小池さん(こいけさん)は、藤子不二雄(藤子不二雄Ⓐ、藤子・F・不二雄)の漫画に登場する架空の人物。
概要 ラーメン屋台モニュメント(豊島区南長崎公園)。鈴木伸一本人がモチーフのため、小池さんに特徴的な斜視ぎみの目やしかめ面とは表情が異なる。 トキワ荘住人がよく利用した中華料理店「松葉」。
ラーメンが大好きで、いつもラーメンを食べている中年男性。天然パーマ(非常に癖が強くアフロヘアに近い)、眼鏡、焦点の定まらない目、締まりのない口でいつも不機嫌そうなしかめ面が特徴。モデルはアニメーターの鈴木伸一で、ラーメン好きの設定も鈴木本人に由来する[1]。ただし鈴木自身はラーメンに限らずうどんや蕎麦、スパゲッティといった麺類全般が好きと語っており、むしろトキワ荘時代に近所の中華料理店「松葉」からラーメンの出前を取るほどだった、藤子両人のラーメン好きが設定に反映されているという[2]。このラーメン店「松葉」は現存し、具は豪華になったもののスープの製法は当時のままであり、外国人を含む漫画ファンの来店も多い[3]。
オリジナルのキャラクターデザインは藤子不二雄Ⓐによるものとされる。口が波線になっているのは新漫画党時代に森安なおやが描いた似顔絵(当時は互いに誕生日祝いとして描いていた)が元で、それを藤子が取り入れたという[4]。
藤子不二雄の漫画『オバケのQ太郎』(A, F合作)で初めて登場。本来は「小池さん」ではなく、「小池さん家に下宿している鈴木さん」という設定であり、鈴木本人には藤子スタジオのアシスタントから登場の件が伝えられた[2]。当時鈴木は鎌倉市にある小池家に下宿しており[2]、スタジオ・ゼロで背景を担当していた野口竜がそれを忠実に再現し住宅の表札に「小池」と作画したことから、読者に苗字が小池だと誤解され、そのまま定着した[5]。
『オバケのQ太郎』のほかに、藤子F作品『パーマン』や『ドラえもん』、藤子A作品『忍者ハットリくん』(下記詳述)など藤子漫画の多くに登場し、また職業も多岐(アニメーター・漫画家であることが多いが)にわたっていることから、一種のスターシステムとみられる。
なお、『オバケのQ太郎』やその他の作品で小池さんが主に食べているのはインスタントラーメン(袋麺)であり、カップラーメンではない。どんぶりに移して食べていることもあれば、鍋から直接食べていることもある。初期にはカップラーメンは存在しなかったが、1985年のリメイク版アニメ『オバケのQ太郎』では、カップラーメンを食べる場面がある[6]。
メインキャラクターの一人となっている『オバケのQ太郎』の「上にドがつく小池さん」の回ではモデルとなった鈴木と同様、職業はアニメーターで勤務先はスタジオ・ゼロをもじった「スタジオ・ボロ」となっており、後に結婚。新婚当初は即席ラーメンばかり食べていて栄養に悪いと判断した奥さんに手料理ばかり食べさせられて逃げ出すエピソード「あこがれのラーメン」もあるが、後にラーメン好きを理解され、奥さんがラーメンとたくさんの手料理を食卓に並べるシーンが何度か描かれている。また『新オバケのQ太郎』(F)では2人の子供も登場している。『ドラえもん』(F)の「ドラえもんの大予言」(てんとう虫コミックス1巻収録)では顔も髪型も瓜二つの家族(妻と息子)が登場するが、『オバケのQ太郎』に登場する家族と顔が異なる。また『21エモン』(F)では、コイケラス星人という宇宙人版の小池さんが登場している。
学習雑誌『小学四年生』1967年2月号に掲載された企画漫画「20年後のオバケのQ太郎」では、オバQや大原一家らと共に、20年後の小池さんが描かれており、20年後は下駄ばきで和服を着用しているが、依然としてラーメンを食べている[7]。
基本的には「一市民」的扱いで、ラーメンを食べているとQ太郎ら主役陣に乱入される、ラーメンを台無しにされる、あるいはエキストラ的に現れることが多い。端役で台詞が全くない例も多いが、一話完結のストーリー中で中核をなすこともある。
『ホアー!! 小池さん』(A)は、小池さんが主役、かつ短編や読み切りではない連載作品で単行本も2巻まで発売された。ゴルフ漫画で、小池さんはゴルファーの設定である。 『忍者ハットリくん』(A)の副主人公三葉ケン一の担任教師、小池先生として登場。レギュラーキャラクター扱いだったことがある特異な例である。アニメ版での声は二又一成が担当した。 漫画の初期のシリーズでは、鼻の下に髭があり、他の「小池さん」と区別されていたが、『新 忍者ハットリくん』からこれもなくなった。アニメでは、最初から区別がない。 学校教師という設定上、他の作品と違ってラーメンを食べるシーンはごく稀にしか登場しない。写真撮影、昆虫採集、将棋、彫刻など多くの趣味を持つ。 藤子両人や鈴木と友人だった石ノ森章太郎・赤塚不二夫作品にも登場したことがある。例として赤塚作品では漫画『おそ松くん』の「クリーニング屋 まじめにやれよ」に冒頭で2コマだけ登場している(竹書房版8巻に収録)[8]。 シャ乱Qが第2回NHK-BSヤングバトル全国大会・グランプリで歌った『ラーメン大好き小池さんの唄』とそのリメイク『新・ラーメン大好き小池さんの唄』を出している(2006年5月31日発売のアルバム『まんぷくトランス』で西尾季隆(丁半コロコロ)がカバー)。縮れ毛で黒縁眼鏡の男性に対するコイケさんという仇名は現実にも広がり、西澤保彦の匠千暁シリーズなどで小説で描かれたりもしている。 2017年に『中年スーパーマン左江内氏』が『スーパーサラリーマン左江内氏』としてドラマ化された際には、原作には出番がないにもかかわらず、藤子作品のアイコンとしてレギュラーキャラで、ラーメンを好む小池刑事が新たに設定され(演:ムロツヨシ)、実写作品初登場となった。 正確には、「小池さん」ではないが、便宜上ここで記述する。 藤子不二雄の自伝作品では、よく小池さんの容姿のままでモデルとなった鈴木伸一本人が描かれている。なお、この傾向は、藤子不二雄Ⓐ(『まんが道』『愛…しりそめし頃に…』)と藤子・F・不二雄(『スタジオ・ボロ物語』)の両方にみることができ、彼らの中で「鈴木伸一の漫画絵」として「小池さん」のデザインが完成していることがわかる。 『ブラック・ジャック創作秘話?手塚治虫の仕事場から?』(宮崎克(原作)、吉本浩二(作画))では鈴木伸一本人がインタビューを受け手塚治虫とのエピソードを語るが、現在(インタビュー当時)の鈴木の容姿が写実的に描かれているのに対し、回想当時の容姿はやはり「小池さん」に類似した姿で描かれている。また、手塚とともに中国を訪れた際のエピソードでは「小池さん」さながらに中華そばを食べているシーンがある[9]。 ※名前を名乗っていなかったり、別名で登場している場合もあるが、以下、藤子不二雄の作品に登場する小池さん顔のキャラクターを挙げる。
『忍者ハットリくん』
藤子不二雄以外の漫画作家作品(小池さんとして)
漫画アニメ作品以外での登場
鈴木伸一本人としての登場作品
藤子不二雄以外の漫画作家作品(鈴木伸一として)
小池さんが登場する作品
脇役で登場する作品
藤子・F・不二雄作品
パーマン
21エモン(コイケラス星人、怪獣スズキラスほか)
ウメ星デンカ
ドラえもん
キテレツ大百科(アニメ205話「ネコの集会!夜中に消えたパパとママ」のみ[10])
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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