この項目では、気象現象の「雨」について説明しています。その他の作品名などの「雨」については「雨 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
降雨 車の窓ガラスに付いた雨粒
雨(あめ)とは、大気から水の滴が落下する現象で、降水現象および天気の一種[1][2]。また、落下する水滴そのもの(雨粒)を指すこともある[3]。大気に含まれる水蒸気が源であり、冷却されて凝結した微小な水滴が雲を形成、雲の中で水滴が成長し、やがて重力により落下してくるものである。ただし、成長の過程で一旦凍結し氷晶を経て再び融解するものもある[4]。地球上の水循環を構成する最大の淡水供給源で、生態系に多岐にわたり関与するほか、農業や水力発電などを通して人類の生活にも関与している[3][5]。 地球の大気(空気)は、場所により量が異なるが、水蒸気を含んでいる。この水蒸気は、海洋や湖の表面、地面からの蒸発、植物からの蒸散などを通して供給されるものである[6]。 空気中の水蒸気の量を表す身近な指標として相対湿度があり、通常は単に湿度と呼ぶ。相対湿度とは、空気がある温度(気温)であるときに含むことができる水蒸気の最大量(飽和水蒸気量)を100%とし、実際に含まれている量を最大量に対する割合で表したものである。例えば、気温25℃・相対湿度50%の空気には、1m3(=1000リットル)あたり11.4gの水蒸気が含まれる[7]。 空気の相対湿度が増して100%に達することを飽和という。空気は、何らかの要因によって冷やされることで飽和する。飽和した空気では、水蒸気が凝結して微小な水滴を形成する。これが雲である[6]。 先の例に挙げた、25℃・相対湿度50%の空気1m3を考える。この空気には11.4gの水蒸気が含まれる。これを10℃まで冷却すると、10℃の飽和水蒸気量は9.3g/m3なので、11.4 - 9.3 = 2.1g分が凝結し水滴となることが分かる[7]。 空気を冷却して飽和させるプロセスは、主に断熱膨張による冷却である。断熱膨張とは、上空へいくほど気圧が低いため、空気が持ち上げられて気圧が下がると膨張し、同時に冷却されることを言う。大気の対流、気団同士の衝突(前線)などの大気の大規模な運動、また気流が山にぶつかったりするような物理的障害によって起こる。
目次
1 雨の形成
1.1 水蒸気から雲へ
1.2 凝結・暖かい雨
1.3 氷晶・冷たい雨
1.4 雲から雨へ
2 雨の降り方
2.1 降水型
2.2 雨の強さ
2.2.1 雨強し
2.2.1.1 日本式天気記号
2.3 世界の気候と雨
2.4 災害
3 雨の性質
3.1 雨粒
3.2 雨粒の大きさと形状
3.3 雨水の化学成分
3.4 特異な雨
4 気象通報・天気図
5 観測
5.1 気象レーダー
5.2 気象衛星
6 水循環と水資源
6.1 自然環境
6.2 雨水の利用
6.3 人工降雨
7 文化・生活
7.1 民俗
7.2 雨による活動の制約
7.3 雨の表現
8 地球以外の天体の雨
9 脚注
9.1 注釈
9.2 出典
10 参考文献
11 関連項目
12 外部リンク
雨の形成 水循環 アスファルト上に降り水紋を作る雨 移動する雨雲と雨筋
水蒸気から雲へ