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米国憲法原本
アメリカ合衆国の法制度(アメリカがっしゅうこくのほうせいど、Law of the United States)は、連邦法と各州法から構成されている。これらの総称として(日本では)、アメリカ法(アメリカほう)または米国法(べいこくほう)という。 アメリカ合衆国は、英米法系の国の一つの代表的存在ではあるが、アメリカ法は、イギリスと異なり成文憲法典を有し、連邦制を採用していることなどから、英国法(イングランド法)とは異なった独特の発展を遂げている。 アメリカ法は、(大日本帝国憲法下の)戦前日本の法制、法学に対してほとんど影響を与えていなかったが、GHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部)による連合国軍被占領期(1945年-1952年)を経て、戦後日本国憲法、刑事訴訟法、労働法、会社法、独占禁止法、金融商品取引法の領域に、特に大きな影響を与えるに至っている。 アメリカ法を理解するにあたっては、大陸法の国で当然とされている前提がそもそも異なる点に留意する必要がある。 大陸法では、公法と私法が区別されているが、アメリカ法では、そのような区別をするという発想がそもそもない。もちろん講学上の概念としては存在するのであるが、あくまで便宜上のものであるとされている。刑事法と民事法の区別、手続法、実体法の区別についても、全く同様のことがいえる。 また、アメリカ法において、制定法という場合、それらは単に無秩序な法律の集合体であり、第一次的法源である判例を補うものにすぎないとされており、これは制定法主義をとる大陸法において、判例が制定法のすき間にあたる部分を補充する機能を有するものとされていることと全く正反対の理解がなされている。したがって、アメリカの制定法を解釈するにあたっては、その条文を読んだだけでは理解できない暗黙の前提となる判例が存在する可能性がある。 例えば、アメリカ法には、日本でいう民法(Civil law)という概念は存在しない。民事法典(Civil code)という概念は存在するが、それは契約法典、不法行為法典、財産法典という雑多な制定法の集まりにすぎず、体系性をもった「法」(Law)といえるのは、その法域、つまりほとんどの場合にはその州の裁判が行われることによって日々変化する判例法である。そして、日本でいう民法にあたるその判例法には、不法行為法で懲罰的損害賠償が認められているように刑法と同じ制裁としての機能を有しており、刑事法と理論的に峻別されていない。同様に、商法とも区別されておらず、商事法典は存在するが、商法は存在しない。さらに、合衆国には、行政裁判所が存在せず、通常裁判所の法に従うのが当然とされており、公法と私法を区別する実益は全くない。加えて、合衆国には、民法を実現するための手段としての民事訴訟法、刑法を実現する手段としての刑事訴訟法という発想が存在せず、裁判所および裁判所における手続法の中の民事編、刑事編という規定のされ方がされているのである。 アメリカ合衆国は、もともとひとつの国家としてではなく、独立戦争によって 英国から独立した13の植民地の連合を契機に建国されたという歴史を有する。また、建国当初の法曹のほとんどは、イングランドの法曹院の出身者であった。法曹希望者のほとんどは、既に法曹としての実績のある者の見習いになり、まれに法曹学院にわざわざ留学するなどして教育を受けていた。このような経緯からアメリカ合衆国は英国のイングランド法を継受したのである。 そのため、合衆国は、何世紀も前の英国の慣習を起源とするコモン・ローにみられる伝統的な法原則にすべての法制度が立脚している[注釈 1]。英国では、国王によって諸侯ないし人民の権利・自由が侵害された歴史から、専断的な権力による人の支配を排除する法の支配が徐々に確立されていった。このような経緯から、法の支配における「法」とは、司法の決定およびそこで示された一般原則ならびに伝統的な慣習の集大成であり[注釈 2]、判例が第一次的法源とされた。したがって、日本やドイツのような成文法主義の国と異なり、議会が制定する法律は、判例を修正した規範にすぎないとされている。この点は合衆国でも同様である。 諸邦連合の連合規約によって設置された連合会議は、一院制で、立法作用のみならず、行政作用も有するものとされたが、連合には独自の司法府が存在しなかった。諸邦連合の13の邦は、それぞれが独立の国家として主権を有していたので、連合議会は、いわば各邦の代理にすぎず、その権限は極めて限られており、独自の徴税権も通商規制権もなかった。
概要
アメリカ法の体系
歴史
英国法の継受と独立戦争
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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