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1955年フェデリコ・フェリーニ監督の映画については「崖 (映画)」をご覧ください。
トランゴ・タワーズカラコルム山脈の大断崖群。パキスタン領。氷食(氷河侵食)によって形成された。

崖(がけ、がい)とは、海岸・河岸・湖岸)などの、険しく切り立った所[1][2]。地表の高度が急変する部分の急斜面[3]との定義もできる。山腹の崖[1]日本語ではほき(崖[1][4]、歩危[1])、そわ(岨)[1][2]、そば(岨)[1][2]ともいうが、古語の趣がある。また埼玉県などの小字名などに残っているはけ「岾」や「?」や「?」などと表記も川辺の崖である。垂直かそれに迫るほど切り立った崖は、古来の日本語で切岸[1][4]/切り岸[4](きりぎし[1][4]、きりきし[4])という。しかし現代語では断崖(だんがい)[1][2][4]ということが多い。懸崖(けんがい)[1][2][4]、絶崖(ぜつがい)[1][2][4]ともいう。また、これらの同義語として、切り立った状態をに譬えた絶壁(ぜっぺき)[1][2][4]があり、断崖に絶壁を合わせて断崖絶壁という強調表現もある。

英語では「崖」全般を "cliff"、「断崖」を "escarpment" といい、日本語では前者の音写形「クリフ」が外来語として通用する[2][4]レッドクリフなど

日本の宅地造成規制法施行令の1条2項によれば「地表面が水平面に対し30度を超える角度をなす土地」としている[* 1]
崖の成因
自然作用による崖プレーケストーレンの断崖/ノルウェーリーセフィヨルドに所在。

自然の流水・雨水海水氷河などといった太陽エネルギーに基づく外作用が地形形成営力(土地に働きかけて地形を変化させる力)として作用することを侵食/侵蝕というが、地表岩石土壌が侵蝕されることで、そこに崖が形成される。

海水の運動(波浪潮流海流など)による海岸とその付近の浅海底に対する侵食を海岸侵食といい、略して海食というが、海食によって生まれる崖を海食崖/海蝕崖(かいしょくがい)といい、略して海崖ともいう。また、波浪による侵食を波食/波蝕というが、波食によって生まれる崖を波食崖/波蝕崖(はしょくがい)という。アメリカ海洋大気庁のESIマップでは海岸性状の分類を設けており、崖になっている海岸線は、Exposed rocky shore(硬い地質の傾斜30度以上の海食崖など)ほか数種類に分類される[7]雪山の断崖で生きるアイベックス

崖はその急峻な地形ゆえに棲息環境としても生物を選ぶ。特に脊椎動物は、断崖に適応進化した場合、捕食圧(捕食される淘汰圧)から大きく逃れることが可能となる。飛翔することで断崖を自在に利用できる鳥類は、その利点を存分に活かして崖を繁栄の場としている一大勢力といえる。鳥による崖の利用は、逃れることに限らず、多くの猛禽類がそうであるように、そこから獲物を狙うことにも利用される。また、崖があることで生じる上昇気流を、鳥は大いに利用する。高層ビルの立ち並ぶ大都会にハヤブサオオタカが進出していることは、断崖の高さや上昇気流を利用してきた彼らの習性が、高層ビルでも有効であったことを意味する。地上棲の哺乳類の場合は、断崖に高度に適応することは生存上の極めて大きな利点となり、固有種を形成することが多い。なぜなら、中型・大型の哺乳類にとって最も警戒すべき捕食者は中型・大型哺乳類であり、彼らが能力的に入り込めないレベルの厳しい断崖に適応することは、その種からの捕食圧に対する絶対的安全地帯の確保を意味するからである。例えば、断崖にある程度適応した大型ネコ科動物(ユキヒョウなど)はいるが、より高度な適応を見せる偶蹄類の複数グループ(アイベックスなど)は、ネコ科には叶わず彼らのみが入り込めるレベルの断崖を生存上の牙城としている。切り立った崖を平地と変わらない高速で疾走できるのも彼らのみで、ネコ科の適応種はこれを追うことができない(彼らも走れるが、追いついて捕獲できるレベルではない)。垂直の絶壁さえ巧みによじ登って上層の台地を天空の楽園のように利用するサルの一種(ゲラダヒヒなど)もいる。これら高度な適応種にとって、そのような場所にいる時、幼獣などを狙ってくる警戒すべき天敵は空にしかいないことになる。
宅地造成による崖

宅地造成における崖は地表面が水平面に対し30度をこえる角度をなす土地で硬岩盤以外のものをいい、「がけ面」とはその地表面を、がけ面の水平面に対する角度をがけの勾配というが、宅地造成にあたっては下層のがけ面の下端を含み、かつ、水平面に対し30度の角度をなす面の上方に上層のがけ面の下端があるときは、その上下のがけは一体のものとみなす。擁壁の前面の上端と下端とを含む面の水平面に対する角度を擁壁の勾配とし、その上端と下端との垂直距離を擁壁の高さとする。

安息角度は土質試験等に基づき地盤の安定計算により、擁壁の必要がないときは適用しないが、切り土、及び、盛り土により生じる崖面は、擁壁でおおわなければならない。ただし、切土より生じた崖で土質に応じて下に該当するものの崖面については、この限りではない。

砂利、真砂土、関東ローム、硬質粘土、その他これらに類する土質の場合、壁を要しない勾配は35°(1:1.482)以下、擁壁上端よりの垂直距離が5m以内まで擁壁を要しない勾配で45°以下

土質が軟岩の土質の場合、壁を要しない勾配は 60°(1:0.577)以下、、擁壁上端よりの垂直距離が5m以内まで擁壁を要しない勾配で80°以下

風化の著しい岩では、壁を要しない勾配は 40°(1:1.192)以下、擁壁上端よりの垂直距離が5m以内まで擁壁を要しない勾配で50°以下

上記に該当しない切土、盛土であっても、災害の防止のため土質による“法”の勾配、及び間知石積み擁壁については、その高さ、厚み、根入深さ、勾配、水抜穴に対しては特に配慮が必要である。
世界一高い崖トール山全景/西壁はほぼ垂直の断崖絶壁。山頂から西壁直下谷底まで標高差(垂直距離)1,250mを誇る。

世界で最も高い崖について、ギネスワールドレコーズは、ハワイモロカイ島に所在する「カラウパパの崖」を認定しており、これは高さ約1,010メートルの海食崖である[8]。もっとも、カナダバフィン島にあるトール山西壁の断崖は高さ1,250メートルで前者より高い (cf. en:Extremes on Earth#Greatest vertical drop)。こちらは主に氷食(氷河侵食)によって形成された氷食尖峰の一角としての崖である。
世界の崖

オーストラリア大断崖 (大分水嶺山脈と関係)

ブラジル大断崖


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