尽数関係
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太陽系外縁天体
エッジワース
・カイパー
ベルト

(海王星との
軌道共鳴)(3:4)
冥王星族 (2:3)
(3:5)
キュビワノ族 ( - )
(1:2)
散乱円盤天体
オールトの雲
類似天体ケンタウルス族
海王星トロヤ群
彗星遷移天体
関連項目準惑星冥王星型天体
太陽系小天体
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軌道共鳴(きどうきょうめい、orbital resonance[1])とは、天体力学において、ある天体の周りを公転する2つの天体が互いに重力を及ぼし合う結果、両者の軌道が変化すること[1]。公転周期と同程度の短い時間スケールで影響する平均運動共鳴[2]と、104 - 106 年の長い時間スケールで影響する永年共鳴[3]がある。
歴史

17世紀ニュートンの運動の法則が発見されて以来、惑星軌道の安定性の問題はピエール=シモン・ラプラスを始めとして多くの数学者を虜にしてきた。太陽系の惑星の軌道は太陽とその周囲を公転する1惑星という2体問題近似の下では安定な軌道をとるが、この近似では他の天体の影響は無視している。これに他の惑星との相互作用を加えると、たとえそれが非常に微小な摂動であっても、長い時間にわたって影響を与え続け、最終的には惑星の軌道要素を変化させて太陽系の惑星は全く異なる配置になるはずである。しかし実際にはそのようなことは起きていない[注 1]ことから、惑星の軌道を安定化させる何か別のメカニズムが存在すると考えられた。この問題の解答を最初に発見したのはラプラスで、彼はガリレオ衛星の運動に見られる変わった振動の原因をこの共鳴理論で説明した。なおその後、擾乱の存在にもかかわらず天体が長期的に安定した軌道を維持できることはKAM定理(英語版)により説明づけられた。ラプラス以降、軌道共鳴の研究は今日に至るまで活発に行なわれており、現在でも未解明の問題が数多く残されている。例として、巨大惑星のの粒子と衛星とが相互作用して環の形状を維持する機構などはいまだに解明されていない。

太陽系の惑星や衛星に尽数関係が頻繁に見られること は古くから認識されており、1954年のRoyとOvendenの研究は、太陽系における尽数関係の現出頻度が単なる偶然では説明できないほどに高いことを統計的に実証し、太陽系の形成過程で尽数関係を生み出す何らかの物理機構が存在していたであろうということを示唆した[4]
共鳴の種類

軌道共鳴は一般に以下のような性質を持つ。

一つもしくは複数の様々な
軌道要素パラメータの間に生じる(例: 離心率軌道長半径の共鳴、離心率軌道傾斜角の共鳴など)。

長期的に見て、軌道を安定化させる方向に働くこともあれば、軌道を不安定化させる方向に働くこともある。

平均運動共鳴

平均運動共鳴[2](へいきんうんどうきょうめい、mean motion resonance[2])とは、中心天体の周りを公転する2つの天体の公転周期の比が1:2や2:3など簡単な整数比(尽数関係、commensurability)となっている状態のこと。ここでいう「平均運動」(mean motion) とは、中心天体の重力を受けて楕円軌道を描く天体の、一周期で平均した公転角速度のことである[2]

平均運動共鳴の結果、軌道が安定化することも不安定化することもある。共鳴の結果、2つの天体が近接遭遇を起こさないような配置となった場合は軌道が安定化する[2]。例として以下のようなケースがある。

冥王星冥王星族天体はより質量の大きな海王星の軌道と交差しているにもかかわらず、安定な軌道を持っている。これはこれらの天体と海王星の公転周期が 3:2 の共鳴状態にあり、海王星から常に離れた位置にあるためである。海王星と交差するが海王星との共鳴軌道を持たない数多くの他の天体は、トリトンのように海王星の衛星となってしまうか、海王星から強い擾乱を受けてこの領域から弾き出されてしまう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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