居合術
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この項目では、古武道の抜刀術・居合について説明しています。現代武道の居合については「居合道」を、抜刀道については「抜刀道」をご覧ください。

居合術いあいじゅつ
1690年刊 人倫訓蒙図彙7巻「いあいとりて」
別名抜刀術、抜合、居相、鞘ノ内、抜剣など
使用武器日本刀
発生国 日本
発生年中世?
創始者林崎甚助、他
源流剣術柔術
流派多数
派生種目居合道抜刀道
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無雙神傳英信流居合(細川義昌演武)影山流抜剣関口流抜刀術天真正伝香取神道流居合景流居合

居合術(いあいじゅつ)、もしくは居合(いあい)、抜刀術(ばっとうじゅつ)とは、日本刀に収めて帯刀した状態より、鞘から刀を抜き放つ動作で相手に一撃を与え、続く太刀捌きでさらに攻撃を加えたのち、血振るい残心、納刀するに至る技術を中心に構成された日本武術である。

刀剣を鞘から抜き放ち、さらに納刀に至るまでをも含めた動作が、高度な技術を有する武芸として成立している例は、世界でも類を見ない。このように日本固有の形態を有し、かつ日本のを象徴する日本刀を扱うことから、居合は「日本の武道・武術の中でも最も日本的なもの」と表現されることもある[1]
名称

近世以降、この武術を示す術語は、多数存在し、使用されてきた[2]

「居合」「居相」「坐合」 などのように「すわる」という意味の文字と「あわせる」という意味の文字からなるもの

「抜刀」「抜合」「抜剣」「鞘離」などのように刀を 「抜く」という技法を直接的に示す意味合いの強いもの

「囲合」[注 1]「鞘ノ内(中)」などのように思想的意味合いの強いもの

など様々であるが、中でも「居合」という文字を使用するのが最も一般的である[2]。他の術語を使用しても、「いあい」と読み仮名が振られている場合もある[2][3]

なお、「居合抜き」という名称があるが、これは長い刀を鞘から抜いてみせたり、刀を素早く抜いて野菜果物などを切断し素早く納刀してみせるような、居合術を見世物化させた、香具師などによる大道芸を指すことが多い(ガマの油売りが有名)[注 2][6]。「居合切り」という名称もまた同様にして、基本的には何かモノを抜き打ちに切断する大道芸の意で使われる。
特徴.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}ゐあひ太刀討の根元なり。兵法といふハ敵に向て太刀をあはするハ腰より抜き出ての上也。抜ずして兵法あるべからず。然ば抜を第一とす—『人倫訓蒙図彙』[7]元来居合者、不レ抜以前を居合と謂、抜ては兵法也—『光玉集居合巻』 [8]剣の鞘にあるを抜きはなす所居合なり—山之井流『居合業』[9]

とあるように、から抜いて構えた状態で開始するのが剣術、鞘に収まった状態から開始するのが抜刀術すなわち居合と認識されており、刀を抜くという技術に重要な意味を持っていることは、居合における第一の特徴として挙げられる[10]。剣を遣うことはそもそも刀を抜くことに始まる。まずこの自明の理に立って、その技術の重要性は多く説明される[11]

また、刀を鞘より抜くと打つとの間髪を入れざる事を仕出し、是を居合と号して(後略)—『和田流居合正誤』[12]剣鯉口を離るゝとひとしく、敵二ツにならざれば居合にあらず—『武備和訓』[13]

とあるように、通常では「刀を抜く」「斬る」という2段階に動作が分けられるところを、居合では主に1つの動作に集約させているところに、大きな特徴がある(「抜き打ち」の語源)[14]

さらに、「居合」という語には2つの意味合いがあり、その観点からも居合の特徴は説明される。一つは、「立合(たちあい)」(「起合(たちあい[13])」)に対する術語としての居合である[10]。立合とは、技を仕懸け合う以前の両者相対する状態を指すものであり、立って向かい合うことを意味している[10]。これに対し居合は 「居」すなわち座位にあって敵に対することであると考えられ、坐合の諸流、坐して長刀を抜を以居合とせり—『武備和訓』[13]居ながらにして長剣を抜合するを居合と云—『尾府御家中武芸はしり廻』[15]

とあるように、主に屋内で座位より技を行うところに居合の特徴がある[10]

もう一つは、偶然その場に居ることを意味する「居ながらにして合わす(居合わす)」にある。すなわち、夫居合ハ治世不時の変に應じて其機を失ワズ、寔に治乱兼備の妙術なり—『居合相傳許之巻』[16]居合は敵を鞘の中より引受て、早く抜き合せ勝処の術なれば、平日の嗜み武士として此術を知らずしては叶難しといへり—『尾府御家中武芸はしり廻』[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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