『山椒魚戦争』(さんしょううおせんそう、チェコ語: Valka s mloky )は、カレル・チャペックによる小説。ジャンルとしては終末テーマのSFである。しゃべる能力を持つオオサンショウウオが家畜となり、普及し、対立し、やがて人間を追いつめるまでを描いたものである。 この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)
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『山椒魚戦争』は、1935年9月23日から1936年1月12日まで新聞「リドヴェー・ノヴィニ」紙に連載された。書き上げられたのは1935年9月27日である。また、この作品について1936年3月29日に「本と山椒魚」の題で放送された講演の原稿があり、これは後にこの作品の前書きないし後書きとして単行本に採録されるのが通例となっている。
長編作品であり、章ごとに場所も登場人物も大きく変わる群像劇。多角的、博物学的に全体の事象を捉える視点があり、新聞記事の切り抜きを貼り合わせて構成された章まである。しかし例えばローレンス・スターンの『トリストラム・シャンディ』のように饒舌を重ねて物語がナンセンスに脱線していくメタ小説形式ではなく、飽くまでもそれら歴史学的視点や言語学視点、経済学視点、生物学的視点、社会学的視点など、様々な視点が寄り合わされるようにして一つの事象を見ていく物語形式になっている。
物語は、ごく小さくはじまり、非常に大きく発展する。すなわち、欧米人に知られていない離島に、現地の人間に恐れられている魔の入り江があり、そこに、二本足で立ち、人の言った言葉をオウムのように繰り返す知能の高い動物を発見する英国人のヴァン・トフ船長のエピソードからはじまる。船長は、それを見て一儲けしようとする。
作者チャペック自身の言葉によると、山椒魚を登場させた理由はヒト以外の動物が文明を築く可能性を取り上げる意図があったとしている。それが山椒魚であるのは、オオサンショウウオの化石がノアの洪水の犠牲者と見なされたという事例(ヨハン・ヤーコブ・ショイヒツァーを参照)があることから、ヒトと間違われたことがあるからには、代わりになる資格があるのだと述べている。 3部からなっている。第1部は山椒魚の登場を、第2部は発展を、第3部は人類との戦争を描いている。
内容
第1部 アンドリアス・ショイフツェリ本作の山椒魚のモデルとなった、ヨーロッパオオサンショウウオ Andrias scheuchzeri
1章 - 5章
個々には挿話的なエピソードによって、インドネシア近海でのオランダ船の船長であるヴァン・トフがインドネシアのある島の入り江に住む山椒魚に遭遇したこと、彼らが言葉を理解すること、道具を扱えること、そして教えると真珠を海底から探してくることを発見したことが示される。彼はこれを新たな形の真珠採取の事業とするために大企業家であるG.H.ボンディを訪ね、協力を取り付ける。
6章-11章
インドネシアの小島に出かけた若者たちが山椒魚に遭遇する。これは山椒魚の生息地の拡張にもかかわるが、この事件によって山椒魚の存在が知れることになった。学問研究も行われ、見せ物などにも登場し、山椒魚が会話できることが広く知られるようになる。しかし、むしろありふれた生き物として認知が定着したという風である。
12章
ヴァン・トフが死去。ボンディは、これを機に山椒魚による真珠採取から撤退し、山椒魚に関わるありとあらゆる産業をとりまとめる一大シンジケートの立ち上げを宣言し、彼らを海中での諸作業に使えること、それによって人類は海底の開発に着手することができると演説した。