少子
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各国の合計特殊出生率 (2015)   7?8 人の子供を産む   6?7 人の子供を産む   5?6 人の子供を産む   4?5 人の子供を産む   3?4 人の子供を産む   2?3 人の子供を産む   1?2 人の子供を産む

少子化(しょうしか)とは、
出生数が減少すること

出生率の水準が特に人口置換水準以下にまで低下すること(故に、単なる出生率の低下とは異なるとされる)

(高齢化の対義語として)子どもの割合が低下すること

子どもの数が減少すること

を指し、いずれの意味であるかは文脈にもよる。

長期的に人口が安定的に維持される合計特殊出生率(1人の女性が一生の間に産む子の数)を人口置換水準(Replacement-level fertility)という。国際連合は先進諸国の人口置換水準を2.1と推計している[1]。人口学において少子化とは、合計特殊出生率が人口置換水準を相当長期間下回っている状況のことをいう[* 1]

経済発展生活水準の向上に伴う出生率と死亡率の変化には、多産多死から多産少死、少産少死へ至る傾向があり、人口転換と呼ばれる。多産少死のとき人口爆発が生じることは古くより知られ、研究が進められてきた。日本では江戸時代前半(約3倍増)と明治以降(約4倍増)の2度、人口爆発が起きた[2]

かつて少産少死社会は人口安定的と考えられていたが、1970年代に西欧諸国で出生率が急落して以降、将来の人口減少が予測されるようになった。多くの先進諸国では死亡率が下げ止まる一方で出生率の低落が続き、1980年にはハンガリーが人口減少過程に入った。「高齢化社会」および「人口減少社会」も参照
目次

1 原因

1.1 経済的発展

1.2 都市化の進行

1.3 高等教育の普及

1.4 家族計画の普及

1.5 政策的なもの

1.6 晩婚化

1.7 「家族」の過剰な称揚

1.8 日本

1.8.1 低所得者層の未婚率増加による影響

1.8.2 女性の高学歴化説



2 歴史が示す少子化問題(古代ローマの事例)

3 各国における少子化の状況

3.1 アメリカ合衆国

3.2 イギリス

3.3 フランス

3.4 スウェーデン

3.5 ドイツ

3.6 イタリア

3.7 オランダ

3.8 ロシア

3.9 タイ

3.10 シンガポール

3.11 韓国

3.12 台湾

3.13 中国

3.14 日本


4 少子化の影響

5 少子化対策

5.1 スウェーデン

5.2 デンマーク

5.3 日本

5.3.1 出生力回復を目指す施策

5.3.2 少子高齢化に対応する施策



6 議論されている少子化対策

6.1 共働き夫婦支援

6.2 選択的夫婦別姓制度導入

6.3 移民受入

6.4 人工妊娠中絶禁止


7 脚注

8 出典

9 参考文献

10 関連項目

11 外部リンク

原因 人口一人あたりGDP(横軸)と、合計特殊出生率(縦軸)。
CIA World Fact Book, 2009

20世紀の前半までは感染症の予防法も治療法も確立されていなかったので、妊産婦死亡率周産期死亡率新生児死亡率乳児死亡率乳幼児死亡率・成人死亡率はいずれも著しく高かった。また生活習慣病の予防法も治療法も確立されておらず、臓器の機能不全を代替する人工臓器臓器移植の医療技術も確立されていなかった。そのような社会状況では平均寿命は50歳前後が限界であり、死亡率の高さを補うために健康で妊娠出産能力がある女性は、10代の後半頃から40代頃まで産める限り産むという、多産多死の社会だった。十代の出産高齢出産も21世紀初頭の現在よりも実数で多かった。

20世紀の後半になると産業経済の発展、政府の歳入の増大と社会保障支出の増大、科学技術の向上、医学医療技術の向上などがあった結果、感染症の予防法と治療法が確立され、妊産婦死亡率・周産期死亡率・新生児死亡率・乳児死亡率・乳幼児死亡率・成人死亡率はいずれも著しく減少した[3][4][5][6][7][8][9][10]。そのうえ生活習慣病の予防法や治療法、そして人工臓器や臓器移植の医療技術も確立されたので、平均寿命は著しく上昇し[11]、その一方で逆に合計特殊出生率は著しく低下し[12]、多産多死の社会から少産少死の社会に移行した。

20世紀の後半以後、こうした医療技術の確立は、先進国だけでなく開発途上国にも低開発国にも普及した。先進国では大部分の国が合計特殊出生率が2人未満になり、開発途上国でも2人未満の国や2人台が大部分になり、低開発国でも20世紀前半の先進国よりも低くなっている[13]

内閣府の「少子化に関する国際意識調査」は、アメリカ、フランス、韓国、スウェーデン、そして日本という5カ国のおよそ1000人の男女を対象として2005年に行った少子化についての意識調査の結果を報告している。これによると、「子供を増やしたくない」と答えた割合は53.1%と、他の4カ国と比較して最も高かった(他国の増やしたくないと答えた割合はスウェーデン11%、米国12.5%、フランス22.6%、韓国52.5%)。「子供を増やしたい」と答えた割合が最も低いのも日本であった。子供が欲しいかとの問いについては、いずれの国も9割以上が「欲しい」と回答している[14]

同調査において示された「子供を増やしたくない理由」は、

子育てや教育にお金が掛かりすぎるから - 韓国68.2%、日本56.3%、米国30.8%

高年齢で生むのが嫌であるから - スウェーデン40.9%、韓国32.2%、日本31.8%

などとなっている[14]
経済的発展

この節の加筆が望まれています。

都市化の進行

世界における都市化率の増加も、主要な要因のひとつだとされている。都市住民は田舎住民よりも、子供をあまり持たない傾向がある[15][16]。都市住民は、児童を農場労働力として必要とはせず、また都市では不動産価格が高いため大家族は費用がかさむ。
高等教育の普及

経済的理由により子供が生まれたときの十分な養育費が確保できる見通しがたたないと考え、出産を控える傾向がある。子育てにかかる費用が高いことも要因として指摘されている。国民生活白書によれば子供一人に対し1300万円の養育費がかかると試算している[17]
家族計画の普及「避妊」および「人工妊娠中絶」も参照


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