小野梓記念賞
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小野梓記念賞(おのあずさきねんしょう)は、早稲田大学が設けている学生褒賞

同大学の中で最も名誉ある賞であり[1]東京専門学校早稲田大学の前身)の創設に大隈重信と共に尽力した、政治学者である小野梓[注 1] の業績を記念して1958年に創設された賞である[2]
概要

東京専門学校の創設当時、日本唯一の高等教育機関であった東京大学では外国人教師による西洋の書物及び言語を用いた教えが主流であった[2]。また日本は徳川幕府が欧米諸国と締結した不平等条約の改正を急務としていた時代でもあった[2]。そんな欧米志向に捉われていた日本の教育方針を嘆いた小野梓は、東京専門学校の開校式での祝辞でこう述べている。一国の独立は国民の独立に基いし、国民の独立はその精神の独立に根ざす。而して国民精神の独立は実に学問の独立に由るものなれば、その国を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその民を独立せしめざるを得ず。その民を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその精神を独立せしめざるを得ず。而してその精神を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその学問を独立せしめざるを得ず。[2]

外国語教師による外国語のみの教育ではなく、日本語による専門学術の教えを推進すべきであるという「学問の独立」を唱えた小野梓であったが、開校式の僅か3年余り後の1886年(明治19年)に33歳で亡くなり、のちの早稲田大学隆盛を見ることはできなかった[2]

しかし、小野梓が唱えた「学問の独立」は、1913年の創立30周年記念式典で宣明された「早稲田大学教旨」に明記され、今日に至るまで早稲田大学の根本精神として受け継がれている[1]

早稲田大学では小野梓の功績を讃え、建学の精神を顕揚することを目的に1958年に小野梓記念賞を制定。各年度内に学術、芸術、スポーツの三部門において顕著な成績を修め、学生の模範となるべき学生を表彰することとなった[2][注 2]

尚、1966年度から小野梓をモデルとした像が刻まれた銀製のメダルが授与されている。デザインを早稲田大学名誉教授・今井兼次が担当し、彫刻を東京教育大学教授・木村珪二が担当した。2007年度より早稲田大学創立125周年を記念して従来のより大きくし、重さを125gとした。メダルは純銀製で金メッキを施したものである[2]
小野梓記念賞 各賞受賞者

※ 尚、表記は全てにおいて小野梓記念賞受賞者一覧に基づくものとし、各年度の受賞者は早稲田大学 学生部サイト「小野梓記念賞」より出典する[3]
第1回(1959年(昭和34年))?第7回(1965年(昭和40年))
第1回(1959年)

学術賞

経研・博士課程 安田文一郎 : 「投資理論の研究」(修士論文)
[4]

法研・修士課程 牛山 積 : 「市民法と労務法における法的主体」(修士論文)[4]

工研・博士課程 高橋 博 : 「非均質格子系の中性子輸送理論」(博士論文)[4]


芸術賞

一文・仏文 3年 吉川 常子 : 詩「生活のうた」[4]

一政・政治 4年 飯牟礼一臣 : 小説「アンペラの上の氷像たち」[4]

一政・経済 4年 河出 朋久 : 短歌「我」[4]


スポーツ賞

教育・社会 3年 山中 毅[注 3] : 水泳部[4]


第2回(1960年)

学術賞

一文・国史 4年 塚田 博康 : 「醍醐寺三宝院庭園成立の研究」(卒業論文)
[4]

文研・修士課程 2年 上野 理 : 「後拾遺和歌集成立論」(修士論文)[4]

一文・国史 4年 上杉 允彦 : 「所謂辺境日本における封建制の成立」(卒業論文)[4]

法研・修士課程 2年 石渡 利康 : 「国際法における権利濫用の現段階」(修士論文)[4]


芸術賞

推薦作品の提出なし[4]


スポーツ賞

二商 3年 大崎 剛彦 : 水泳部[4]

二政 4年 見谷 昌禮 : スキー部[4]

二商 4年 伊東 靖倖 : ボクシング部[4]


第3回(1961年)

学術賞

商研・博士課程 4年 石塚 博司 : 「原価計算目的と原価概念」
[4]

法研・修士課程 2年 北野 弘久 : 「租税法律主義の具体的内容の理論の構成と展開」[4]

文研・修士課程 2年 土居 淑子 : 「沂南画像石墓年代考」[4]


芸術賞

一文・国文 3年 佐々木 幸綱[注 4] : 「自選短歌」[4]

二文・美術 3年 山浦 弘靖 : テレビドラマ「賊殺」 [4]


スポーツ賞

教育 4年 吉無田春男 : 水泳部[4]

二商 4年 松井 孝 : スキー部[4]

二商 4年 三木 孝志 : 競走部 [4]

二政・政治 3年 中川 清 : 水泳部[4]

二法 3年 木村 興治 : 卓球部[4]

二商 2年 新保 茂 : 相撲部[4]

二政・経済 石幡 忠雄 : スケート部[4]


第4回(1962年)

学術賞

政研・修士課程 修了
白鳥 令 : 「ジョン・ロック政治理論の再検討」(修士論文)[4]

文研・修士課程 修了 藤家礼之助 : 「曹魏の屯田制」(修士論文)[4]


芸術賞

一商 4年 島田 開[注 5] : シナリオ「虚」[4]


スポーツ賞

教育・社会 4年 梅本 利三 : 水泳部[4]

教育・教育 1年 松本健次郎 : 水泳部[4]


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