屋根
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

映画については「屋根 (映画)」をご覧ください。
ドイツマイセンの屋根。古代ローマの遺跡、フォロ・ロマーノの建築群の再現3Dとその屋根アルベロベッロの「とんがり屋根」の群れ。石を積んである。固定されていない。白川郷合掌造茅葺屋根サン・マルコ寺院のドーム屋根鉄筋コンクリート・ビルの屋根

屋根(やね、: roof)は、建物の上方を覆い、居住空間を外界から区画する構造物[1]
概説

屋根は上方にあり、を防いでいるが、それだけでなく壁や床などとともに建築空間を囲う役割も果たしており、視線などをさえぎる役割も果たしている[1]。また建築意匠(建築物の視覚的デザイン)にかかわる重要な要素でもある[1]。→#屋根の機能

屋根は様々な建築物に設けられる。公共の建築物、企業の社屋や工場倉庫教会堂・仏教寺院などの宗教建築物(en:Sacral architecture)、住宅などだけでなく、納屋山小屋などまで、建築物のタイプにかかわらず設けられる。

住宅などの建物の場合、屋根は床や外壁などとともに居住空間を包む外周部(外皮)の一部である[2]

屋根の形状は、陸屋根(ろくやね)と勾配屋根(こうばいやね)とに大別される。

日干しレンガや泥壁で建物を作る場合、陸屋根の部分は基本的には太い腕木で支える。現代の鉄筋コンクリート造ラーメン構造では柱と梁で屋根スラブを支えて陸屋根を構築する。

勾配屋根は、西洋では建築物は壁を主たる構造体として、石やレンガで外壁を下から積み上げる組積造が建物の基本構造となっているが、外壁が煉瓦造や石造である場合でも、屋根の小屋組部分は木造で組まれることが一般的である。一方で、ゴシック建築の壮大な教会堂の内部空間、あるいは宮殿の大広間など、「柱の無い空間」を実現するために、アーチ構造を組み合わせたドームヴォールトが利用された。西洋の上級建築においては重厚感あふれる石造が好まれたが、組積造のみで屋根を構築する場合はアーチの利用は不可欠である。一方、日本の建造物は「柱と横架材」で構造を作る木造軸組構法であり、軸組構造の上に小屋組を構成する形で屋根が作られる。

日干しレンガの家の陸屋根。屋根は腕木で支える(パキスタン

藁で葺いた簡素な陸屋根

鉄筋コンクリート建築の陸屋根。屋根スラブ。

組積造煉瓦造の家屋の屋根部分の建築段階。壁をレンガで積み上げた上に、その上に載せるように、木製の小屋組みを作る。(チェコの建築現場にて)

屋根の機能

住宅の屋根には次のような機能があり、屋根材には様々な性能が求められる[2]

耐候性 - 太陽光、風雨、気温変化による腐食や変質が少ないこと[2]

耐風性 - 地域、場所、高さに応じた強に耐えること[2]

耐食性(耐薬品性) - 潮風や汚染大気酸性雨などによる腐食がないこと[2]

遮音性 - 外部の騒音を伝えず屋根材自体もを発生させないこと[2]

耐熱性(断熱性) - 夏季でも日射によるに耐えること[2]

耐寒性(耐凍害性) - 季でも寒気、放射冷却、すがもれ(屋根で再凍結した雪などで排水が妨げられ屋根材の隙間から水が漏れる現象)に耐えること[2]

防火性 - 火災発生時の飛び火によって容易に引火せず、輻射熱による自燃(自然発火)が起きないこと[2]

耐衝撃性 - 飛来物による衝撃や屋根上での人間の作業で損傷しないこと[2]

施工補修性 - 施工や修理が容易であること[2]

経済性 - 材料費のほか施工やメンテナンス費用が低廉であること[2]

意匠性  - 外観が良く(形状が美しく)、色調や質感も良いこと[2]

耐震性 - 地震の多い地域(日本を含む)では、容易に脱落せず下地に固定されていることが求められる[2]。一般に軽い屋根材の方が地震に強いとされる[2]。日本では重要だが地震が少ないヨーロッパではあまり重要視されない。

屋根の種類、分類

主に形状による分類と、屋根材による分類がある。
形状による分類詳細は「屋根の形状一覧(英語版)」を参照

『日本大百科全書』の【屋根】の記事の中で形状による種類の説明では、まず「陸屋根(ろくやね)と勾配屋根(こうばいやね)とに大別される」と説明している[1]。そして陸屋根について「日本では俗に屋上とよばれる」と説明を加えている[1]

一方、イギリスの屋根の建築業者の組織、JTCのサイトは、形状による28種類の分類を挙げている[3]



Bonnet Roof

Box Gable Roof

Butteryfly Roof

Clerestory Roof

Combination Roof

Cross Gabled Roof

Cross Hipped Roof

Curved Roof

Dome Roof

Dormer



Dutch Gable Roof

Flat Roof

Front Gable

Gable Roof with Shed Roof Addition

Gambrel Roof

Half Hipped Roof

Hexagonal Gazebo Roof

Hip and Vallery Roof

Jerkinhead Roof

Mansard Roof



M-Shaped Roof

Open Gable Roof

Parapet Roof

Pyramid Hip roof

Saltbox Roof

Shed Roof or Skillion

Simple Hip Roof

Skillion and Lean to Roof


日本語では次のような名称で分類される

陸(ろく)屋根

ドーム(丸屋根)

尖塔

ヴォールト

オージー

片流れ -片流れは屋根の一方へのみ傾斜している屋根で、特に傾斜が20度以内のものを大陸屋根という[4]

切妻屋根 - 屋根の最頂部の棟から本を伏せたような二つの傾斜面の山形の形状をした屋根[5]。原始的な住宅では片流れの構造を両側に組み合わせて地上に三角形の空間を作っていた(天地根元造)[4]。これに四本柱を付けて屋根を地上から高くしたものを切妻という[4]

宝形屋根 - 寺院などに多い形式で隅棟からの線がすべて屋根の頂点に集まる形式の屋根[5]。「宝形造」を参照

寄棟 - 屋根の最上部(大棟)から四方向に傾斜する形式の屋根[5]。「寄棟造」を参照

入母屋 - 上部を切妻屋根で下部は四方に傾斜する形式の屋根[5]。「入母屋造」を参照


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:55 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef