山の音
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山の音
訳題The Sound of the Mountain
作者
川端康成
日本
言語日本語
ジャンル長編小説
発表形態雑誌掲載
初出情報
初出

「山の音」-『改造文藝』1949年9月号(第1巻第3号)
「日まはり」(のち「蝉の羽」)-『群像』1949年10月号・創作特輯号(第4巻第10号)
「雲の炎」-『新潮』1949年10月号・秋季小説特輯号(第46巻第10号)
「栗の実」-『世界春秋』1949年12月号(第1巻第2号)
「女の家」(のち「栗の実」続き)-『世界春秋』1950年1月号(第2巻第1号)
「島の夢」-『改造』1950年4月号(第31巻第4号)
「冬の桜」-『新潮』1950年5月号(第47巻第5号)
「朝の水」-『文學界1951年10月号(第5巻第10号)
「夜の声」-『群像1952年3月号(第7巻第3号)
「春の鐘」-『別册文藝春秋』1952年6月号(第28号)
「鳥の家」-『新潮』1952年10月号(第49巻第10号)
「傷の後」-『別冊文藝春秋』1952年12月号(第31号)
「都の苑」-『新潮』1953年1月号(第50巻第1号)
「雨の中」-『改造』1953年4月号(第34巻第4号)
「蚊の夢」(のち「蚊の群」)-『別冊文藝春秋』1953年4月号(第33号)
「蛇の卵」-『別冊文藝春秋』1953年10月号(第36号)
「鳩の音」(のち「秋の魚」)-『オール讀物1954年4月号(第9巻第4号)
刊本情報
刊行筑摩書房 1954年4月20日(限定版) 装幀・題簽:山本丘人
筑摩書房 1954年6月25日(普及版) 装幀:山本丘人
収録

千羽鶴筑摩書房 1952年2月10日(「冬の桜」まで)
装幀:小林古径。題字:川端康成
最終決定版
『川端康成全集第8巻 千羽鶴・山の音』新潮社 1969年8月25日
受賞
読売ベスト・スリー(1951年度)
芸術院賞(1951年度)
第7回野間文芸賞(1954年)
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『山の音』(やまのおと)は、川端康成長編小説。老いを自覚し、ふと耳にした「山の音」を死期の告知と怖れながら、息子のに淡い恋情を抱く主人公の様々な夢想や心境、死者の夢を基調に、復員兵の息子の堕落、出戻りの娘など、家族間の心理的葛藤を鎌倉の美しい自然や風物と共に描いた作品[1]。繊細冷静に捕えられた複雑な諸相の中、敗戦の傷跡が色濃く残る時代を背景に〈日本古来の悲しみ[2]〉〈あはれな日本の美しさ[2]〉が表現されている[1][3][4][5][6][7]

戦後日本文学の最高峰と評され[1]、第7回(1954年度)野間文芸賞を受賞[8][9]。川端の作家的評価を決定づけた作品として位置づけられている[6][10][3]

『山の音』は海外でも評価が高く、エドワード・サイデンステッカーの翻訳により1971年(昭和46年)に日本文学として初めて全米図書賞翻訳部門を受賞。2002年(平成14年)にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に、近代日本の作品として唯一選出された[11]
発表経過

『山の音』は、『雪国』や『千羽鶴』同様に、最初から起承転結を持つ長編としての構想がまとめられていたわけではなく、1949年(昭和24年)から1954年(昭和29年)にかけ、以下のように複数の雑誌に断続的に各章が連作として書き継がれた[8][12]。各章の題名は、自然の風物に託した川端の心象が込められているものが多い[13]

1949年(昭和24年)

「山の音」 - 『改造文藝』9月号(第1巻第3号)

「日まはり」(のち「蝉の羽」) - 『群像』10月号・創作特輯号(第4巻第10号)

「雲の炎」 - 『新潮』10月号・秋季小説特輯号(第46巻第10号)

「栗の実」 - 『世界春秋』12月号(第1巻第2号)


1950年(昭和25年)

「女の家」(のち「栗の実」続き) - 『世界春秋』1月号(第2巻第1号)

「島の夢」 - 『改造』4月号(第31巻第4号)

「冬の桜」 - 『新潮』5月号(第47巻第5号)

以上、「冬の桜」までの7回分をまとめたものは、1952年(昭和27年)2月10日刊行の『千羽鶴』に収録され[8][14]、1951年(昭和26年度)読売ベスト・スリーに選ばれ、1951年(昭和26年度)の芸術院賞を受賞した[15][8]

「冬の桜」の続きの第8回以降は、以下のように書き継がれた[8][12]

1951年(昭和26年)

「朝の水」 - 『文學界』10月号(第5巻第10号)


1952年(昭和27年)

「夜の声」 - 『群像』3月号(第7巻第3号)

「春の鐘」 - 『別册文藝春秋』6月号(第28号)

「鳥の家」 - 『新潮』10月号(第49巻第10号)

「傷の後」 - 『別冊文藝春秋』12月号(第31号)


1953年(昭和28年)

「都の苑」 - 『新潮』1月号(第50巻第1号)※ 刊行本では前回の「傷の後」より先の章になる。

「雨の中」 - 『改造』4月号(第34巻第4号)

「蚊の夢」(のち「蚊の群」) - 『別冊文藝春秋』4月号(第33号)

「蛇の卵」 - 『別冊文藝春秋』10月号(第36号)


1954年(昭和29年)

「鳩の音」(のち「秋の魚」) - 『オール讀物』4月号(第9巻第4号)

以上、第1章「山の音」から「秋の魚」までの全16章(全17回分)を収録した限定版『山の音』は、1954年(昭和29年)4月20日に筑摩書房より刊行され[8][16][9]、12月17日に第7回野間文芸賞を受賞した[8][9]。同年6月25日には同社より普及版『山の音』が刊行された[8][17]

その後、1969年(昭和44年)8月25日に新潮社より刊行の『川端康成全集第8巻 千羽鶴・山の音』(全19巻本)に収録される際に若干の訂正が加えられ、それが最終決定版となった[8][注釈 1]。文庫版は、岩波文庫旺文社文庫角川文庫などから刊行されたが、重版は新潮文庫により最も多く行われている。

翻訳版は、エドワード・サイデンステッカー訳の英語(英題:The Sound of the Mountain)のほか、スペイン語(西題:El rumor de la montana)、フランス語(仏語:Le Grondement de la montagne)、イタリア語(伊題:Il suono della montagna)など世界各国で出版されている[18]


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