このミュージカル作品の映画版については「屋根の上のバイオリン弾き (映画)」をご覧ください。
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Fiddler on the Roof, Original Broadway Cast
『屋根の上のバイオリン弾き』(やねのうえのバイオリンひき、英語原題:Fiddler on the Roof)は、1964年のアメリカのミュージカル。ショーレム・アレイヘムの短篇小説『牛乳屋テヴィエ』を原作としている。テヴィエ(Tevye)とその家族をはじめとして、帝政ロシア領となったシュテットルに暮らすユダヤ教徒の生活を描いたものである。この作品には19世紀末のシュテットルの様子が良く描かれているという。 テヴィエはウクライナ地方の小さな架空の村『アナテフカ』(Anatevka)で牛乳屋を営むユダヤ人一家である。亭主関白を気取ってはいるがその実、妻のゴールデに頭が上がらない。5人の娘に囲まれ、ユダヤ教の戒律を厳格に守ってつましくも幸せな毎日を送っていた。 テヴィエは娘たちの幸せを願い、それぞれに裕福な結婚相手を見つけようと骨を折っている。不仲だった肉屋のラザールから長女のツァイテルを後妻に迎えたいと申し込まれたが、そのツァイテルには幼馴染のモーテルという恋人がいた。ツァイテルと貧しいモーテルとの結婚にテヴィエは当初猛反対するものの、結局は意志を尊重して結婚を認める。次女ホーデルは革命を夢見る政治活動家の学生パーチックと恋仲になり、逮捕されたパーチックを追ってシベリアへ発ち、さらに三女は、ロシア青年とロシア正教会で結婚して駆け落ちしてしまう。 劇中で描かれる「ポグロム」と呼ばれるユダヤ人迫害は次第に激しくなり、終盤で村全体の追放に至り、テヴィエたちは着の身着のままで住み慣れた村から出ていく。原作ではイスラエルの地へ帰還するが、ミュージカルではニューヨークに向かうところで話が終わる。 1924年、アメリカには移民法が成立するなどし、移民の流入が阻まれた。そのために、ニューヨークにおけるユダヤ教徒の表現活動は、次第に東欧出身の1世から2世へと重心を移すようになっていったといわれる。そして2世以降の若者は、ショレム・アレイヘムなどの文学作品をイディッシュ語で楽しむ能力も余裕も失っていった。 1960年代に『屋根の上のバイオリン弾き』がブロードウェイ・ミュージカルとして大成功をおさめたのは、英語しか理解しない世代の台頭と、それらの世代の父・祖父の世代の世界へのノスタルジックな回帰、という時代風潮があったといわれる。ユダヤ系移民に限らず、1世と2世などの「世代間の断絶」がアメリカの家庭にとって極めて切実な問題となっていた時代に、この作品はユダヤ系アメリカ人にとどまらず、一般に好評を博した。 劇中歌としては「サンライズ・サンセット 1971年、ノーマン・ジュイソン監督、ジョン・ウィリアムズ編曲、トポル主演で映画化された。アカデミー賞で3部門を受賞している。 日本では1967年9月6日、東京・帝国劇場にて初演された。テヴィエ役は1986年まで900回にわたり森繁久彌がつとめた。その後、テヴィエ役は上條恒彦、西田敏行、市村正親に移り、2013年には日生劇場で上演されている。 日本版(東宝制作)の題名表記は『屋根の上のヴァイオリン弾き』である。
オリジナル・ブロードウェイ・プロダクションにて初演。1972年7月2日まで7年9カ月、3242回のロングラン公演となった。
脚本: ジョゼフ・スタイン (Joseph Stein)
作詞: シェルダン・ハーニック (Sheldon Harnick)
作曲: ジェリー・ボック (Jerry Bock)
製作: ハロルド・プリンス (Harold Prince)
演出・振付: ジェローム・ロビンス (Jerome Robbins)
あらすじ
登場人物アーロン・ゼベデ
テヴィエ
アナテフカの村で牛乳屋を営む7人家族の父親。ユダヤのしきたりを重んじて生活しているが、変わりゆく家族や周囲に戸惑いながらも適応してゆく。
ゴールデ
テヴィエの妻。気性のはっきりしたタイプで、5人の娘を育て上げる肝っ玉母さん。
ツァイテル
テヴィエの長女。ラザールに好かれているが、モーテルと恋仲である。
ホーデル
テヴィエの次女。教養のあるラビの息子に片思いしていたが、パーチックにしだいを思いを寄せていく。パーチックとの愛ゆえの結婚は、両親が互いの愛に気づくきっかけにもなった。
チャバ
テヴィエの三女。本の虫で好奇心旺盛。
モーテル
アナテフカの仕立て屋。ツァイテルの幼馴染みで恋仲だが、気が弱く臆病であった。
パーチック
アナテフカに流れてきた学生。聖書を現代風に解釈し、ユダヤ人のしきたりにもロシア人のユダヤ人弾圧にも疑問を抱く。革命をおこすべきだと唱える社会主義者。ホーデルと後に恋仲になる。
ラザール・ウォルフ
アナテフカの肉屋。数年前に妻を亡くしてやもめ暮らし。テヴィエとは不仲だったが、ツァイテルに思いを寄せる。
イェンテ
アナテフカの仲人の老婆。
ラビ
アナテフカで最も尊敬されているラビ。高齢。
ナフム
アナテフカの乞食
巡査部長
アナテフカの村全体を警備する。ユダヤ人でなくロシア人だが、テヴィエとは幼馴染みで仲がいい。
時代的背景
ミュージカル・ナンバー
映画「屋根の上のバイオリン弾き (映画)」を参照
舞台上演(日本版)
森繁版(1967 - 1986年)森繁久彌演ずるテヴィエのブロンズ像(小田急小田原線千歳船橋駅前)
テヴィエ - 森繁久彌、 上條恒彦(1986年帝国劇場で7回出演)
ゴールデ(テヴィエの妻) - 越路吹雪、 上月晃、 淀かほる
ツァイテル(長女) - 淀かほる、 今陽子、 江崎英子、 大空真弓、 音無美紀子
ホーデル(次女) - 浜木綿子、 倍賞千恵子、 安奈淳、 岡崎友紀、 大竹しのぶ、 いしだあゆみ、 森山良子、 岩崎宏美
チャヴァ(三女) - 西尾美恵子
シュプリンシェ(四女) - いしだあゆみ、永野裕紀子、 小川敦子、永井啓子、前村麻由美、山添三千代、山下千景、吉田有美、 荒井玉青、吉田有美、鈴木昌子、和泉ちぬ
ビルケ(五女) - 岡崎友紀、前村麻由美、松田朋美、村松恵、野上麻里奈、平塚麻紀、金谷三奈子、鮫島久美、平塚磨紀、川島光代、赤井祐子、林純子、川島光代、赤井祐子、吉田きよみ、篠崎祐子、篠崎麻由美、網田麻澄、小倉佳代子
イエンテ(仲人婆さん) - 賀原夏子
モーテル(仕立屋) - 市川染五郎、 津坂匡章、 富松千代志、 本田博太郎、 西郷輝彦
パーチック - 中丸忠雄、 村井国夫、 井上孝雄