島回
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脳: 島皮質
島皮質は外側溝というミゾの奥にある。の前部付近で脳を冠状断した図。
矢印の先、緑色で示す所が島皮質。
名称
日本語島皮質
英語insular cortexs
ラテン語lobus insularis
略号Ins, INS
関連構造
上位構造大脳
動脈中大脳動脈
画像
アナトモグラフィー三次元CG
Digital Anatomist ⇒左側面+島
下方
上方
冠状断(視床)
水平断(視床)
傍矢状断
関連情報
IBVD ⇒体積(面積)
Brede Database ⇒階層関係、座標情報
NeuroNames ⇒関連情報一覧
NIF ⇒総合検索
グレイ解剖学書籍中の説明(英語)
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島皮質(とうひしつ、: insula、: Inselrinde、: insular cortex)は、大脳皮質の一領域である。脳葉の1つとして島葉(insular lobe)と呼ばれたり、脳回の1つとして島回(insular gyrus)と呼ばれたりする。単に島(insula) とも呼ばれる。島皮質は脳の外側面の奥、側頭葉頭頂葉下部を分ける外側溝の中に位置している。島皮質は前頭葉側頭葉及び、頭頂葉の一部である弁蓋と呼ばれる領域によって覆われている。弁蓋と島皮質の境界は島輪状溝と呼ばれる脳溝で区切られている。

島皮質はライルの島とも呼ばれ、その別名はオランダの解剖学者であるヨハン・クリスチャン・ライルの名en:Johann Christian Reilから付けられた。

島皮質は終脳の独立した葉であると考える研究者も存在する[1]。また、島皮質を側頭葉の一部とする者も存在する[2]
前部と後部の構造的違い島の位置を様々な角度から見たアニメーション。赤い所が外側溝の隙間から見える島皮質の一部。ヒト脳前部の冠状断面外側溝周辺に色。.mw-parser-output .legend{page-break-inside:avoid;break-inside:avoid-column}.mw-parser-output .legend-color{display:inline-block;min-width:1.5em;height:1.5em;margin:1px 0;text-align:center;border:1px solid black;background-color:transparent;color:black}.mw-parser-output .legend-text{}  頭頂弁蓋(頭頂葉の一部)  島皮質  側頭弁蓋(横側頭回側頭葉の一部)脳の発達と島。前頭葉頭頂葉側頭葉が発達するにつれ島皮質が覆われていき、成人になると外からほとんど見えなくなる。

島皮質は、後部の顆粒細胞から前部の無顆粒細胞まで変化する様々な細胞構造、または細胞構築を持つ。また、その位置に従って異なる皮質、または視床からの入力がある。島皮質前部は視床の内側腹側核基部 (VMb) から直接の投射を受け、扁桃体の中心核からの強い入力を受ける。加えて、島皮質前部自身から扁桃体への投射が存在する。島皮質後部は二次感覚野 (S2) と相互に接続しており、脊髄視床路によって活動が引き起こされた視床の下後腹側核 (VPI) からの入力を受ける。バド・クレイグ (Bud Craig) らによる、より最近の研究において、この領域は視床の内側腹側核の後部からの入力を受けることが示された。内側腹側核は痛みや気温、かゆみ、周りの酸素の量、性的な感触などの、情動や恒常性に関する情報を担っていると考えられている。ウィリアムソン (Williamson) らはヒトの島皮質後部が運動における目的のための行動の知覚と関係していることを示した。
情動における役割 (辺縁系との関係)

島皮質、特にその前端部は辺縁系との関連がある皮質だと考えられている。島皮質は、その身体表象と主観的な感情の体験における役割に注目が集まっている。特に、アントニオ・ダマシオ (Antonio Damasio) は、この領域が、意識的な感情を生み出す情動の体験に関連する、直感的な状態をマップする役割を持つとした。この研究は、主観的な感情の体験 (つまり気分) は、脳が感情的な出来事によって起きる身体の状態変化を解釈することによって生じるとするウィリアム・ジェームズ (William James) の考えの神経科学的な定式化であるといえる。このことは身体化的認知 (embodied cognition) が生じた例である。

機能的に言えば、島皮質は収束した情報を処理することで、感覚的な体験のための情動に関連した文脈情報を生み出す。より具体的に言えば、島皮質前部は嗅覚、味覚、内臓自律系、及び辺縁系の機能により強く関わり、島皮質後部は聴覚、体性感覚、骨格運動とより強く関わっている。機能的核磁気共鳴画像法 (fMRI) による研究によって、島皮質は痛みの体験や喜怒哀楽や不快感、恐怖などの基礎的な感情の体験に重要な役割を持つことが示された。

脳機能イメージングによって島皮質と、食べ物や薬物に対する渇望などの意識的な欲望との関連が示唆されている。これらの感情に共通することとして、これらが身体の状態を変化させる点と、高い主観的特性と関連付けられる点がある。島皮質は身体状態に関連する情報を、高次認知と情動の処理に統合する役割を持つと位置付けられる。島皮質は視床を介して恒常性に関する求心性の経路から入力を受け、扁桃体や線条体腹側部や、前頭眼窩野などの、他の多くの辺縁系に関連した領域に出力する。

核磁気共鳴画像法 (MRI) による研究において、瞑想する人は右の島皮質後部が有意に厚いことが示されている[3]


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