岸田國士戯曲賞(きしだくにおぎきょくしょう)は、劇作家・岸田國士の業績を顕彰するとともに、若手劇作家の育成を目的に白水社が主催する戯曲賞。新人劇作家の登竜門とされ、「演劇界の芥川賞」という異名を持つが、ベテラン作家の受賞も多い[注 1]。
1955年に新劇戯曲賞として創設され、1961年に新潮社の岸田演劇賞を吸収合併して「新劇」岸田戯曲賞となった。その後、1979年に岸田國士戯曲賞と改称され現在に至っている。創設時の名の通り新劇の作家に与えられる賞として始まったが、1960年代後半からは脱新劇的傾向のある小劇場作家も多く受賞するようになっていった。受賞者には正賞として記念時計、副賞として賞金が贈られる。
最年少受賞記録は、24歳の柳美里(第37回)。
受賞作品一覧
第1回から第10回
第1回(1955年) - 該当作なし
佳作 - 矢代静一 『壁画』
第2回(1956年) - 大橋喜一 『楠三吉の青春』、小幡欣治 『畸形児』
第3回(1957年) - 該当作なし
佳作 - 生活を記録する会・劇団三期会 『明日を紡ぐ娘たち』
第4回(1958年) - 堀田清美 『島』
第5回(1959年) - 該当作なし
佳作 - 福田善之『長い墓標の列』、原源一『漁港』、広田雅之『友情舞踏会』
第6回(1960年) - 小林勝 『檻』、早坂久子 『相聞』
第7回(1961年) - 該当作なし
第8回(1962年) - 宮本研 『日本人民共和国』、『メカニズム作戦』、八木柊一郎 『波止場乞食と六人の息子たち』、『コンベヤーは止まらない』
第9回(1963年) - 山崎正和 『世阿彌』
第10回(1964年) - 人見嘉久彦 『友絵の鼓』、菅龍一 『女の勤行』
辞退 - 福田善之 『袴垂れはどこだ』
第11回から第20回
第11回(1965年) - 該当作なし
第12回(1966年) - 川俣晃自 『関東平野』、広田雅之 『砂と城』
第13回(1968年) - 別役実 『マッチ売りの少女』、『赤い鳥の居る風景』
第14回(1969年) - 秋浜悟史 『幼児たちの後の祭り』に至るまでの諸作品の成果
第15回(1970年) - 唐十郎 『少女仮面』
第16回(1971年) - 佐藤信 『鼠小僧次郎吉』
第17回(1972年) - 井上ひさし 『道元の冒険』
第18回(1974年) - つかこうへい 『熱海殺人事件』、清水邦夫 『ぼくらが非情の大河をくだるとき』
第19回(1975年) - 該当作なし
佳作 - 石澤富子『木蓮沼』
第20回(1976年) - 石澤富子 『琵琶伝』
第21回から第30回
第21回(1977年) - 該当作なし
第22回(1978年) - 太田省吾 『小町風伝』、ちねんせいしん 『人類館』
第23回(1979年) - 岡部耕大 『肥前松浦兄妹心中』
第24回(1980年) - 斎藤憐 『上海バンスキング』
第25回(1981年) - 竹内銃一郎 『あの大鴉、さえも』
第26回(1982年) - 山崎哲 『漂流家族』、『うお伝説』
第27回(1983年) - 野田秀樹『野獣降臨(のけものきたりて)』、山元清多『比野置(ピノッキオ)ジャンバラヤ』、渡辺えり子『ゲゲゲのげ』
第28回(1984年) - 北村想 『十一人の少年』
第29回(1985年) - 岸田理生『糸地獄』
第30回(1986年) - 川村毅 『新宿八犬伝 第一巻-犬の誕生-』
候補作
生田萬 「最後から2番目のナンシー・トマト」
市堂令 「シンデレラ」
加藤直 『美女と野獣』
川村毅 「新宿八犬伝 第二巻―ベルリンの秋」
第31回から第40回
第31回(1987年) - 該当作なし
候補作
生田萬 「かくも長き快楽」
市堂令「いつかみた夏の思い出」