのアルキメデスの原理によって得た浮力と共に復原性も備えた「船体」と、推進力(風力などの自然力、エンジンなどの動力)、針路を定める「舵」(かじ)の機能を備える必要がある。「オール」や「櫂」、「帆」は動力としてだけでなく舵としても使える。動力として内燃機関などのエンジンを使うか否かに関わらず、スクリュープロペラが1つの場合は舵が必要となる。 「舟」や「艇」は英語の「boat」(ボート)に相当し、「船」は英語の「ship」や「vessel」と同じものを指す。従来、英語では民間船・軍艦共に代名詞はshe(女性扱い)であって、これに対し飛行機では民間機がshe、軍用機がhe(男性扱い)であるが、最近は、このような用法が少なくなって、他の一般名詞と同様にitを使用することがある。「ふね」を表す性についても、各言語によって異なり一様ではない。
呼称
舟・艇・ボート・船・船舶・艦
「舟」の字は、手でこぐような比較的小型のものに使うことが多い[1]。「舟」や「艇」は、いかだ以外の水上を移動する手漕ぎの乗り物を指し、「船」は「舟」よりも大きく手漕ぎ以外の移動力を備えたものを指す。「船舶」は船全般を指す。「艦」は軍艦の意味である。日本海軍では艦(艦の字義は装甲船の意)と書いて「フネ」と呼んだ。つまり、民生用のフネは「船」、軍事用のフネは「艦」、小型のフネは「艇」または「舟」の字が当てられ、それらの総称として「艦船」(かんせん)、「艦艇」(かんてい)、「船艇」(せんてい)、あるいは「舟艇」(しゅうてい)などの言い方をする場合もある。(「艦」の字を入れている時は軍用のものを強く意識している)。
槽(ふね)
一般的にふねの構造は、水上に浮かぶための浮力を得るために、内部は空洞になる。転じて、ある物体の中が空ろな容器全般を「ふね」と呼び、特に木製で中身(おもに液体や粉粒体)を入れる目的に特化した場合には「槽」(そう)の文字を当てる。日常的に、これら器を指して「ふね」と呼ぶ場合は使用時に蓋をしない、または蓋の付いていない状態のものを言う。(例:湯ぶね、浴槽、酒槽など)
英語表現