いわい しゅんじ
岩井 俊二
2016年、東京国際映画祭にて
生年月日 (1963-01-24) 1963年1月24日(61歳)
出生地 日本・宮城県仙台市[1]
血液型O型
職業映画監督
主な作品
映画
『Love Letter』
『スワロウテイル』
『リリイ・シュシュのすべて』
『花とアリス』
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
『ラストレター』
『キリエのうた』
受賞
ベルリン国際映画祭
最優秀アジア映画賞
岩井 俊二(いわい しゅんじ、1963年1月24日 - )は、日本の映画監督・映像作家・脚本家・音楽家。脚本家としては、網野 酸(あみの さん)というペンネームを用いることもある。血液型はO型。
経歴・人物2024年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞
宮城県仙台市出身[2]。仙台市立西多賀中学校[3]、宮城県仙台第一高等学校、横浜国立大学教育学部美術学科卒業。学生時代から小説家を目指し、美術の学科に入ったのもその道に影響すればいいと思ったためである。絵はあくまでも趣味で描き、漫画の持込みなどもした。卒業前にも就職活動をせず、とにかく映像関係の仕事に就くためアルバイトをしながら人脈を広げる。
小学時代、ほかに家にレコードがなかったため、百科事典のオマケについていた『世界の名曲』というレコード集でシューベルトやショパンを聴き込んでいたという。ターンテーブルは幼稚園の頃から家にあった[4]。
大学卒業後の翌1988年、ビーイングなどのミュージック・ビデオの仕事を始める。1993年、テレビドラマ『if もしも?打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。テレビドラマでの受賞はきわめて異例である。同作品は再編集され、1994年劇場公開される。1995年、初の長編映画『Love Letter』を監督。日本や中国でも好評だったが、韓国では特に爆発的な人気を呼んだ。これに続く『スワロウテイル』は賛否両論あったが、岩井の知名度を大きく上げた作品である。
その後長編・短編作品を順調に公開し、独特な映像美から「岩井美学」などと呼ばれるようになる。初めてドキュメンタリーを発表した1999年頃から劇映画の監督業以外にもフィールドを広げ、2000年には庵野秀明監督作の『式日』に俳優として出演。新しい技術の取り組みにも熱心で、日本で最初にAVIDによるノンリニア編集を取り入れ、『式日』と同じ年にはインターネット上のBBSを使った大衆参加による小説『リリイ・シュシュのすべて』を完成、映画化する。この映画もまたHD24Pという、フィルム表現に近いデジタル撮影による新しい方法で行われ、仮編集はApplePowerBookが用いられた。この撮影法をいち早く取り入れた一人である。また、2003年にはWEB配信という新しい上映方法で『花とアリス(ショートフィルム)』を公開。
2004年4月1日からオフィシャルのウェブページでシナリオ募集していた『しな丼』のコーナーを閉鎖し、「戯作通信」こと『playworks(プレイワークス)』というウェブサイトを開設、また合わせてラジオ番組、『円都通信』がスタート。この『playworks』(『しな丼』)で扱われたシナリオがラジオドラマとして毎週放送されていた。その中の作品「虹の女神」(2006年)、「BANDAGE バンデイジ」(2010年)が映画化。プロデューサーとしての手腕も見せる。
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}2005年より[要出典]ロサンゼルスに拠点を移し活動している[5]。2009年にはフランス・アメリカ合作映画である「ニューヨーク、アイラブユー」に監督の1人として参加[5]。ハリウッドにて初の長編映画「vampire」を撮影した。
映画監督の市川崑へのリスペクトを示している事でも知られており、『市川崑物語』の監督も務めた。
フジテレビの深夜枠であるJOCX-MIDNIGHTのアイキャッチ「音楽美学」を製作した。
なお、2009年横浜開港150周年記念テーマイベント(開国博Y150)において、プロデュース及び、初のアニメ脚本『BATON』を手がけている。
2014年、短編『TOWN WORKERS』で初のアニメーション作品を手がける。
2015年1月8日から、NHKのEテレで『岩井俊二のMOVIEラボ』が放送[6]。
2015年2月20日、長編アニメーション作品『花とアリス殺人事件』を公開。前作に引き続き、ロトスコープで作られた理由は、元々生々しいロトスコープを気持ち悪いと思っていたが、ラルフ・バクシの作品を見て、斬新さや美しさを感じたのがきっかけで、20年前からテストしており、ある水準に達したので挑戦している。実写を線でなぞるだけだと気持ち悪い絵になるため、顔だけ手描きでディフォルメするなど試行錯誤している。
本作でロトスコープアニメーションディレクターを務めた久野遥子について、「久野ちゃんの絵は時代的耐久性があって、たぶん10年経っても20年経ってもバグが発生しない」と評している。[7]
映画プロデューサーの鈴木敏夫には、「アニメ業界でロトスコープはタブー」と否定的な意見も言われているが、本人は「アニメの人達からすると、それはアニメじゃないって事になるんですよ。なぞるだけじゃないかっていう。でも僕からすると、アニメだって言われてる物を見ると、本当の人の動きの美しさに欠ける訳ですよ。こんなんでいいんだろうかって」とも語っている[8]。
2016年2月、NHKで『岩井俊二のMOVIEラボ シーズン2』が放送。
作品
映像作品
テレビドラマ
見知らぬ我が子(1991年4月17日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督・脚本)
殺しに来た男(1991年12月11日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督)
マリア(1992年3月8日放映、関西テレビ「DRAMADOS」、監督・脚本)
夏至物語(1992年9月16日放映、関西テレビ「薔薇DOS」、監督・脚本)
オムレツ(1992年10月19日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
蟹缶(1992年12月7日放映、フジテレビ「世にも奇妙な物語」、監督)
GHOST SOUP(1992年12月21日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
雪の王様(1993年1月6日放映、関西テレビ「TV-DOS-T」、監督・脚本)
FRIED DRAGON FISH(1993年3月22日放映、フジテレビ「La cuisine」、監督・脚本)
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1993年8月26日放映、フジテレビ「if もしも」、監督・脚本)
ルナティック・ラヴ(1994年1月6日放映、フジテレビ「世にも奇妙な物語」、監督・脚本)
賢者の贈り物(2001年12月24日放映、テレビ朝日、監修)【監督:永田琴/HIROMIX/カジワラノリコ】
なぞの転校生(2014年1月 - 3月放送、テレビ東京、企画・プロデュース・脚本・編集)【監督:長澤雅彦】
リップヴァンウィンクルの花嫁 serial edition(2016年3月25日?放映、BSスカパー!、監督・原作・脚本・編集)
リップヴァンウィンクルの花嫁 complete edition(2018年4月30日放映、日本映画専門チャンネル、監督・原作・脚本・編集)
夏至物語 リメイク版(2023年10月8日放映、関西テレビ、監督・脚本・編集)
夏至物語 完全版(2023年10月10日放映、日本映画専門チャンネル、監督・脚本・編集)
映画(監督作)
undo(1994年10月7日公開、監督・脚本)
Love Letter(1995年3月25日公開、監督・脚本・編集)
打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?(1995年8月12日公開、監督・脚本)
PiCNiC(1996年6月15日公開、監督・脚本・編集)
FRIED DRAGON FISH(1996年6月15日公開、監督・脚本)
スワロウテイル(1996年9月14日公開、監督・脚本・編集)
¥entown Band Swallowtail Butterfly(1996年12月7日公開、監督)
四月物語(1998年3月14日公開、監督・脚本・編集・音楽)
リリイ・シュシュのすべて(2001年10月6日公開、監督・脚本・編集)
Jam Films「ARITA」(2002年12月28日公開、監督・脚本・編集・音楽)
花とアリス(2004年3月13日公開、監督・プロデュース・脚本・編集・音楽)
市川崑物語(2006年12月16日公開、監督・脚本・編集・音楽)
ニューヨーク、アイラブユー(原題:New York, I Love You)(2010年2月27日公開、監督・脚本・音楽)
ヴァンパイア (原題:Vampire)(2012年9月15日公開、監督・プロデュース・脚本・撮影・編集・音楽)
花とアリス殺人事件(2015年2月20日公開、監督・製作・企画・プロデュース・原作・脚本・編集・音楽)
リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年3月26日公開、監督・原作・脚本・編集)
リップヴァンウィンクルの花嫁 complete edition(2018年4月1日限定公開、監督・原作・脚本・編集)
チィファの手紙 (原題:?好,之?) (2018年11月9日中国公開、2020年9月11日日本公開、監督・原作・脚本・編集)【プロデュース:ピーター・チャン】
ラストレター(2020年1月17日公開、監督・製作・原作・脚本・編集)【プロデュース:川村元気】
8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版-(2020年7月31日公開、監督・製作・脚本・編集・造形・撮影監督・音楽プロデュース)【原案:樋口真嗣】
キリエのうた(2023年10月13日公開、監督・原作・脚本・編集)
映画(プロデュース等)
ACRI(1996年8月31日公開、原作)【監督:石井竜也】
式日(2000年12月7日公開、主演・撮影)【監督:庵野秀明】
虹の女神 Rainbow Song(2006年10月28日公開、プロデュース・脚本)【監督:熊澤尚人】
ハルフウェイ(2009年2月21日公開、プロデュース・製作・編集)【監督:北川悦吏子】