少年H
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『少年H』
(しょうねんエイチ)
著者
妹尾河童
訳者ジョン・ベスター
発行日単行本(1997年1月17日)
講談社文庫(1999年6月15日)
CD版(2000年2月)
新潮文庫(2000年12月1日)
拡大版(2001年5月)
青い鳥文庫(2002年6月25日)
青い鳥文庫(新装版)(2013年6月15日)
発行元講談社日本障害者リハビリテーション協会新潮社、拡大写本ルーペの会
ジャンル小説
形態単行本、文庫、新書
ページ数単行本(上355頁,下355頁)
講談社文庫(上477頁,下501頁)
新潮文庫(上479頁,下494頁)
青い鳥文庫(上442頁,下461頁)
青い鳥文庫(新装版)(上445頁,下467頁)
コードISBN 4-06-208199-7
ISBN 4-06-208496-1
ISBN 4-06-264590-4
ISBN 4-06-264591-2
ISBN 4-10-131106-4
ISBN 4-10-131107-2
ISBN 4-06-148590-3
ISBN 4-06-148591-1
ISBN 978-4-06-285360-6
ISBN 978-4-06-285361-3

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『少年H』(しょうねんエイチ)は、妹尾河童の自伝的小説。当時の名前は「肇」だったので、セーターに書いてあったイニシャルからの愛称。1997年(平成9年)、講談社より刊行された。1997年(平成9年)度、毎日出版文化賞特別賞受賞作品[1]。1997年(平成9年)度の第24回大佛次郎賞最終候補作でもあった。

上・下2巻から成る。後に講談社文庫新潮文庫青い鳥文庫から刊行されたほか、ジョン・ベスターの翻訳による英訳本 A boy Called H[2] も出ている。

2013年(平成25年)8月2日、累計発行部数が340万部に達する[3]

1997年(平成9年)に『週刊こどもニュース』でアニメ化、1999年(平成11年)と2001年(平成13年)にスペシャルドラマ化、2013年(平成25年)に映画化され、他、舞台化もされた。
登場人物
妹尾肇
主人公。通称はH。
1930年昭和5年)生まれ。腕白坊主だが根は真面目で、意外に正義感は強い。ドラマ版では老年期になってからも「肇」と名乗り続けているが、実際は1970年(昭和45年)に下の名前を「河童」に改名している。
妹尾盛夫
1902年明治35年)生まれ。肇の父親。洋服屋を営む。肇の良き理解者で、理論的に考えるタイプ。身長は153cm。ドラマ版では演じた中井が長身ということもあってか、小柄という設定は破棄され、足が悪いという設定になった。そのためか、後述の吉本繁男は登場しない。
妹尾敏子
1905年(明治38年)生まれ。肇の母。熱心なクリスチャン(プロテスタント)だが、それが原因で周囲との間に摩擦を生むこともある。
妹尾好子
1932年(昭和7年)生まれ。肇の妹。優しい心の持ち主だが泣き虫。
羽田野金四郎
通称「羽田野の小父さん」。妹尾家に下宿していたことがあり、妹尾一家とは親しい間柄。終戦の翌年に病死。
林五和夫
肇の親友。巨漢で相撲に詳しい。ドラマ版では同窓会のシーンで、林本人が登場した。
郁夫
炭屋の次男坊。通称は「イッチャン」。嘘をつく癖があるが、根は真面目。
勝造
原作とドラマ版での位置づけが大きく異なるキャラクター。原作では全く好意的に描かれておらず、登場シーンも少ない。肇の机に十字架や「スパイ」の文字を書いた犯人ではないかと疑われている(実際の犯人は不明)。通称は「バラケツの勝」(バラケツとは神戸の方言で不良の意)。苗字は不明。ドラマ版では当初は肇と不仲だったが、オトコ姉ちゃんの仲介で仲直りし、以後友人として親しくなる。老年期に入り肇と再会。名前は、山本勝造と設定。
勝造の父
原作、ドラマ版ともにヤクザとして描かれているが、その描き方は息子同様大きく異なる。原作では「本物のヤクザ」と本文中に触れられている程度で、肇たちと直接絡むシーンは無い。名前も不明。ドラマ版では体に刺青をしており、荒くれとしての側面が強調されていたが、風呂屋でオトコ姉ちゃんの手ぬぐいを奪った肇を叱りつけるなど、単純に悪人といえない側面も持ち合わせている。南京陥落の祭りの際にトラブルを起こして逮捕され、息子との再会がかなわぬまま死亡する。原作における「岩夫さん」(風呂屋のシーンのみの登場)と「在郷軍人の小父さん」(後述)の側面を持ち合わせている。名前は、山本新造と設定。
ミセスステープルス
宣教師。肇が2歳の頃まで日本にいた。
うどん屋の兄チャン(赤盤の兄チャン)
妹尾家の向かいにあるうどん屋で働く青年。実は非合法活動をしていた。共産主義運動と周囲は推測するが、詳細は不明。ドラマ版では小林繁夫という役名がある。
オトコ姉ちゃん
映画技師で旅回りの役者。戦争に行くことを拒否し、廃屋になったガソリンスタンドの便所で首吊り自殺する。ドラマ版では花房恵三郎、映画版(後述)では下山幸吉という名前がつけられている。また、原作と比較してドラマ版では登場シーンが増えており、『風の又三郎』を肇に見せるシーンなどが追加されている。
在郷軍人の小父さん
上記のとおり在郷軍人で、戦局が優勢のころはいつも「天皇陛下のために」と叫んでいた。しかし、戦局が悪化するとともにその態度にも変化が現れる。ドラマ版には登場せず、その設定は前述の勝造の父親に移された(ただし、ドラマ版の勝造の父と異なり自然退場する形になっている)。
ピエールさん
フランス人のコック。三宮のレストランで働く。
宮本順二
盛夫の弟子として働いていた男性。肇たちは「順さん」と呼び慕っていた。作中で登場していた時点(1940年(昭和15年))ですでに30代になっていたこともあって、当初の契約よりも1年半早く独立した。
吉本繁男
宮本順二が独立した後雇われた男性。愛称は「シゲさん」。足が悪く店員として不向きと思われたが、盛夫が本人のやる気を認めたことから雇われることとなった。しかし、開戦による客の減少から経営難となり、わずか1年で店を退職することとなる。
オッペンハイマーさん
ユダヤ系ドイツ人。神戸港に来航したユダヤ人(杉原千畝を参照)の洋服の修繕を依頼し、お礼に肇の誕生祝いを送る。
金田さん
朝鮮人の男性。本姓は「金(キム)」。一時期妹尾家に下宿していたが…。原作では、本名・日本名とも不明だが、ドラマ版では金田正之と設定された。
田森教官
主人公らが通う神戸二中(兵庫県立兵庫高等学校)の軍事教官。本名は田森信太郎。あだ名は「エロ天」。極度なまでにサディスティックな性格で、生徒達に暴力を振るうことに快感を覚えている節すらあったが、敗戦後は抜け殻のようになってしまった。
久門教官
中学校の軍事教官。肇が所属する教練射撃部の顧問も務める。田森教官とは対照的に生徒からの信頼は厚い。終戦直前に徴兵されるが、終戦後は復員し本職の時計屋に戻る。
藤田譲治
肇の中学校の親友。肇より1歳年上だが、病気で休学したために同学年となった。通称「ジョージ」。母親はイギリス人で英語に堪能だが、その白人の血が色濃く出た容貌ゆえ、戦時中は周囲からからかわれることも多く、自身が日本人であることを殊更に強調していた。卒業後は、進駐軍の通訳となる。
書誌情報

『少年H』 上巻、講談社、1997年1月17日。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-06-208199-7。https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000178130。 

『少年H』 下巻、講談社、1997年1月17日。ISBN 4-06-208496-1。https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000178415。 

『少年H』 上巻、講談社〈講談社文庫〉、1999年6月15日。ISBN 4-06-264590-4。https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000198418。  - 著作目録あり。


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