尖閣諸島中国漁船衝突事件
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尖閣諸島中国漁船衝突事件
場所
尖閣諸島
標的海上保安庁所属船3隻
日付2010年9月7日
約3時間40分
午前11時15分ごろ –
概要中華人民共和国船籍の漁船と日本国船籍の巡視船の衝突
原因日中間の尖閣諸島問題
死亡者なし
損害「みずき」船尾破損・「よなくに」側部損傷
容疑公務執行妨害逮捕容疑)・外国人漁業の規制に関する法律違反
対処

処分保留→不起訴強制起訴公判は開かれず)
謝罪なし
賠償なし
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尖閣諸島中国漁船衝突事件
各種表記
繁体字:中國漁船與日本巡邏船釣魚臺相撞事件
簡体字:中国?船与日本巡?船???相撞事件
英文:2010 Senkaku boat collision incident
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尖閣諸島日中中間線

尖閣諸島中国漁船衝突事件(せんかくしょとうちゅうごくぎょせんしょうとつじけん)は、2010年9月7日午前、尖閣諸島付近で操業中であった中国漁船と、これを違法操業として取り締まりを実施した日本海上保安庁との間で発生した一連の事件。尖閣漁船事件、中国漁船衝突事件とも呼ばれる。目次

1 事件の概要

2 事件の経過

2.1 年表

2.2 事件発生から逮捕・送検まで

2.3 送検から2度目の勾留延長決定まで

2.4 中国政府の報復措置

2.5 船長の釈放


3 抗議デモ

4 漁船衝突映像の限定公開と流出

4.1 限定公開

4.2 YouTubeへの流出


5 その他船長釈放後の日中両国の動き

5.1 日本政府

5.2 地方自治体

5.3 日本の民間

5.4 中国政府


6 日中両国の報道の相違

7 他国の動き

7.1 アメリカ合衆国

7.2 台湾


8 事件の前兆と見られる「領海侵犯の増加」

9 分析

10 脚注

11 注釈

12 関連項目

13 外部リンク

事件の概要 衝突された「みずき」と同型のびざん型巡視船 衝突された「よなくに」と撮影した「はてるま」は同型である 「はてるま」と「よなくに」。事件発生前の2010年7月に石垣港にて撮影

2010年9月7日、尖閣諸島付近の海域をパトロールしていた巡視船「みずき」が、中国籍の不審船を発見し日本領海からの退去を命じるも、それを無視して漁船は違法操業を続行、逃走時に巡視船「よなくに」と「みずき」に衝突し2隻を破損させた。海上保安庁は同漁船の船長を公務執行妨害逮捕[1]、取り調べのため石垣島へ連行し、船長を除く船員も同漁船にて石垣港へ回航、事情聴取を行った[2]。9日に船長は那覇地方検察庁石垣支部に送検された。(#事件発生から逮捕・送検まで

中国政府は「尖閣諸島は中国固有の領土」という主張を根拠に、北京駐在の丹羽宇一郎大使を呼び出し、日本側の主権に基づく司法措置に強硬に抗議し、船長・船員の即時釈放を要求した[3]。これを受けて13日に日本政府は船長以外の船員を中国に帰国させ、中国漁船も中国側に返還したが[4]、船長に関しては国内法に基づいて起訴する司法手続きの方針を固め、19日に勾留延長を決定した。すると中国側はこれに強く反発し即座に日本に対して様々な報復措置を実施した。(#送検から2度目の勾留延長決定まで#中国政府の報復措置

24日、国際連合総会開催中で菅直人内閣総理大臣および前原誠司外務大臣不在の中、那覇地方検察庁鈴木亨・次席検事が船長の行為に計画性が認められないとし、また日中関係を考慮したとして[5]中国人船長を処分保留で釈放すると突如発表。本決定を仙谷由人内閣官房長官は容認[6]。25日未明、中国側が用意したチャーター機で、中国人船長は石垣空港から中国へと送還された[7]。(#船長の釈放

11月1日、中国への配慮から非公開となっていた漁船衝突時の動画が、那覇地検によって6分50秒に編集された上で、予算委員会所属の一部の国会議員に対してのみ限定公開された。11月4日、ハンドルネーム「sengoku38」こと一色正春によって漁船衝突時に海上保安官が撮影していた44分間の動画がYouTube上に流出した(#漁船衝突映像の限定公開と流出)。
事件の経過
年表

2010年

9月7日 - 中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突。

9月8日 - 中国大使館職員が船長に面会。

9月9日 - 石垣海上保安部が船長を公務執行妨害容疑那覇地検石垣支部に送検。

9月10日 - 那覇地検石垣支部が船長の勾留の延長を請求。

9月13日 - 船長以外の船員を帰国させ、漁船を解放。

9月16日 - 前原誠司国土交通相は石垣海上保安部に行き、巡視船艇の係留所を視察[8]

9月19日 - 石垣簡易裁判所逮捕された中国人船長の拘置期間を10日間延長し、20日から29日までとする[9]

9月20日 - 19日から20日にかけて中国政府が日本に対する複数の報復措置を実行する。

9月22日 - 早朝、中国首相から釈放要請があり、同日午前、検察首脳会議を24日に行うことが決定された[10][要出典]。

9月23日 - 外務省職員が仙谷官房長官の了解のもと那覇地方検察庁へ出向き説明[10]

9月24日 - 午前10時、検察首脳会議が開催され釈放が決まる[10]。那覇地方検察庁が船長を処分保留で釈放と発表[11]

9月25日 - 未明に中国のチャーター機で石垣空港から出国し、中国人船長は中国福建省福州の空港へと送還された。

10月21日 - この事件で損傷した巡視船「みずき」が修理を終え、試験運転を開始。

11月1日 - 6分50秒に編集された漁船衝突時の映像が、衆参予算委員会所属の一部の国会議員にのみ限定公開される。

11月4日 - 44分に編集された漁船衝突時の映像が、「sengoku38」によってYouTube上に流出する。

11月9日 - 巡視船「みずき」が復帰、「よなくに」も年内復帰に目処。政府ではこの船の修理代を中国へ請求することを決定。

11月10日 - 43歳の海上保安官が、自らが「sengoku38」だと名乗り出る。15日には映像の秘密性は低いとして逮捕は免れ、書類送検される。

11月26日 - 尖閣事件処理に対する不満も一因となり、仙谷官房長官と馬淵国交相に対して参議院問責決議案が可決された。問責可決以後は、当該閣僚国会答弁できなくなるのが通例。


2011年

1月21日 - 那覇地検は中国人船長に対し公務執行妨害罪の不起訴処分を下す。

2月12日 - 中国外務省が海上保安庁が行った船長に対する損害賠償請求について、「船長への損害賠償請求権はいっさいない」と発表した。

4月18日 - ジャーナリスト山際澄夫らによる審査の申し立てを受け、那覇検察審査会が中国人船長について公務執行妨害罪で起訴相当議決を下す[12]

6月22日 - 那覇検察審査会は中国人船長について外国人漁業規制法違反、建造物損壊罪漁業法違反(立入検査忌避罪)で起訴相当議決を下す。

6月28日 - 那覇地検は中国人船長について公務執行妨害罪等で再び不起訴処分を下す。

7月21日 - 那覇検察審査会は中国人船長について公務執行妨害罪、外国人漁業規制法違反、建造物損壊罪で起訴議決を下す。漁業法違反(立入検査忌避罪)では不起訴議決となった。

7月28日 - 那覇地裁は沖縄弁護士会弁護士2人を検察官役の指定弁護士として指定した。だが、被疑者である船長は釈放後に日本と犯罪人引渡し条約が結ばれていない中国に帰国したため公判が開ける見込みが困難な状況である。


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