小学校受験
[Wikipedia|▼Menu]

小学校受験(しょうがっこうじゅけん)とは、国立私立小学校に入学するための入学考査を受けることである。
考査の内容は学校単位に独自に設定されるために多種多様であり、中学受験のように一定の形式を持つものではない。
幼稚園受験と共に「お受験」と称されることがある。
小学校受験の現状

「親の出身小学校に通わせたい」「附属大学までの一貫教育の魅力」等を理由とした従来からの受験層による閉鎖的なイメージがあったが、「教育理念がしっかりしている」「質の高い教育と教員が期待できる」「カリキュラムの充実」「設備の充実」等を理由にバブル経済期の1980年代以降、小学校受験ブームが到来した。
バブル崩壊によりブームは一時的に沈静したが、ゆとり教育への危機感から「学力指導への期待」「地元の公立小学校への不信」「激化する一方の中学受験のあり方への疑問」等、公教育や中学受験への不満を背景に2000年頃から再び小学校受験熱が大きな高まりをみせている。[1]

学校側も少子化への危機感から学校の門戸を幅広い層に広げる必要があり、少しでもよい環境で子供を学ばせたいと願う親の熱意と相まって、首都圏関西圏の一部では小学校受験は珍しくない光景となっている。
特に受験が盛んな地域では就学児童の4割超が国私立小に進学する例もある。[2]

2006年から関関同立が相次いで小学校を開設することで関西の私立小ブームに火が点き、2014年には洛南高等学校附属小学校も開校。
関東でも慶應義塾横浜初等部が2011年開校するなど、多様化する私立小への注目の更なる高まりが予想されている。[3]
2019年4月には、東京都世田谷区東京農業大学稲花小学校が開校。多摩地域では2002年早稲田実業学校初等部をはじめ複数の学校が開校していたものの、東京都区部での私立小学校の開校は59年ぶりの出来事だった。[4]
中京圏では2008年南山大学附属小学校に続き、2012年名進研小学校が開校している。

これら以外の有力私学も、早い段階での生徒の確保、高い学力レベルの維持、運営資金の獲得、ブランド力の維持などを目的に小学校開設を計画しており、その成否が自校の存亡に関わる問題と考えている。
ただし、少子高齢化や地域格差の影響は避けられず、常に人気の高い学校があれば、毎年のように定員割れの学校もあり、教育環境が整えられなくなったり採算が取れなくなったりという理由で規模縮小や閉校となってしまうケースもある。[5][6][7]

前述のとおり、長らく国立大学附属小学校と私立小学校がお受験の主流であったが、東京都が小学校?高校までの12年間の一貫指導を行う「都立小中高一貫教育校」(東京都立立川国際中等教育学校附属小学校)を2022年4月に開校したことで、新たに都道府県立小学校という選択肢が生まれた。[8]

一時期、「保育園に通っていると幼稚園受験・小学校受験に不利だ」という噂がまことしやかに流れたことがあるが、半分は嘘である。学校が気にすることは、保護者が学校を十分理解しているか、参加してほしい行事に保護者が出席できるかどうかなどである。両親共働きで保育園に通わせているような家庭は学校行事の参加が難しく、その場合は入学を嫌がられるであろうという推察が発端である。それは実際正しいのだが、共働きが珍しくない昨今では学校も柔軟になっている。警察など緊急を要する職業はある程度は仕方ないとはいえ、保護者としては学校行事にはできる限り取り組んでいくし、なるべく都合をつけるように努力する。もし参加できない場合でも子供へのフォローはしっかりと行うという姿勢を示せれば問題はない[9][10][11]
小学校の種類

小学校受験と一言で言っても、その小学校は幾つかに分類される。
国立大学附属小学校と私立小学校と都道府県立小学校

国立大学附属学校の学費は一般の公立校と同様で、私学ほど高くはなく、現在?今後の学習指導要領を検証するための実験校として運用される。都道府県や市区町村が設置している教育委員会の管轄外である。
これらの学校を管理・運営し、何か問題が発生した時に対処するのは教育委員会ではなく、母体である国立大学法人、またはその法人を管轄する文部科学省である。

私立小学校は卒業まで6年間通うだけの相応の経済力が要求される。一条校として学習指導要領を踏襲しつつも、各学校が独自の教育・設備を設けていることが多い。また、教育委員会の監督下にも入っていないため教職員の定期的な異動などがない。
附属幼稚園を設け、入試では内部進学枠を設けている場合がある。
管理・運営をしているのは、母体である法人である。

都道府県立小学校は学費などは国立や公立とほぼ同じであるが、国立のように指導要領の実験校とはならず、私立のように独自の教育・設備を設けている。市区町村の教育委員会の管轄下ではないが、都道府県の教育委員会の監督下にある。国立と私学と公立それぞれの特徴を併せ持つ。
管理・管轄するのは運営母体である法人、または法人を管轄する都道府県教育委員会である。
内部進学の有無

系列学校への内部進学が可能かどうか。もし可能な場合でも中学までなのか、高校までなのか、大学までなのかが異なる。
進学可能な学校でも内部考査があり、必ずしも全員が進学ができるとは限らない。
[12]
男子校・女子校・共学校

国立は共学校だが、私学には男子校・女子校も存在する。中には幼稚園から大学まで一貫して女子校という学校も存在する。
系列の中学校が男子校・女子校でも、小学校に関しては共学校というところもある。この場合、性別によっては内部進学が不可能なため、
中学受験を行うか、公立校へ進学することになる。
宗教など母体の有無

一部の私学は宗教法人が母体となっている。
キリスト教系(カトリックプロテスタント聖公会)、仏教新宗教などがある。
数こそ少ないが、企業が母体の学校も存在する[13]
入学考査の内容

面接、ペーパーテスト、それ以外とに大別される。
就学前児童なので、基本的にひらがな数字の読み書きが出来ないことを前提としているのが特徴。
小学校生活を送るうえで必要な力が身についているかを確かめるものであり、知能指数(IQ)とは直接の関係性はない。

試験結果と受験合否は連動しているもの、必ずしも一致するとは限らない。試験成績が良い子を上から順に合格者を決めていくのではなく、学校の考え次第でまるで扱いが変わるのが幼児の受験の世界である。
どんな学校でも、テスターは「子供は学校の校風に合っているか」「他の子に埋没することなくやっていけるか」「学校はこの子供・親と共に6年間付き合っていけるか」を第一に見る。

「良い子なんだけど、活発すぎる。当校はおしとやかで上品な方を求めているから不合格」「子供は元気なことが一番。おしとやかな子より元気で溌溂な子を求めるので合格」と正反対の評価の扱いをされることがしばしば起きる。
「全体的にテストの成績は平凡ながら、この子供には人を惹きつける魅力がある。当校にふさわしい」と人格や性格を評価されて合格になることもある。
「子供の成績は十分、両親も悪い人ではない。ただし、当校の教育方針と両親の考え方が一致していない」「併願を前提にしており、合格を出しても辞退されそうだ」という理由で不合格や補欠になることもある。
もっと簡単なものとして「親の職業を鑑みるに、私学の6年分の学費を払えるとは思えない」という経済的理由で不合格になることもある。

こういった事情・思惑のため、難関と呼ばれるような人気校に次々合格する子供でも、併願で受けた倍率の低い学校で補欠や不合格になる例は珍しくない。その逆もまた然りである。
志望校を考える際に「ここは滑り止めとして」という考え方は、あまりするべきではない。
また、小学校は義務教育であるため、留年して翌年に再チャレンジという道は無いことも忘れてはならない。

近年は新型コロナウイルス感染症対策の一環として導入した三菱総研DCSのmiraicompassなどのウェブサイトと、学校側の入試手続きの合理化が噛み合い、Web出願を行うところが増えてきている[14]
面接

大部分の学校では面接を課しており、考査結果に与える影響が大きいとされている。面接対象は学校により異なるが、親子同時・両親のみ・子供のみの中から1または2パターンでの実施が多い。
子供に面接を行わない学校でも、別の課題中に質疑応答などが内包されており、実質的に面接を行っているケースは多い。
ペーパーテストだけでは判定できない点、即ち「志望動機」「家庭の教育方針」「子供の性格」などがチェックされる。
ペーパーテスト

最も一般的な考査方法だが、ペーパーテストを課さない学校も少なからず存在する。
ペーパーテストを行わない学校であっても、別の課題中に内包されており、実質的に行っているというケースは多い。
配布されるペーパーに問題文はなく、絵・図・図形などが印刷されているだけで、試験官の口頭・寸劇、もしくは録音された音声、にて出題がされる。回答には主に
記号を用いる。
代表的な出題分野は「数」「図形」「言語」「記憶」「推理」「理科的常識」「日常的常識」「社会的常識」など。
その他


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:42 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef