少年保護手続
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
保護処分の流れ

少年保護手続(しょうねんほごてつづき)とは、日本における刑事司法制度の一つであり、家庭裁判所少年法第2章の規定に従って非行少年の性格の矯正及び環境の調整に関する措置(同法1条参照)を行う手続をいう。

少年保護手続は、非行少年の再非行の抑止や更生を目的としており、決定までの過程として、「非行事実を家庭裁判所に送致・通告 - 家庭裁判所調査官(以下「調査官」と略称する)等による調査 - 調査結果をふまえた審判 - 必要に応じて保護的措置あるいは保護処分を決定」という流れを経るのが通例である。
少年保護手続の特色

少年保護手続は、非行少年に対して、刑法及び刑事訴訟法が定める通常の刑事司法手続に代えて適用される手続である[1][注釈 1]。少年保護手続は、福祉的機能と司法的機能とを併せ持つ。
福祉的機能

福祉的機能とは、少年の健全な育成を期する(少年法1条)という機能である[2]。すなわち、少年保護手続は、非行に陥った少年に教育・保護を加えてその将来の自力改善・更生を促すことを直接の目的としており[3][注釈 2]、過去の非行に対する非難(責任非難)は、要保護性の一要素として位置付けられる(多数説)[4]

福祉的機能は、処遇選択に当たり非行事実の軽重よりも要保護性の大小を重視するという個別処遇主義、非行のある少年に対しては刑事処分以外の措置を優先するという保護優先主義[5]、厳格な手続的規整を置かずに家庭裁判所の能動的・裁量的手続運営を許容するという職権主義[6]捜査機関送致・不送致の裁量を与えないという全件送致主義を支える理念である。これらの主義は、刑事処分における応報主義当事者主義起訴便宜主義(刑事訴訟法246条但し書、248条)と対照をなす少年保護手続の特色である。
司法的機能

司法的機能とは、非行のある少年、すなわち、法秩序を破壊しあるいは破壊するおそれがある少年に対し、「法律の定める手続により」(憲法31条)、法秩序の回復・保全のために必要な措置を採るという機能である。換言すれば、少年保護手続は一方で法秩序の回復・維持による社会防衛を目的とする刑事政策の一環という側面を持ちつつ、他方で少年の適正な手続を受ける権利(手続的権利)を保障するという側面も持つ。この司法的機能は、前述した福祉的機能を補完する原理として位置付けられる。

司法的機能を強調する立場には、適正手続論と威嚇抑止論(いわゆる厳罰化論)という2つの系統がある[7]。適正手続論とは、保護的措置が公権力による強制力を用いた(あるいは強制力を背景とした)働き掛けである以上は、特に非行事実を認定する際には少年に対する十分な告知(家庭裁判所の認定の説明)、聴聞(家庭裁判所の認定に対する少年の弁解の聴取)、合理的な範囲・限度・方法による証拠調べが必要であるし(従来からの適正手続論、最高裁昭和58 (1983) 年10月26日決定・刑集37巻8号1260頁(流山中央高等学校事件)参照)、逆に、少年の弁解を無批判に受け入れずに適切な認定資料に基づいて判断すべきでもある(最高裁平成17 (2005) 年3月30日決定・刑集59巻2号79頁参照)という立場である[8]。これに対して、威嚇抑止論とは、罰則による威嚇が犯罪を抑止するのであり、少年保護手続による教育や保護は非行少年の甘やかしでしかないという立場である。威嚇抑止論は、少年保護手続の適用範囲縮小・廃止を唱える立法論であると同時に、不処分優先主義[9]とすら評されるほど保護優先主義に忠実な運用の実情に対する批判でもある。
非行少年詳細は「非行少年」を参照

少年とは、20歳に満たない者をいう(少年法2条1項)。20歳という年齢設定の適否については、諸外国の動向(16歳から21歳程度まで幅があるが、18歳が大勢を占める[10]。)や被害者感情、若年者の政治的権利の拡大といった問題意識をも背景に、議論がなされている[注釈 3]

非行少年とは、犯罪少年触法少年及び虞犯少年の総称であり、「審判に付すべき少年」(同法3条見出し、6条1項など)ともいう。少年保護手続は、非行少年を主たる対象とする手続である。また、非行事実とは、犯罪少年の犯罪行為、触法少年の触法行為及び虞犯少年の虞犯事実の総称である(非行事実の認定については後述)。

家庭裁判所の新受人員でいえば、非行少年のほとんどを犯罪少年が占めており、虞犯少年がこれに続き、触法少年はまれである[11]。これは、虞犯事由のある少年の大多数と触法少年のほとんどは、警察官・少年補導職員による補導や、児童相談所長による児童福祉法に基づく措置がなされるにとどまるからである。それだけに、虞犯少年として家庭裁判所に送致・通告される者は、補導等のいわば穏和な措置では非行性の深化を阻止することが困難とみられることが多い[12]ということになり、実際にも緊急の保護を要するとして観護措置がとられる比率が高い[注釈 4]。また、触法少年として家庭裁判所に送致される少年は、非行事実が重大な場合か、緊急の保護が不可欠な場合が多い。
犯罪少年

犯罪少年とは、罪を犯した少年(少年法3条1項1号)をいう。

刑法学において「罪」(犯罪)とは、構成要件(刑罰法令が規定する、ある行為を犯罪と評価するための条件)に該当し、違法かつ有責な行為をいう。そこで、犯罪少年と評価するためには、その少年の行為が構成要件に該当し、違法でなければならない。しかし、その少年がその行為について有責であることまで要するかについては、裁判例や学説が分かれている[13]

他方、処罰阻却事由があったり、訴訟条件を欠いたり(東京家裁平成12 (2000) 年6月20日決定・家月52巻12号78頁)しても、犯罪少年と評価することができると解されている[14][注釈 5]
触法少年

触法少年とは、14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(少年法3条1項2号)をいう。触法少年と評価するための要件は、行為時の年齢を除けば犯罪少年と同一である[15]

年齢に下限の定めはないが、極端に低年齢の行為者には構成要件としての故意過失や事理弁識能力(自己の行為の社会的意味を理解する能力)が認められないことから、実務上は10歳前後が限界とされているようである[15]。事理弁識能力が問われるのは「意味も分からずにした行為を理由に処罰をしても、行為者の改善・更生には役立たないし、社会に対する示しにもならない」という考えに基づくものであり、刑法学の基本的概念である。


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