層群
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アルゼンチン サルタ州 サンカルロスに見られる地層ポーランド南東部のカルパティア山脈に見られる地層平凡社の地学事典でいうところの地層。岩盤と言うほどの硬度を持たず、時折ボロボロと土砂が崩れ落ちる。(青森県東津軽郡今別町

本記事では地層(ちそう、英:単数形 stratum、複数形 strata)について解説する。
概説

大辞泉では、地層とは、ある厚さと広がりをもった層状の岩体、と説明している[1]。Oxford Dictionaryの説明では、地中にある 岩石の層、としている[2]

ブリタニカ百科事典では、地層とは「層状をなして累積する堆積岩の岩体」、としている[3]世界大百科事典の冒頭定義文では地層は「本来 層理面を示す地殻物質」とし「そのことから一般には層状に積み重なった堆積岩を指す場合が多い」と説明を補っている[4]

平凡社の地学事典では、地層は、粘土等の砕屑物や火山礫火山灰等の火山砕屑物、生物遺骸などが、の力により運搬され、堆積してできた堆積物ないし堆積岩の内、垂直方向に比して水平方向の広がりが十分に広い(層状に分布している)ものの総称、と解説されている[5]

地層の縦断面に現れる縞状の構造を「層理」と言う[3]
地層の形成と地層に見られる構造

地層は、その成因から水成層と風成層に区分される[6]以下に挙げるのは、水成層の形成過程である。

地球上には、水中や窪地などの環境がある。そのような範囲内に、他の場所から侵食されてきた岩石や土砂が、降り積もったり、水によって運搬されてきたり、貝殻などもある。堆積物が長い期間を経て次第に溜まっていく。これがひとつの層になり、その層が積み重なって大小なりの地層が形成される。

地層は一般的に、水中のほぼ水平な面の上に、一定の厚さで溜まっていく。比較的均質な構成物からなる1枚の地層を単層と呼び、単層と単層の間の境界面を層理面という。普通、地層は地面の中に隠れており見ることはできないが、火山性地震や断層がずれることなどによる隆起で地面の断面が見えるようなところでは、地層が観察できる。これを露頭という。典型的な露頭は、や、道路脇の地面が削り取られたところ、採石場、川岸の土手などで、粒径や構成物が異なった層からなる平行な帯のひとつとして観察することができる。グランド・キャニオンのような大渓谷では、数億年に渡る期間の地層が観察できることもある。それぞれの単層の厚さは、1 mmにも満たない単層から、1 kmを越える単層まで様々である。

それぞれの地層から、その層が堆積した環境を推定できる。水成堆積物では河口に近い位置で堆積したものほど粒度が荒い、離れるに従い細かくなり、シルト粘土となる。地層を構成する物質が当時の有機物もしくは生物である場合もあり、泥炭地で植物が堆積した石炭や深海で微生物が堆積したチャートなどがある。現在見つかっている最古の地層は、グリーンランドにある約40億年前の地層で、海底で作られた地層と考えられている。

地層は、堆積する速度に変化はあるものの、おおむね連続して堆積している。これを整合と呼ぶ。これに対し、地層と地層の境界に非常に長い不連続があり、侵食により一部の地層が欠落しているものを不整合という。堆積が止まっている間に、地層が侵食されたり、傾いたり、褶曲したりといった変動があることも多い。そのようなところに、再び水平に地層が堆積したりする。下の地層と上の地層が平行なものを平行不整合と呼び、上の地層と下の地層が傾いていたり、下の地層が褶曲したりしているものを傾斜不整合と呼ぶ。また、下の地層が火成岩からなる場合は、非整合と呼ぶこともある。地層の欠落を伴わず、不連続の時間が非常に短い場合、時間間隙と呼んで不整合と区別することもある。不整合は、陸上でも海底でもつくられるが、いずれの場合も、岩石や土砂が堆積するような環境だった地域が、浸食される環境へ変化し、再び堆積する環境に戻ったことを示している。不整合面のすぐ上には、比較的大きな粒の礫が堆積していることが多く、基底礫岩と呼ばれる。これは、侵食された下部の地層の岩石から供給された礫である場合がある。

地層に見られる特徴的な堆積構造として、以下のものがある。
斜交層理(斜交葉理、クロスラミナ、cross-bedding)[7]
水流や風の速さ、向きが変化する環境で堆積が起こったときにできる、層理面と斜交した細かな縞模様である。当時の水流などの方向が推定できる。
級化成層(級化層理、級化構造、graded bedding)[8]
構成粒子が、下部が粗粒で、上部に向かうにつれて連続的に細粒へと変化している単層のことである。時間とともに粒子を運搬する水流が弱まった場合や、乱泥流によって運ばれた粒子が堆積した場合に生じる。粗粒のほうが堆積した時点での下部だと分かるため、もともとの地層の上下方向を決めるのに役立つ。
漣痕(砂紋、リップルマーク、ripple mark)[9]
水底にが形成した模様が残ったものである。堆積した当時の上方に尖った形で残るため、上下判定に役立つ。
スランプ構造(スランピング、slumping structure)[10]
神奈川県三浦市の「海外町のスランプ構造」海底などに堆積した堆積物が、固化していないうちに海底などの斜面を滑り落ち、不規則に乱堆積してできたものをいう。
火炎構造(フレーム構造、flame structure)[11]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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