居飛車穴熊
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香桂 金   桂香一
 王銀  飛   二
 歩歩金歩銀角歩 三
歩  歩  歩 歩四
     歩 歩 五
  歩 歩    六
歩歩角歩銀歩歩 歩七
香銀金    飛 八
玉桂金    桂香九
居飛車穴熊

居飛車穴熊(いびしゃあなぐま、: Static Rook Anaguma[1])は、将棋戦法の一つ。主に対振り飛車戦において、居飛車側が穴熊を目指す作戦の総称である。
概要

居飛車対振り飛車の将棋に於いて、古くからある持久戦策としては玉頭位取り左美濃などが指されていた。居飛車穴熊はこれらに比べバランスが悪く指しづらいとされていたが、田中寅彦が体系化を進め高勝率をあげたことで昭和50年代頃から流行した[2]。当時異端とされていた居飛車穴熊に日の目を当て、序盤戦術を向上させた功績は大きい。田中が自身の公式戦で初めて居飛車穴熊を指したのは四段デビュー2戦目、1976年10月8日の名将戦、対佐藤大五郎戦である。この一戦こそは敗れたが、その後田中は10連勝を記録し、76年度の連勝賞と新人賞を受賞した。自身のデビュー年度に将棋大賞を受賞した棋士は田中が史上初で、そのあとも2006年度の糸谷哲郎 (糸谷も連勝賞と新人賞)しかいない(藤井聡太はデビューが2016年度の秋で、連勝賞と新人賞の受賞は2017年度が対象となっている)。田中の棋戦初優勝は5年度の新人王戦で、決勝三番勝負でも居飛車穴熊を駆使し、伊藤果を2勝0敗、千日手局 を含むと、3度の採用)で下した。居飛車穴熊を現代戦法として体系づけ、流行に導いたのは田中の功績とされるが、田中以前に居飛車穴熊が指された有名な将棋を挙げると、第7期名人戦 第2局の升田幸三対大山康晴で、先手の升田が居飛車穴熊を採用したのが知られる。結果は終盤に一失があり、升田の敗戦となったが途中は互角以上に居飛車穴熊が戦っていた。当時の朝日新聞紙面に掲載された栄記者の観戦記[注 1]には『九段は8八玉と寄ったあと、無造作に、ノータイムで9八香と上がった。そして、立会の大野八段や私たちがすわっている記録席の方に顔を向けて「フフフ......」 と笑った』とある。

初期の居飛車穴熊では振り飛車側が居飛車に4枚穴熊を許しているケースが多かったが[3]、居飛車側が圧倒的な勝率をあげていたため向かい飛車立石流四間飛車のような振り飛車から動く順が模索された。しかしいずれも対策がたてられ居飛車穴熊の隆盛を止めるには至らなかった[4]。振り飛車側からの策としては藤井システムが一時期猛威を振るったが、これも居飛車側の対策が編み出され、確実な戦法とはなっていない。2013年現在では角道を止める振り飛車はこの居飛車穴熊により第一線から退けられている状態である。とはいえ、一目散に穴熊に組むと前述のような積極策に対し形勢を損ねてしまうのは事実であり、振り飛車の出だしによっては穴熊ではなく左美濃にしたり、舟囲いからの急戦が有力である[5]
対角道を止める振り飛車△持ち駒 なし

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香  金   桂香一
 王銀    飛 二
 歩桂金歩銀角歩歩三
歩 歩歩 歩歩  四
  歩    歩 五
   銀歩    六
歩歩 歩 歩歩 歩七
香銀 角   飛 八
玉桂金金   桂香九
▲持ち駒 なし
第1-1図 ▲7五歩まで△持ち駒 なし

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香桂 金   桂香一
 王銀  飛   二
 歩 金 銀角歩歩三
  歩歩歩歩歩  四
歩      歩 五
  歩銀歩 歩  六
歩歩 歩 歩  歩七
香銀金角   飛 八
玉桂金    桂香九
▲持ち駒 なし
第1-2図 ▲6八角まで△持ち駒 なし

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香桂 金   桂香一
 王銀    飛 二
   金 銀角歩歩三
 歩歩歩  歩歩 四
歩   歩歩   五
  歩 歩 歩  六
歩歩銀歩 歩  歩七
香銀金角   飛 八
玉桂金    桂香九
▲持ち駒 歩
第1-3図 ▲2四歩まで

角道を止めている振り飛車に対して、大抵の場合居飛車陣は飛車先を伸ばしており、穴熊とのバランスは悪い。居飛車穴熊側▲6六銀型(4六銀型)の狙いの一つとして7筋(3筋)の攻略があり、高美濃で不用意に△7三桂(▲3七桂)を跳ねると桂頭を狙って指しやすくなる。居飛車穴熊側が先手として、第1-1図から▲7五歩に△同歩は▲同銀、△6五歩の反発は▲7七銀△7五歩▲8六銀△7四金▲5七角と玉頭戦に持ち込む手段が生じる。さらに穴熊側が▲7九金-▲6九金型の場合は▲7八飛も生じて攻撃力が増すことになる。もう一つの攻撃手段は引き角で、場合によっては振り飛車側に△2二飛(▲8八飛)を強要させることになる。第1-2図で△4五歩は▲2四歩からの仕掛けが生じる。

その後の展開で振り飛車側が不用意に角を動かすと▲2四歩△同歩▲同飛(もしくは1歩あれば▲2三歩)からの飛車交換に迫ることができ、有利に展開できる。第1-3図はその一例で後手振り飛車側からの△5五歩に▲2四歩、以下△2四同歩なら▲5五歩とし、角が飛び出すと▲2四飛(又は▲2三歩から▲2四飛)が生じる。
対四間飛車

1990年代以降振り飛車の手順も洗練され、前述のような振り飛車側の積極策に無理せず対応できるよう理想的な4枚穴熊は放棄する[6]。例えば第2-1図のように振り飛車側が速めに△5四銀と来るのに対して▲6六銀と上がると△4五歩で▲6八角では△6五銀が生じる。▲6六歩としても△6四歩?△4五歩?△6五歩があり、先手が対策として▲5八金?▲6七金と繰り出す必要が生じることで、上記の居飛車穴熊側の狙い(6六銀からの7筋攻撃と引き角戦)を緩和していくことが可能になっている。△持ち駒 なし

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香桂 金 金 桂香一
  銀王 飛   二
 歩歩歩歩 角歩歩三
    銀歩歩  四
歩      歩 五
  歩 歩    六
歩歩角歩銀歩歩 歩七
香玉     飛 八
 桂銀金 金 桂香九
▲持ち駒 なし
第2-1図 △5四銀まで△持ち駒 なし

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香桂 金   桂香一
 王銀  飛   二
 歩 金歩 角歩歩三
  歩歩銀 歩  四
歩    歩 歩 五
  歩歩歩 歩  六
歩歩 金銀歩  歩七
香銀     飛 八
玉桂金 角  桂香九
▲持ち駒 なし
第2-2図 ▲5九角まで△持ち駒 なし

987654321 
香  金   桂香一
 王銀  飛   二
歩歩桂金  角歩歩三
  歩歩歩銀歩  四
     歩 歩 五
  歩歩歩 歩  六
歩歩角金 歩  歩七
香銀金銀   飛 八
玉桂     桂香九
▲持ち駒 なし
第2-3図 ▲6八銀まで

『イメージと読みの将棋観』(鈴木宏彦、2008、日本将棋連盟)では、第2-1図から▲6六歩△6四歩▲9九玉とした類似の局面から△6五歩の仕掛けの是非について棋士6名が検討しているが、谷川浩司はその局面は居飛車が危険で▲8八銀は△6六歩▲同銀△4五歩で穴熊側好ましくなく、▲9九玉の前に▲5八金右を先にすべきとし、渡辺明藤井猛も▲5八金右を先にしておくべきとしており、渡辺と藤井は検討してみると、△6五歩に▲6八飛は△2四歩であるが、△6五歩に▲5八金右△4五歩▲6五歩△同銀▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲同飛△4六歩▲同銀△7六銀▲8八銀で、案外後手の攻めがうるさいとしている。他の3名は、▲8八銀△4五歩△6六歩▲同銀△4五歩▲5五歩△6三銀引▲2六飛か▲8八銀△4五歩▲6五歩△同銀▲3三角成△同桂▲2四歩△同歩▲5八金右や、▲6八飛△6六歩▲同銀△4五歩▲5五歩△6三銀引▲5七銀△6四歩などを検討し、少し無理っぽい感じがあるとしている。

振り飛車が待機策に出た場合、角を▲5九角?▲3七角(狙いは▲5五歩△同銀▲2四歩など)[7]や▲2六角[8]と転換して使用して(第2-2図)、居飛車には▲6八銀?▲7六銀もしくは▲7八飛から7筋の歩を手持ちにしたり[9]などの打開策がある。

居飛車としては振り飛車の飛車先が通っていなければ松尾流穴熊への組み替え(組みきれば勝率8割)を見せる駒組みをすることで、振り飛車側への牽制を行う[10]。第2-3図のような後手櫛田流で松尾流への組み換えもあるが『イメージと読みの将棋観』によると2003年に現れてから2008年までの18局について9勝9敗の五分の成績で、うち8局が△5五歩、7局が△5三銀である。同書では△5五歩▲同歩△4六歩なら▲同歩△5五銀▲2四歩△同歩▲3五歩△4六飛▲3四歩△4四角▲2四飛△2二歩▲2五飛にじっと△4五歩や、△5五歩▲同歩△同銀なら▲2四歩△同歩▲3五歩△6五歩など、△5三銀には▲2四歩△同歩▲6五歩△7七角成▲同銀右△6五桂▲2四飛△7七桂成▲同金寄△2二歩など、いずれもいい勝負とみられているが、局面としては玉が固い穴熊側が勝ちやすそうであるとみている。

実際には振り飛車側が後手番として△4四銀?△5五歩などの動きを見せれば穴熊側も▲同歩△同銀から▲2四歩△同歩▲3五歩△同歩▲3四歩と5筋で得た歩を用いて角を追い飛車を捌くなどの手段がある。このとき四間飛車は角を4二に引けない為(飛車がいる)、角頭から角を追う筋が居飛車の狙い筋となる。


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