岳-ガク-
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漫画:岳(岳 みんなの山)
作者
石塚真一
出版社小学館

その他の出版社
山鹿

掲載誌ビッグコミックオリジナル
ビッグコミックオリジナル増刊
レーベルビッグコミックス
発表期間2003年 - 2012年
巻数全18巻
話数全158話
その他『岳 みんなの山』は雑誌連載時タイトル。
単行本タイトルは『岳』。
映画:岳 -ガク-
監督片山修
制作「岳」製作委員会
東宝テレビ朝日、小学館ほか)
封切日2011年5月7日
上映時間125分
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『岳 みんなの山』(がく みんなのやま)は、石塚真一による、山岳救助を題材とした漫画。なお、単行本での題は『岳』である。

ビッグコミックオリジナル2003年19号に初掲載された。その後、同誌および『ビッグコミックオリジナル増刊』にて不定期連載を開始し、2007年7月からは『ビッグコミックオリジナル』に毎号連載となり、2012年12号で完結した。

マンガ大賞2008、第54回(平成20年度)小学館漫画賞一般向け部門、第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞[1]を受賞している。

実写映画化され、2011年5月に公開されている。
作品の概要

若くして世界の名峰に登頂し、アメリカで山岳救助経験を積んだあと、日本へ戻り主に北アルプスで山岳救助ボランティアとして活動していた島崎三歩。そのもとに、椎名久美が長野県警山岳遭難救助隊の新人としてやって来る。

救助隊チーフの野田とボランティアの三歩の指導を受けて訓練、救助をこなしていた椎名だが、実際の現場で遭難者を救うことが出来ない現実に自信を失っていく。そのような厳しい環境にありながらも、なぜ人は山に登るのか、救助を続けるのかを問い続け、様々な現場を経験することで、他の隊員と共に山岳救助のプロとして成長していく。

救助活動の他にも、県警警備隊関係者への訓練などを通して山の安全に関わる人々や、山を訪れる人々との交流を描いている。主な舞台は北アルプスでも最も人気であるとされる、穂高岳槍ヶ岳周辺、他に長野県松本市を中心に話が進む。
題名

本作の題名は雑誌掲載時のみ『岳 みんなの山』であり、単行本では『岳』である。単行本表紙や扉絵などに書かれる英文の副題も異なる表記となっている。雑誌掲載時は「CLIMB EASY AND FIND YOUR OWN ADVENTURE!」、単行本では「COOL, AWESOME, ASTONISHING STORY ABOUT CLIMBERS AND RESCUERS! CLIMB EASY AND FIND YOUR OWN ADVENTURE!」である。
登場人物
主要人物
島崎 三歩(しまざき さんぽ)
民間の救助ボランティア団体である山岳遭難防止対策協会(遭対協)に参加しているボランティアの救助隊員。
北アルプス山中にてテントなどに寝泊まりして暮らしている。長野県小諸市出身。身長187cm、体重80kg。千歩という姉がいる。高校時代から卒業が危ぶまれるほど山に入り浸り、高校卒業後は実家のりんご畑を継がずに海外へ出て、多くの世界名峰を登頂。豊富な登山経験と技術、知識を持つ。好物はホットコーヒーとバナナ。過去の自身の経験や、山と山に来る人を愛する故に遭難者を決して責めず、仮に救助対象者が遺体であったとしても「良く頑張った」と労わりの声をかける。南米パタゴニアフィッツロイで出会ったスコットと、アメリカワイオミング州のティートンで偶然再会。山関係の仕事を探していた2人はレスキューチームに入隊し歓迎され、入隊2か月後には救助リーダーとなって活躍する。漫画中の描写から、日本に帰国する前の過去に、ナンガパルバットマカルーアコンカグア、マッキンリー(デナリ)、エベレスト等の著名な山への登頂歴を持つとされる。特に、ナンガパルバットでは8000m峰でありながら、頂上付近で他パーティーの救助をしたという逸話がある。K2に関しては、漫画内でパキスタン政府の許可が下りなかったことを嘆いている。ヨセミテ国立公園にて、仲間からもらった[2]「岳」と書かれた帽子をかぶっている。物語の終盤でローツェへの南壁単独登頂に挑むため、日本を去る。ローツェへの単独登頂を目前に打ち切った後、友人のオスカーが率いるエベレストへの登頂パーティーを助けるために駆けつける。必死の救助を試み、数人の救助には成功するが、力尽きて二重遭難に陥る。酸素欠乏による判断力低下、幻覚などの症状が描写された後、物語からフェードアウトする。後日譚となるエンディングでは三歩本人は登場することなく、登場人物それぞれが三歩の遺志を受け継ぐ様子が描かれて終わっている。
野田 正人(のだ まさと)
長野県警察山岳遭難救助隊チーフ。長野県にある北部警察署の地域課所属の警察官。三歩とは幼馴染で高校山岳部の同期でもある。冷静に責任を持って任務を遂行するため、一見「冷たい」と誤解されがちだが、非番の日には捜査打ち切りになった行方不明者を自主的に三歩とともに捜すなど、熱い人物でもある。阿久津の遭難事故の責任を問われ、伊那へ異動となる。
椎名 久美(しいな くみ)
長野県警察の山岳遭難救助隊隊員。長野県にある北部警察署の地域課所属の警察官。山を好きになれずにいた新米隊員だったが、山岳救助の経験を積み重ねるうち、葛藤しながらも成長していく。愛車は三菱・i。最終話では隊員として活躍を続け、同じく隊員となっている小田から「三歩とそっくり」と言われている。また、青木誠と結婚して一児をもうけている。
阿久津 敏夫(あくつ としお)
長野県警察の山岳遭難救助隊隊員。椎名久美の後輩。懸垂下降が大の苦手で、訓練時にアイゼンを付ける向きを間違うなど、失敗が多い。自身の山岳救助隊への適性も疑うが、ある出来事をきっかけに奮起し、徐々に救助隊員としての力を付けていく。しかしある日、救助活動中に落石の直撃を受けて瀕死の重傷を負ってしまう[3]。最終話では車椅子使用の身になるも、交番勤務で復職を果たしている。愛車はフォルクスワーゲン・ゴルフVI
谷村 文子(たにむら ふみこ)
北アルプスで山小屋「谷村山荘」を営む女性。亡き夫が経営していた山小屋を継ぎ、北アルプスを訪れる登山者を迎え入れている。かつて夫と結ばれた地である富士山に、現在でも年に1回登り続けている。
横井 ナオタ(よこい なおた)
父子家庭で育っていた小学生。父親が北アルプスで遭難し死亡したため、祖父母に引き取られともに暮らす。父親の遭難死という辛い出来事にも負けない逞しい性格。父の救助に当たった三歩を「山のお兄ちゃん」と呼び慕う。最終話では青年に成長しており、三歩から預かった帽子を手に、約束の地であるジェニーレイクに挑む。
ザック・ウェザース(Zack)
ティートン・レスキューチームのクライマー。ティートンでは三歩がリーダーを務めていたチームに所属していた。チームメイトのピッツィーとともに来日したがそのまま日本に残り、松本市内の居酒屋「ケルン」でアルバイト勤務の傍ら、救助のボランティアとしても出動する。クライマーの妻をヒマラヤで亡くしており、椎名久美に好意を寄せている。小田の帰国と入れ替わる形でアメリカへ帰国し、現地でもボランティアを続けている。
小田 草介(おだ そうすけ)
会社を辞めてエベレスト公募登山隊に参加した青年。学生時代に杜撰な装備のまま冬の穂高岳に入り遭難したが、三歩に救助されている。その後、ローツェに向かう途中の三歩とネパールのルクラで再会。度重なるトラブルに見舞われ遭難寸前に陥った公募隊の中で体力を残した数少ないメンバーとなり、ヒマラヤ遠征編では重要な役割を果たす。帰国後は久美たちの所属する山岳救助隊に参加する。
その他
阿久津 スズ(あくつ すず)
松本市内の
スーパーマーケットに勤務する女性店員。阿久津に想いを寄せられるも2年近く進展がなかったが、後に結婚して第一子を出産する。
阿久津 遼平(あくつ りょうへい)
敏夫とスズの第一子。最終話では阿久津が飾っている写真の中で、男児に成長した姿が描かれている。
安藤(あんどう)
長野県警察の山岳遭難救助隊隊員。長野県にある北部警察署の警察官で、椎名久美の先輩。異動した野田の後任として、山岳遭難救助隊隊長に就任した。
牧 英紀(まき ひでのり)
昴レスキュー所属の救助隊員。既婚者で娘がいる。少しでも救助の確率を上げるため、そして再発を防ぐため遭難者に厳しく接する人物。山岳救助の業務から撤退しようとする会社の決定に葛藤していたが、2009年(平成21年)1月、青木誠とともに「燕(つばくろ)エアレスキュー」という新会社を立ち上げ、引き続き三歩らに協力する。高校で山岳部のリーダーを務めていた1991年(平成3年)2月、山岳警備隊になるのを夢見ていた後輩が冬季登頂中に滑落してしまい、その後1年以上捜索し続けた末に遺体を発見したという経験がある。モデルは民間山岳救助のパイオニア的存在となった、東邦航空の篠原秋彦(しのはら あきひこ、2002年[4])。
青木 誠(あおき まこと)
昴レスキュー所属のヘリコプターパイロット。埼玉県草加市出身。救助作業時に牧と行動をともにしており、牧とともに「燕エアレスキュー」の設立に参画した。愛車はスズキ・エスクード(3代目)。最終話では椎名久美と結婚している。
青木 のぞみ(あおき のぞみ)
最終話に登場した、久美と誠の第一子。
新見 正一(にいみ)
長野県警察塩尻警察署所属の警察官。


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